第十話 決行
いよいよ反乱の日が来た。
反乱軍全員が武器を手にする。
剣。
槍。
弓。
誰もが緊張した顔をしていた。
城壁には爆弾が仕掛けられている。
爆発が合図。
混乱に乗じて二手に分かれる。
王を殺す部隊。
そして。
ペーパーの妹を救出する部隊。
レイとマッドは救出側だった。
ペーパーが全員を見る。
「ゼノが出てくる前に終わらせる」
鋭い声だった。
「ゼノには統治する力はない」
「ぺブルさえ死ねば、この国は崩れる」
反乱軍たちが頷く。
ちゃんと先まで考えている。
だが。
レイは嫌な予感がしていた。
ランキング者。
そんな簡単に倒せるのだろうか。
そして。
ドォォォン!!
爆発が響いた。
城壁が崩れる。
土煙が舞い上がる。
「いけぇぇぇぇぇ!!」
ペーパーが叫ぶ。
反乱軍が一斉に走り出した。
反乱が始まった。
◇
レイたちは城内へ突入した。
急いで地下牢へ向かう。
地下牢の周囲には兵士たちが待ち構えていた。
「敵襲だ!!」
兵士が叫ぶ。
反乱軍が飛び出した。
剣と剣がぶつかる。
悲鳴が上がる。
その時。
反乱軍の一人が叫んだ。
「レイたちは先へ行け!」
「ここは俺たちが食い止める!」
レイは頷く。
「行くよ」
「はい!」
マッドも続く。
二人は地下牢へ駆け込んだ。
やがて。
牢屋が並ぶ場所へ到着する。
「手前から開けるわ」
囚人を解放し。
混乱を大きくする。
その作戦だった。
「まずは看守からカギを……」
レイが言いかけた時。
マッドが前へ出る。
「能力『泥』!」
地面が泥へ変わる。
鉄格子の下の地面が崩れる。
重い鉄格子が沈んでいった。
囚人たちが驚く。
「に、逃げろ!」
「外だ!」
次々と人が飛び出していく。
レイは少し感心した。
意外と便利だ。
「やるじゃん、マッド」
マッドが照れ臭そうに笑う。
「えへへ」
次々と牢屋を開放していく。
囚人たちが逃げ出す。
混乱はさらに大きくなった。
◇
ペーパーは近衛兵を倒しながら進んでいた。
紙の刃が舞う。
兵士たちが倒れる。
そして。
王の間へ辿り着いた。
「行くぞ!!」
ペーパーが叫ぶ。
反乱軍が頷く。
ドン!!
扉が蹴破られた。
王の間。
そこには。
能力ランキング73位。
ぺブル王が座っていた。
堂々と。
ぺブルが反乱軍を見渡す。
そして鼻で笑った。
「随分弱そうな連中だな」
「ディバイドじゃないのか」
次の瞬間。
無数の小石が浮かび上がる。
「死ね」
バシュッ!!
小石が放たれた。
速い。
だが。
ペーパーも動く。
大量の紙を放つ。
紙が小石を包み込む。
勢いを殺す。
全て受け止めた。
反乱軍が驚く。
ぺブルも少し眉を上げた。
「ほう」
ペーパーが笑う。
「知らないか?」
紙を指で回す。
「じゃんけんは」
「グーよりパーの方が強い」
反乱軍の士気が上がった。
◇
レイたちは奥へ進んでいた。
牢屋を次々と解放する。
「いけますね!」
マッドが笑う。
「このまま妹さんも助けられます!」
その時だった。
レイが立ち止まる。
寒気。
全身の毛が逆立つ。
ブラッドと対峙した時と似ていた。
「待って」
レイが言う。
「え?」
「マッド、止まって」
マッドが足を止める。
周囲の反乱軍も動きを止めた。
異様な気配。
奥。
一番奥の牢屋から感じる。
ギィィィ……
牢屋の扉が開いた。
中から男が出てくる。
上裸。
鍛え上げられた肉体。
短い金髪。
右手には緑色の鞭。
男は反乱軍を見渡した。
そして笑う。
「こんなくだらねぇ真似をするのは」
「ディバイドじゃねぇよな」
左手に持っていたものをこちらへ放る。
ゴトリ。
何かが床を転がった。
反乱軍の一人が目を見開く。
「う……そだろ……」
レイも視線を向ける。
転がっていたのは。
女の頭だった。
反乱軍たちが凍りつく。
そして。
一斉に泣き崩れた。
その頭は。
ペーパーの妹だった。




