第124話 戦争激化
前線の後方。
異形達が次々と入り込む。
兵士達が迎撃する。
だが。
数が多すぎた。
一体倒しても。
二体。
三体。
さらに現れる。
その中心にいたのは。
能力ランキング第39位。
ボルト。
能力『電磁支配』
ボルトが異形を殴る。
ドゴォッ!!
異形の身体が吹き飛ぶ。
骨が砕ける。
肉が裂ける。
電磁の力によって。
拳の威力は何倍にも強化されていた。
兵士達が歓声を上げる。
「ボルトだ!!」
「すげぇ……」
尊敬の視線。
希望。
その時だった。
カキン。
音が鳴る。
ボルトが凍る。
一瞬だった。
「厄介なのよ、あなた」
女の声。
能力ランキング第44位。
ブリザ。
能力『凍結鎖』
彼女の鎖に触れた者は。
一瞬で凍る。
ブリザが微笑む。
「さぁ」
鎖を振るう。
「どんどん凍らせるわよ」
ブリザが舞う。
銀色の鎖が舞う。
美しい。
だが。
恐ろしい。
兵士達が次々と凍っていく。
叫ぶ間もない。
動けない。
その姿に。
異形達ですら動きを止めた。
まるで舞台だった。
だが。
ボコッ。
異形が吹き飛ぶ。
一直線に。
ブリザへ向かって。
「っ!」
ブリザが慌てて避ける。
異形が地面へ叩きつけられる。
ブリザが振り返る。
そして顔をしかめた。
「どうなってんのよ……」
そこには。
ボルトが立っていた。
異常な蒸気を発している。
ボルトが言う。
「ふしゅー」
「電磁波で溶かした」
ブリザが笑う。
だが。
その目は笑っていない。
「そんな命知らずなこと」
「よくやるわね」
凍った身体を溶かす。
それ自体は簡単だ。
放っておいても。
いつか溶ける。
だが。
今ボルトが行ったのは違う。
一分もかかっていない。
異常な熱。
異常なエネルギー。
人体にかかる負担も異常。
普通なら。
自分の身体が先に壊れる。
だが。
ボルトは笑った。
「地獄の特訓に比べれば」
「マシだ」
ブリザの額を汗が流れる。
理解した。
こいつは。
狂っている。
◇
中衛。
レイは光線を撃ち続けていた。
バシュッ!
異形が倒れる。
バシュッ!
また倒れる。
それでも。
減らない。
次から次へ。
空中都市から降ってくる。
終わらない。
クロエが兵士達を助ける。
影へ逃がす。
死ぬ寸前の兵士を救う。
だから。
まだ崩壊していない。
だが。
疲労は確実に蓄積していた。
マッドも必死だった。
泥で異形を拘束する。
落とし穴を作る。
援護する。
それでも。
押されている。
兵士達の顔から余裕が消えていた。
「ちょっとまずいわね」
クロエが言う。
レイが振り向く。
クロエは戦場を見ていた。
「前線が優勢にならないと」
「士気が上がらないわ」
その通りだった。
前線には強者を集中させた。
だから。
中衛は苦しい。
分かっていた。
分かっていたが。
予想以上だった。
敵能力者達も。
クロエを警戒している。
近づいてこない。
だから膠着状態。
その時だった。
「ふぉっふぉっふぉ」
老人の笑い声。
戦場の中心。
一人の老人が立っていた。
クロエの顔色が変わる。
「クロノ……!!」
能力ランキング第3位。
クロノ。
能力『空中都市』
いつの間にか。
目の前にいた。
クロエは即座に能力を発動する。
クロノの影から腕が伸びる。
首を掴む。
そのまま折る。
はずだった。
だが。
「な……」
折れない。
全く。
びくともしない。
ガイアと同じ。
いや。
それ以上。
クロノがゆっくりこちらを見る。
「悪いがのぉ」
穏やかな声。
だが。
圧が凄まじい。
「ディバイドは殺さにゃいかん」
その瞬間。
クロノが動く。
速い。
クロエが影へ退避しようとする。
だが。
間に合わない。
クロノの手が迫る。
捕まる。
そう思った瞬間。
「ん?」
クロノが横を見る。
拳。
巨大な拳。
クロノへ突き刺さる。
クロノが左手で受け止める。
完全に。
止める。
クロエが影へ逃げ込んだ。
「やるのぉ」
クロノが右手を見る。
何かがくっついていた。
粘液。
ドロドロの液体。
「第3位と相手なんてぇぇ」
「いやだなぁぁぁ」
能力ランキング第60位。
スライム。
能力『粘液』
クロノは笑う。
そして。
戦場を見渡した。
怪物達が。
それぞれの怪物と向き合う。
大戦争は。
さらに激しくなっていく。




