お馬さんを手に入れた!
お絹ちゃん達の足の速さのおかげで、予定より早く街に着いた私達は、先に宿をとって食べ歩きでもするか、と話していると、
おじさんに声をかけられた。
「お嬢ちゃん、ちょっといいかね?」
「はい、なんですか?」
「どうもお絹がお嬢ちゃんが来るのを心待ちにしとるみたいでの、次はいつ利用する予定なのか聞いておこうと思ってな」
「そうですか……」
お絹ちゃんが心待ちにしてくれてると聞いてとても嬉しくなったが、これから旅に出ることになる。
暫くは王都には戻ることは無いだろう。
少し寂しいが、そう伝えると、お絹ちゃんがヒヒンヒヒンと泣いてジタバタした。
まるで駄々を捏ねているようだ
それを見て、私も別れが寂しくなってしまった
「こらこら、駄々を捏ねても仕方の無いことだろう?大人しくしなさい、お絹」
おじさんがなだめてもじたばたするのをやめないお絹に、おじさんは困り果ててしまった
「あの……もしよろしければなんですけど、お絹ちゃんを暫く借りることって出来ますか?」
「借りる……と言うと?」
「私が、借りてるあいだの収入分のお金を払うので、お絹ちゃんのお世話を私達にしていただけないかと……」
「俺も馬の世話出来ますよ」
「私も……できる、よ。」
私が交渉をしようとすると、鋼牙君とロアちゃんものってくれた。
「ふぅむ……そういう事なら貸すのは全然問題ないが……馬車を引く訳では無いのだろう?どうやって連れてくんじゃ?」
「馬の乗り方なら心得ております。」
「ルナに教わっているところなので、ちょうど乗馬の練習になるかと……」
「なるほど、お絹に乗ろうと言うのじゃな?それなら、馬具を揃えてきたら貸すとしよう。馬具ならこの街で揃うはずじゃ」
「ありがとうございます!」
「いやいや、こちらこそ、お絹のわがままに付き合わせて悪いのぅ。色んな景色を見せてやっとくれ」
ほっほっほっ、と嬉しそうに笑うおじさんを横目に、私達は馬具を手に入れるために街の中のお店に向かった
百鬼のメンバーが言うには、馬具は装備屋さんの片隅にある事が多いらしく、装備屋さんに向かった私達は、これ!と言ったものを見つけることが出来ず悩んでいた
「やっぱり……乗り心地が、1番……でしょう?」
「いや、乗るのがリーシャなら、馬が疲れない装備の方が距離を稼げるはずだ」
「デザインはこっちのが可愛いんだけどなぁ〜」
「素材的にはこちらの方が良質ですね」
「金額的にはこれがいいと思うんだけどなぁ!いっちばん高いやつ!」
「いや、流石にそれはゴテゴテしすぎてダメだろ……どこの王様の馬だよ」
ワンチャンお姫様だったかもしれないこのお馬さんになります
……とは言えないので、それぞれの持ってきた馬具を見てみる。
ロアちゃんの持ってきたのは乗り心地がいいらしいふわふわクッションの馬具だ。
鋼牙君が持ってきたのは、馬の方に優しい素材を使った馬具らしい
いずなさんがえらんだのは、黄色いフリルが何気なくあしらわれたちょっと可愛い馬具
ルナが選んだのは、肌触りに拘った質感の皮を使用してる馬具だ。
レイさんが選んだのはとてもきらびやかでゴテゴテしすぎて……よく言えば豪華悪く言えば成金丸出しなデザインだった
レイさんの選んだものは置いといて、他のやつはそれぞれのいう魅力が主張しあっててとても引かれる。
でも、買うとしたらあって2個……使う用は1個だろう。
オーダーメイドもできるらしいが、出来上がるまでの時間ここに滞在している訳にもいかない。
「最初に座り心地のいいものを選んでしまうと他のが使えなくなってしまいますよ?」
「でも……座るの、ルナと一緒。なら、座り心地重視」
「ふむ、それもそうですね……」
「馬にいい素材って、実際につけてみないとわかんなくな〜い?」
「馬が長持ちする馬具なら良いんだよ。馬によって好みは違うんだからその都度調節出来るこれがいい」
「調節までできちゃうの?それ凄い!いいじゃんこれ」
