第123話 上位の実力
異形が降りてくる。
空中都市から。
無数に。
兵士達が拳を構える。
戦争が始まった。
その瞬間。
ディオンが叫ぶ。
「能力者に注意しろ!!」
声が戦場に響く。
異形より危険なのは能力者。
ランキング者。
全員が理解していた。
そして。
早速敵が動く。
「行くわよ!」
能力ランキング第18位。
マギア。
能力発動。
『鈍足化』
見えない力が広がる。
兵士達の身体が重くなる。
足が動かない。
思うように進めない。
「くそ……!」
兵士達が焦る。
その時だった。
一人の兵士が止まる。
身体が縮む。
縮む。
さらに縮む。
骨も。
肉も。
内臓も。
全て。
圧縮されていく。
「な……」
誰も動けない。
そして。
人間だったものは。
小さな球体になった。
静寂。
全員が能力者を見る。
能力ランキング第23位。
ファルス。
能力『超圧縮』
ファルスが笑う。
「さて」
足を前へ出す。
「次だ」
兵士達の顔から血の気が引く。
屈強な兵士。
鍛え上げられた兵士。
そんなものは関係ない。
能力を使えば終わり。
そう思った瞬間だった。
影。
いや。
人影。
速い。
速すぎる。
マギアが反射的に能力を集中する。
『鈍足化』
限界まで。
全員がようやく視認する。
能力ランキング第11位。
ディオン。
鈍足化を受けながら。
真っ直ぐ突っ込んでくる。
ファルスが狙いを定める。
だが。
間に合わない。
ディオンの蹴りが迫る。
その瞬間。
キンッ!!
剣が蹴りを受け止める。
衝撃が周囲へ広がる。
ディオンが笑った。
「やるな」
剣の持ち主が言う。
「マギアが止めてもこの威力……」
「参るわ」
ため息を吐く。
能力ランキング第16位。
ヴェルナ。
能力『直感』
未来予知に近い直感。
ディオンの攻撃を。
読んでいた。
その時。
上空が暗くなる。
「おらぁぁぁぁぁ!!!!」
巨体。
能力ランキング第28位。
ガイア。
拳を振り下ろす。
ヴェルナが即座に叫ぶ。
「退避!!」
三人が動く。
直後。
ドゴォォォォォン!!
大地が爆発した。
兵士達が吹き飛ぶ。
ガイアが舌打ちする。
「くそ!」
拳を握る。
「マギアのせいで速度が上がらねぇ!!」
能力『爆裂波動』
殴れば爆発。
触れれば爆発。
前線は。
能力者同士の戦場へ変わっていた。
◇
中衛。
異形が降り注ぐ。
兵士達が迎撃する。
叫び声。
血。
戦場は地獄だった。
その時。
周囲に霧が広がる。
白い霧。
視界が奪われる。
「なに……?」
レイが立ち止まる。
能力ランキング第41位。
メイズ。
能力『蜃気楼』
視界を狂わせる能力。
敵が増える。
異形が二体。
三体。
四体。
何が本物か分からない。
兵士達が混乱する。
「まずいですよ!!」
マッドが叫ぶ。
周囲を見る。
どこから敵が来る。
どこから攻撃が飛ぶ。
何も分からない。
レイも光線を撃てない。
本物が分からない。
だが。
ゴキッ。
鈍い音。
それだけだった。
霧が止まる。
一瞬で。
能力そのものが消えた。
レイが振り返る。
マッドも振り返る。
そこにいたのは。
クロエだった。
能力ランキング第19位。
クロエ。
能力『影喰い』
その足元。
一人の女が転がっている。
首が。
あり得ない方向へ曲がっていた。
メイズだった。
クロエが言う。
「何あたふたしてるのよ」
誰も答えられない。
クロエが続ける。
「悪いけど」
死体を見下ろす。
「蜃気楼を使っても」
「本体の影は一つよ」
レイが固まる。
マッドも固まる。
能力ランキング第41位。
メイズ。
開戦数分。
死亡。
クロエは死体から視線を外す。
そして。
次の敵を探し始めた。
まるで。
何事もなかったかのように。
レイの背筋に寒気が走る。
味方で良かった。
本気でそう思った。




