第120話 敵戦力
能力ランキング第16位。
ヴェルナの国。
女王の間。
ヴェルナが男と向き合う。
そして。
静かに頭を下げた。
「礼を言うわ」
その言葉に。
三人が反応する。
前へいたのは。
能力ランキング第23位。
ファルス。
若く逞しい国王。
「当然だ」
「ディバイドとノーランク」
「二つを潰すなら協力する」
その後ろから。
女性が一歩前へ出る。
能力ランキング第34位。
ラギ。
頬を赤くしながら言った。
「私はファルス様についていくだけ」
即答だった。
ファルスが少し困った顔をする。
すると。
もう一人の女性がため息を吐く。
能力ランキング第44位。
ブリザ。
冷たい目でラギを見る。
「ラギ」
「そんな邪な理由で戦うのはやめなさい」
ラギがむくれる。
「別にいいじゃない」
三人は。
ファルスの国の主力だった。
ランキング者が三人。
十分すぎる戦力。
フィオナが笑顔になる。
「これなら勝てますね!」
能力ランキング第12位。
フィオナ。
だが。
ヴェルナだけは笑わなかった。
むしろ。
表情は暗い。
ファルスが気づく。
「どうした?」
ヴェルナは静かに答えた。
「彼らは」
少し間を置く。
「私達が想像するより遥かに強い」
空気が重くなる。
ファルスの顔から笑みが消えた。
ヴェルナの能力。
『直感』
その勘は。
外れない。
ファルスが腕を組む。
「お前が言うなら間違いないな」
その言葉に。
全員が黙る。
すると。
第18位マギアが口を開いた。
「そもそも」
不満そうに言う。
「ディオンが第11位なのがおかしいのよ」
ラギが首を傾げる。
「そうなの?」
マギアが頷く。
ヴェルナが説明した。
「なぜディオンが第11位なのか分かる?」
ファルス達は首を振る。
ヴェルナは指を二本立てた。
「理由は二つ」
指を一本にする。
「一つ目は」
「同じ国から最上位を二人出したくないから」
「あの国にはドルガンがいるからね」
そして。
二本目の指を立てる。
「もう一つは」
肩をすくめた。
「無能力者を最上位に入れたくないから」
沈黙。
ファルスが呟く。
「それだけか?」
ヴェルナが頷く。
「それだけよ」
そして。
苦笑した。
「つまり」
「ただの最上位の私情」
ヴェルナが言いたいこと。
それはディオンが。
最上位の実力だということだった。
まだ戦力が足りない。
ヴェルナは感じていた。
その時だった。
空が暗くなる。
「なに!?」
フィオナが立ち上がる。
全員が外を見る。
上空。
巨大な影。
「あれは……」
マギアが固まる。
空中都市。
一つの都市が。
空に浮いていた。
誰もが知っている。
能力ランキング第3位。
クロノ。
ヴェルナが笑った。
「私の直感が言ってるわ」
全員を見る。
「朗報って」
そして。
外へ向かった。
◇
国の外。
巨大な空中都市の下。
一人の老人が立っていた。
能力ランキング第3位。
クロノ。
「ふぉっふぉっふぉ」
楽しそうに笑う。
「さすがはヴェルナ」
「勘が鋭いのぉ」
ヴェルナも笑う。
「クロノ」
「初めて会うわね」
そして。
単刀直入に聞いた。
「手伝ってくれるの?」
クロノは即答した。
「当たり前じゃ」
笑顔のまま。
「ディバイドとノーランクは秩序を乱す」
そして。
少しだけ目を細める。
「個人的にあの国は好かんしな」
ヴェルナが空中都市を見上げる。
そして言った。
「あれごと落とせば?」
第85位の国に空中都市を落としたことを。
暗喩する。
クロノが笑う。
「それは面白い」
そして。
続けた。
「じゃが」
「あ奴らはそれでも生き残るぞ?」
ヴェルナ達が固まる。
そこまで強いのか。
ドルガンの国は。
クロノが言う。
「なーに」
穏やかに笑う。
「ワシが援護する」
「心配するでない」
その言葉だけで。
空気が変わった。
能力ランキング第3位。
その存在感は別格だった。
だが。
クロノは続ける。
「ただし」
クロノが指を立てる。
「一つだけ条件がある」
全員が耳を傾ける。
「第2位が現れたら」
「ワシは去る」
ヴェルナの目が見開かれた。
第2位。
ドルガン。
第3位ですら撤退を選ぶ。
ヴェルナは改めて理解した。
相手がどれほど異常なのかを。
だが。
それでも。
頷く。
「分かったわ」
クロノが笑う。
「よろしい」
こうして。
戦力は揃った。
ついに始まる。
戦争が。
いや……
大戦争が。
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