どうしたものかと考えてると、ほかのみんなの中では2つまで絞られたようだ
「リーシャちゃんはどうもちがいいと思う?座り心地か、馬に負担にかかんないほう」
「そうですね……私が要練習なのは変わりないので、ルナの言う通り、乗り心地いいのになれるわけにはいかないですし、負担のかからない方がいいですね」
「そっかー。じゃあ、鋼牙君の勝ちだー」
「勝ち?……賭けでもしてたの?」
「んーん。どっちがいいか多数決になったんだけど、「リーシャちゃんが選ばなきゃ意味ない」ってことになったんだよ」
「なるほど、それで鋼牙君の選んだ方の勝ちってことか」
「そうそう」
楽しそうにそうかえしてくれたいずなさんは、選ばれた馬具を私に渡すと、ほかの皆の元に駆けてった
ほかの乗馬用の装備も一色揃えると、装備と馬具の会計を終わらせて、装備屋を出る
お金?襲撃を回避したご褒美にって少しお金もでてたから、それで買ったよ
ついでにお絹ちゃん用の餌もいっぱい買う。アイテムボックスに入れれば時間経過しないし、たくさん買ってしまった。
そんなこんなで馬車乗り場まで戻ると、おじさんが待っててくれていた。
「待たせちゃってごめんなさい!」
「ほっほっほっ気にしてないさ。お絹とお話してたからあっという間だったよ」
「お絹ちゃんとお話するんですか?」
「ああ、この子は賢いからね。人の言葉がわかるようで、YES or NOで会話ができるんだよ」
「すごーい!っと、馬具一色買ってきましたけど……提案しておいて何ですが、そんな凄いお馬さんなのにいいんですか?」
「いいって……何か問題でもあったかのう?」
「いえ、馬車馬をしていることの方がこの子の為になるのかもしれないのかなと……」
「なら直接聞いてみればいい」
直接……つまり、お絹ちゃんに聞いてみるということだ
芸をする動物は初めてなので、ちょっとドキドキワクワクする。
私はそれを抑えながら、お絹ちゃんに話しかけてみた
「お絹ちゃん、お絹ちゃんにとって馬車馬をするのは楽しい?」
お絹ちゃんが頭を縦に振る。多分、Yesだ
「体にのられるのは嫌?」
首を横に振る。NOだ
「私が乗ってもいい?」
YES
「乗られて走るのと馬車馬じゃあ、馬車馬の方が好き?」
NO
「私を乗せて一緒に遠くの街に行くのはお絹ちゃんにとってはいいこと?」
激しく首を縦に振る。YES!って感じだ
「馬車馬には戻りたい?」
これは、頭を傾げた。
YesNO以外の反応らしい。
「……分からない?」
YES
なるほど、戻りたいかどうかは今のところ分からないらしい。まぁ、その時になったらまたおじさんを訪ねに来ればいいだろう
ひとまず、一緒に来ることに乗り気なことがわかったので今回はよしだ。
「それじゃあ、私のお馬さんとして、暫く一緒に居てくれる?」
YES
いっぱい反応をしてくれたお絹ちゃんの頭を撫でながら、私は新しく買った馬具をお絹ちゃんに付けてもらう。
「着心地はどう?良い?」
YES
と嬉しそうに頭を振るお絹ちゃんに、悩んで買ったかいがあるなとこちらもとても嬉しくなった
「それじゃあ、お絹ちゃん借りていきますね!」
「ほっほっほっ。大切にしてくださいよ」
「もちろん!大切にします!」
「じゃあな、お絹。元気でやるんだぞ」
ヒヒーン
おじさんの言葉に元気に反応すると、スリスリとおじさんに顔を寄せた
「そういえば、お絹ちゃんが抜けた分はどうするのですか?」
「あぁ、拠点はこの街だから、私有地にほかの馬もいるし、この街の馬小屋で新しい子を見繕う予定だよ。ローテーション組むために無期限契約の買い取りにするつもりだから、今度来た時挨拶してやってくれ」
「分かりました、それでは、また会いましょうね」
「あぁ、また会おうね」
お絹ちゃんのスリスリが終わったところで、お別れを言うと、優しい笑顔で送り出してくれた
▼リーシャはお馬さん(お絹ちゃん)を手に入れた!




