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1ミリの光線しか出せない私が、能力ランキング22位を殺した日から全てが始まった  作者: eutoria


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第100話 第7位の始まり

「男の子か!!かわいいなぁ!」


父が嬉しそうに笑った。


「男の子……」


母は悲しそうに笑った。


カイが誕生した。


父は有名な商人だった。


毎日忙しい。


家に帰ることも少ない。


母は違った。


最低限の食事だけを与え。


それ以上はほとんど世話をしなかった。


理由は単純だった。


母は奴隷出身。


黄色い髪。


ただそれだけの理由で。


人として扱われなかった。


商人だった父に拾われ。


今の生活がある。


だが。


奴隷時代。


男たちから酷い目に遭ってきた。


だから。


男が苦手だった。


恐怖だった。


子供ですら例外ではない。


愛せなかった。


それがカイの始まり。











カイが三歳の時。


妹が生まれた。


名前は。


レイ。


黄色い髪の女の子だった。


カイは嬉しかった。


毎日そばにいた。


毎日話しかけた。


毎日遊んだ。


レイも兄になついた。


だが。


それ以上に。


母はレイを愛した。


抱きしめる。


笑いかける。


優しく頭を撫でる。


カイには一度も向けられなかった笑顔。


それを。


レイは当たり前のように受け取っていた。


カイは嫉妬しなかった。


ただ。


少しだけ寂しかった。











カイが五歳になった。


能力に目覚めた。


鉄の壁。


小さな鉄の壁を出せる能力だった。


嬉しかった。


初めての能力。


レイに見せた。


「すごーい!」


レイが笑う。


その笑顔だけで十分だった。


カイは何度も能力を使った。


レイが喜ぶから。


それだけで良かった。











カイが八歳になった。


今度はレイが能力に目覚めた。


右手から放たれる。


1ミリの光線。


誰も興味を示さなかった。


弱そう。


地味。


それだけ。


だが。


カイは違った。


能力を見た瞬間。


自分の鉄壁を出した。


光線が当たる。


カンッ。


鉄壁がわずかにへこんだ。


カイは目を見開く。


すごい。


もし。


もしこの能力を鍛え続けたら。


世界を変えられるかもしれない。


カイはわくわくした。


それから。


レイへ能力を教えるようになった。


毎日。


毎日。


一緒に。


だが。


それを快く思わない人間がいた。


母だった。


レイがカイになついている。


それが気に入らなかった。


だから。


母は決断した。


カイを。


国へ売ることを。


兵士として。


八歳の子供を。











兵士の寮。


そこが新しい家だった。


誰も歓迎しない。


黄色い髪。


八歳。


格好のいじめ対象だった。


「おい」


「ガキ」


「飲み物持ってこい」


毎日だった。


蹴られる。


殴られる。


荷物を持たされる。


笑われる。


その中心にいたのが。


ボルクだった。


ガタイの良い男。


兵士として活躍している。


カイを見つけては。


面白そうにいじめた。


来る日も。


来る日も。


ずっと。











カイが十歳になった。


事件が起きる。


訓練試合。


相手は。


ボルク。


周囲には大量の兵士がいた。


全員。


二人の関係を知っている。


だから。


見世物だった。


誰も止めない。


誰も助けない。


ただ笑っている。


ボルクが笑う。


「なぁカイ」


肩を回す。


「これは訓練だからな」


「ケガしても仕方ないよなぁ?」


周囲も笑う。


確かに。


訓練で怪我は起こる。


だが。


故意は処分の対象になる。


しかし。


この男がそんなことを守るはずがない。


教官が手を上げる。


「開始!!」


カイが能力を発動する。


薄い鉄壁が。


正面へ出現する。


防がなければ。


とにかく。


生き残らなければ。


その時。


ボルクが能力を使った。


能力『指突』


指が針のように鋭くなる。


それが。


鉄壁へ叩き込まれた。


バキィッ!!


鉄壁が割れる。


一撃だった。


勢いは止まらない。


指が迫る。


ボルクが笑う。


「もう飽きたんだわお前」


殺意のこもった目。


「あばよ」


「ガキんちょ」


死ぬ。


カイは理解した。


人生。


理不尽だった。


母に愛されなかった。


売られた。


いじめられた。


唯一愛した妹とも離れ離れ。


そして。


今。


殺される。


なんだったんだろうな。


俺の人生。


理不尽。


理不尽。


理不尽。


もし。


力があれば。


理不尽を。


ぶっ壊せるのに。


その瞬間だった。


身体の奥から。


力が溢れ出した。


熱い。


鉄より熱い何か。


カイは無意識に能力を発動した。


ボルクの左右。


分厚い鉄壁が出現する。


「なんだ?」


ボルクが振り向く。


だが。


遅かった。


グシャッ。


二枚の鉄壁が閉じる。


肉が潰れる。


骨が砕ける。


絶叫すら出なかった。


周囲が静まり返る。


誰も動かない。


そして。


鉄壁が消えた。


バタン。


何かが落ちる。


それは。


人だったもの。


ボルクだった。


身体はほぼ平面になっていた。


血が広がる。


誰も声を出せない。


カイも。


ただ立ち尽くしていた。


自分の手を見る。


震えている。


人を。


殺した。


だが。


不思議だった。


恐怖より先に。


別の感情があった。


胸の奥に。


小さな炎が灯る。


理不尽を。


壊した。


初めて。


自分の力で。


その日から。


カイの人生は。


大きく変わり始めた。


100話までご覧いただきありがとうございます。

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