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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第137話 格の違う二人

デュラハンが動いた。


速い。


あまりにも。


速すぎた。


剣が振り下ろされる。


一直線。


クロエの首を狙って。


だが。


クロエは反応できない。


身体が動かない。


死。


その一文字が脳裏をよぎる。


次の瞬間。


ドゴォン!!


凄まじい衝撃音。


デュラハンの剣が止まっていた。


止めたのは。


ディオン。


右足。


その足一本で。


巨大な剣を受け止めていた。


衝撃波が広がる。


地面が砕ける。


壁が軋む。


クロエが思わずしゃがみ込む。


髪が激しく揺れる。


吹き飛ばされそうだった。


あまりにも重い一撃。


ドルガンはその光景を冷たく見ていた。


感情はない。


ただ見ている。


そして。


口を開いた。


「ディオン」


低い声。


それだけで空気が凍る。


「死にたいのか?」


ディオンの背中に冷や汗が流れる。


ドルガンが一歩動く。


その瞬間。


ディオンが言った。


「クロエは」


「光線の少女の仲間です」


空気が変わる。


ドルガンの動きが止まった。


クロエが目を見開く。


ディオンは続ける。


「クロエを殺せば」


「協力が得られない可能性があります」


静寂。


数秒。


長い沈黙。


そして。


ドルガンが笑った。


「先に言え」


軽い声だった。


その瞬間。


デュラハンが消える。


まるで最初からいなかったかのように。


クロエがようやく息を吸った。


ドルガンが聞く。


「光線の女はどこだ?」


ディオンが即答する。


「医療室で処置しています」


ドルガンの口元が歪む。


不敵な笑み。


「よくやった」


それだけ言うと。


踵を返した。


そして。


城へ向かって歩き出す。


重い背中。


巨大すぎる存在感。


やがて。


見えなくなった。


ガクッ。


クロエの膝が崩れる。


床に手をつく。


「はぁ……」


「はぁ……」


呼吸を忘れていた。


心臓が激しく鳴っている。


分かっていた。


自分は死んでいた。


ディオンがいなければ。


確実に。


クロエが顔を上げる。


ディオンを見る。


「礼を言うわ」


小さな声だった。


だが。


ディオンは反応しない。


遠くを見ていた。


表情が暗い。


重い。


クロエは気付く。


ディオンは。


わざとレイのことを先に言わなかった。


試したのだ。


ドルガンを。


仲間が死んだ。


それを聞いて。


何を思うか。


何を感じるか。


知りたかった。


だが。


答えは出た。


非情。


ただそれだけだった。


クロエはディオンを見る。


その横顔。


悲しみ。


失望。


怒り。


複雑な感情が混ざっていた。


胸が痛んだ。











ヴェルナは歩いていた。


ドルガンの国を離れて。


一人で。


仲間は全滅した。


フィオナ。


マギア。


ファルス。


ラギ。


メイズ。


ブリザ。


全員死んだ。


クロノも撤退した。


敗北。


完全な敗北だった。


ヴェルナは拳を握る。


悔しい。


自分の『直感』は。


ずっと正しかった。


だが。


彼らの強さは。


想定を超えていた。


ドルガンの国。


怪物ばかりだった。


だが。


ヴェルナの目は死んでいない。


燃えていた。


殺意が。


「次こそは」


「殺す」


歩き続ける。


その時だった。


前方から。


一人の男が歩いてきた。


青いジーパン。


白いTシャツ。


四十代くらい。


どこにでもいそうな男。


特徴がない。


普通。


あまりにも普通。


そして。


片手にスイカを持っていた。


男が気付く。


「あ」


笑った。


「こんにちは」


気さくな笑顔。


普通すぎる。


つい先程まで戦争があったことを忘れる。


だが。


ヴェルナの背筋が凍った。


冷や汗が流れる。


なんだ。


こいつは。


能力『直感』


全く反応しない。


ありえない。


『直感』は教えてくれる。


強者には。


逃げろと。


弱者には。


勝てると。


だが今。


何もない。


沈黙。


空白。


能力が死んでいる。


初めてだった。


ヴェルナが焦る。


男が首を傾げる。


「そっち側から来たってことは」


スイカを持ち直す。


「ドルガンの知り合い?」


不思議そうな顔。


ヴェルナは考える。


どうする。


逃げるか。


戦うか。


目の前の男は。


不気味だった。


普通すぎて。


気持ち悪い。


ヴェルナが低く言う。


「私は今」


剣呑な目。


「機嫌が悪い」


手を剣に伸ばす。


殺す気はない。


少し脅すだけ。


そう思った。


だが。


「ん?」


違和感。


ヴェルナが目を向ける。


剣。


鞘。


そこにあるはずのもの。


崩れていた。


塵になっていた。


さらさらと。


地面に落ちる。


「は?」


ヴェルナが固まる。


理解できない。


何が起きた。


次の瞬間。


ヴェルナの身体が崩れた。


塵。


ただの塵。


さらさらと。


風に流れた。


悲鳴もない。


苦痛もない。


一瞬だった。


能力ランキング第16位。


ヴェルナ。


死亡。


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