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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第109話 逃げ道なし

国中が騒然としていた。


誰もが鉄壁を見ている。


何千。


誰もが思う。


外敵だ。


そして。


能力ランキング第7位。


カイが防御のために出したのだと。


安心する者さえいた。


だが。


一人だけ違った。


スエルテ。


彼は鉄壁を見つめたまま。


小さく呟く。


「あの鉄壁」


「こっちに向かってきてる」


スカイが固まる。


「何言ってんだ……?」


そんなはずがない。


だが。


改めて見る。


鉄壁が大きくなっている。


いや。


違う。


近づいている。


どんどん。


どんどん。


こちらへ。


スカイの顔色が変わる。


「どういうことだ!?」


焦る。


理解できない。


スエルテは冷静だった。


「スカイ」


「君の能力の対象人数は?」


スカイは答えない。


焦るだけだった。


スエルテが叫ぶ。


「対象人数は!!!!」


その怒号が響く。


まるで。


第15位ライゼンのようだった。


スカイが慌てる。


「お……俺を入れて二人だ」


スエルテが頭を抱える。


最悪だった。


そして。


小さく息を吐く。


「じゃあ……」


スカイを見る。


「君がこの国で助けたい人と逃げろ」


スカイが固まる。


スエルテは笑う。


「君の能力なら逃げられるさ」


優しい声だった。


スカイは驚いた。


こいつは。


思っていた人間じゃない。


自分を助けろと言わない。


自分を選べと言わない。


真っ先に。


誰かを助けろと言った。


スカイは手を差し出す。


スエルテが目を丸くする。


「俺はこの国に亡命したばかりだ」


「今一番助けたいのは……お前だ」


真っ直ぐな目だった。


スエルテは少し笑う。


そして。


その手を握った。


「ありがとう」


握手。


その瞬間。


スカイの顔が歪む。


ベタベタだった。


おやつの油。


汗。


最悪だった。


スカイは少しだけ後悔する。


そして。


能力を発動した。


身体が浮く。


空へ。


スエルテと共に。


上昇。


上昇。


さらに上昇。


鉄壁の高さを超えた。


二人は上空から見守るしかなかった。


鉄壁が国をつぶす瞬間を。











一方。


街の中央。


ブリーズ。


シャイン。


バレル。


三人は立ち尽くしていた。


巨大な鉄壁を見上げる。


あまりにも大きい。


あまりにも異常だった。


ブリーズが呟く。


「なによ……これ……」


もはや諦めに近い声。


その時。


「逃げてみんな!!」


女性の声が響く。


白いローブ。


能力ランキング第64位。


リペア。


全力で駆けてくる。


シャインが叫ぶ。


「どうなってんだ!!」


頭を抱える。


意味が分からない。


何が起きている。


誰も答えられない。


バレルだけが前へ出た。


鉄壁を睨む。


「やるしかねぇだろ」


リペアが叫ぶ。


「無理よ!!」


鉄壁を指差す。


「あんなの壊せるわけない!!」


絶望していた。


だが。


バレルは冷たく返す。


「じゃあ」


前を向いたまま。


「どこに逃げ道があるか教えろよ」


リペアが黙る。


答えられない。


逃げ場などない。


この鉄壁を越えるには。


空を飛ぶしかない。


だが。


ここにいる誰も飛べない。


鉄壁が迫る。


近づく。


近づく。


近づく。


圧迫感。


絶望。


誰も動けない。


バレルが拳を握る。


能力発動。


火薬。


爆発。


全身から凄まじい力が溢れる。


そして。


叫んだ。


「やってやらぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


その声と爆発は。


巨大な鉄壁へぶつかる。


だが。


返ってきたのは。


反響だけだった。


一枚の鉄壁すら止まらない。


揺るがない。


無慈悲にただ国を飲み込んでいった。


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