第十四話 内戦の国
レイたちは国を出て、旅をしていた。
街道を歩く。
ペーパーがレイを見る。
「なぁレイ」
「何?」
「お前、今なら能力ランキングに入れるんじゃねぇか?」
レイは少し考えた。
そういえば。
ペーパーは能力ランキングに入っている。
制度について詳しいのではないか。
「能力ランキングってどうやったら入れるの?」
ペーパーが目を丸くする。
「は?」
数秒固まった。
そして。
「お前何も知らずに制度破壊するとか言ってたのか?」
マッドが吹き出した。
「はははっ!」
「レイさんらしいですね!」
レイの顔が少し赤くなる。
「うるさい!」
ペーパーも笑う。
みんな辛い過去を抱えている。
だが。
こうして笑える時間があることが、少しだけ嬉しかった。
ペーパーが説明を始める。
「能力ランキングは『最上位会議』によって決まるらしい」
「最上位会議?」
レイが首を傾げる。
「1位から10位が集まって開く会議だ」
「誰をランキング入りさせるか」
「誰を昇格させるか」
「その他色んなことを決めてるらしい」
レイは眉をひそめた。
「らしい?」
「俺も詳しくは知らねぇ」
ペーパーが肩をすくめる。
「88位なんて、かなり下だからな」
なるほど。
能力ランキングですら上と下があるのか。
「じゃあ勝手に決まるのね」
レイが言う。
ペーパーは笑った。
「あ」
「レイは無理だな」
「なんで?」
「お前が22位と51位を殺したこと」
「俺たちしか知らねぇじゃん」
確かに。
誰にも見られていない。
ブラッドは死体ごと消した。
ゼノを殺したときは、周囲にはペーパーとマッドしかいなかった。
ペーパーが笑う。
「一生ランキング入りできねぇかもな」
レイは少しムッとした。
別に入りたいわけではない。
だが。
そう言われると何だか腹が立つ。
マッドが笑う。
「レイさんらしいです」
「うるさい」
三人は歩き続けた。
そして。
遠くに城壁が見えてきた。
「国だ!!」
マッドが叫ぶ。
レイも目を向ける。
かなり大きい。
ペーパーがため息を吐く。
「次はまともな国だといいな……」
切実だった。
誰も否定できない。
レイも同じ気持ちだった。
三人は国へ向かった。
◇
国へ近づくにつれて様子がおかしくなる。
怒号。
悲鳴。
煙。
空気が張り詰めている。
城壁の一部は崩れていた。
兵士たちが慌ただしく走り回っている。
「なんですかここ……」
マッドが呟く。
レイも足を止めた。
「戦争中みたいね」
遠くでは爆発音まで聞こえる。
国全体が戦場だった。
その時。
「旅の方ですか?」
後ろから声がした。
振り向く。
そこには一人の女性が立っていた。
羽衣をまとった美しい女性。
長い銀髪。
穏やかな笑みを浮かべている。
だが。
レイの背筋がわずかに震えた。
この人……
強い。
ブラッド。
ゼノ。
あの怪物たちと同じ恐怖を感じた。
「はい」
「まさか戦時中とは思わなくて」
レイが答える。
女性は困ったように笑う。
「最近始まったのです」
「内乱が起きまして」
内乱。
ペーパーの国とは規模が違う。
まるで国同士の戦争だった。
「どうぞこちらへ」
「案内します」
女性が歩き出す。
マッドが小声で言った。
「レイさん」
「罠の可能性はありませんか?」
レイは女性を見る。
相変わらず穏やかな表情。
罠の可能性はない。
こんな強者が罠を張る必要なんてない。
そんな確信があった。
「大丈夫」
レイが言う。
マッドとペーパーが顔を見合わせる。
レイたちは女性の後を追った。




