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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第116話 世界最強

ネロが能力を発動しようとした。


その瞬間だった。


「ん?」


ネロが違和感を覚える。


何かがおかしい。


だが。


その答えを理解する前に。


身体がずれた。


ネロは自分の身体を見る。


縦に。


切れていた。


そして。


横にも。


さらに。


縦。


横。


縦。


横。


次々に切断される。


何が起きたのか分からない。


痛みを感じる暇もない。


最後には。


ネロだったものが。


塵になって落ちた。


わずか一秒にも満たない出来事。


全員が固まる。


「……は?」


アベルの思考が停止する。


理解不能。


何も見えなかった。


その時。


「ネロォォォォ!!!!」


ポールが叫ぶ。


クリアは即座に動いた。


男へ向かう。


だが。


届かない。


透明なまま。


身体が崩れた。


腕。


胴体。


頭。


全てが塵となって落ちる。


能力ランキング第54位。


クリア。


死亡。


静寂。


アベルとポールは男を見る。


何も変わらない。


青いジーパン。


白いTシャツ。


手には買い物袋。


ただ立っているだけ。


それだけだった。


ブワァン


アベルが能力を発動する。


空間が裂ける。


危険。


仲間の死より。


今は自分の命だ。


本能が叫んでいた。


逃げろ。


アベルは裂け目へ飛び込む。


そして叫ぶ。


「ポール!!」


ポールを見る。


だが。


ポールは振り返らなかった。


「お前は生きろ、アベル」


その言葉だけを残す。


空間が閉じた。


静寂。


ポールは男を見る。


理解不能な存在。


だが。


無理やり思考する。


「……あんた」


「何者だ?」


男は答えない。


何かを考えていた。


そして。


小さく呟く。


「アベル……」


「聞いたことがある名前だな……」


ポールの怒りが爆発する。


「てめぇ!!」


両拳を合わせる。


能力発動。


超爆撃。


だが。


できない。


拳がなかった。


ポールが目を見開く。


自分の腕を見る。


ない。


肘から先が消えている。


そして。


次の瞬間。


腕が塵になる。


「なんだよ……これ」


最後まで理解できなかった。


ポールが塵になった。











別空間。


アベルは膝をついていた。


「はぁ……」


「はぁ……」


呼吸が荒い。


ネロ。


クリア。


ポール。


全員死んだ。


一瞬で。


何もできず。


「うぐぁぁぁぁぁぁ!!!!」


叫ぶ。


声にならない声で。


理解できない。


自分達は革命者だった。


ランキング者を殺してきた。


世界を揺らしてきた。


それなのに。


たった一人。


訳の分からない男に。


偶然出会っただけで。


全てを壊された。


グリッチの名を世界に知られることもなく。


静寂。


アベルは拳を握る。


まだだ。


終わっていない。


終われない。


「俺はまだ終わらない」


立ち上がる。


歩き出す。


別空間の奥へ。


その背中から滲み出るのは。


怒り。


憎しみ。


殺意。


それだけだった。



























アベルは塵になった。











男はジーパンのポケットを探る。


紙を一枚取り出した。


指名手配書。


そこには。


アベルの名が描かれている。


男が呟く。


「あー」


少し間を置く。


「こいつか」


興味なさそうだった。


まるで。


道端で見かけた虫の名を思い出した程度。


男の名は。


レギウス。


能力ランキング第1位。


世界最強。

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