もはや温泉(サービス回)
湯船の準備が出来てると言われて連れていかれたお風呂は、最早温泉だった。
それだけ広いのである。
用事という名のお花摘みを終えて部屋に着くと、早々に案内されたのがその温泉だった
ルナが聞いた話によると、何代目か前の王様が無類の温泉好きだったらしく、大きな温泉を城内に建てたらしい。
そうでなくとも貴族の風呂は広いのに、貴族の私が唖然とする程の広さである。
百鬼のメンバーは、脱衣所から中に入ったところでボーゼンとしていた
「なにこれ、夢かしら……」
「……ほっぺ、痛い……」
「湯気で端が見えない程の広さってどんだけよ……」
脱衣所に入った時には既に、ボーゼンと立ち尽くしている3人がいた為、何となく察した私は、ルナに手伝ってもらって衣類を脱いで、タオルを体に巻く。
……と、私の存在に気づいたらしい3人が、近づいてきた
「お城ってこんな広いお風呂いつも使ってるの??」
「よゆーで、泳げる……凄い」
「やばすぎでしょ。リーシャちゃん家もこんな感じなわけ?」
「いやいや、流石にここまでは広くないよ」
「だよね、良かった〜私達の方が常識無いのかと思っちゃった」
「お風呂……泳ぐ……ワクワク」
「くしゅんっ!う〜、ここに居ても風邪ひくしお風呂入るか!」
レイさんの言葉で各自好きな場所のシャワーをとる。
魔石で動くことになっているそのシャワーは、丁度いい暑さのお湯が出てきた。
各々が体を流し始めたところで、
そういえば、と思ってアイテムボックスから石鹸を取り出す。
体にも髪にも使える一石二鳥の便利アイテムだ。
暗殺者時代に体を洗いたくなった時に重宝してたやつだ。いい感じに洗いきれない所がいい。
早速、と使おうとしたら、ルナに止められた
「備え付けのボディソープがあるでしょう。こちらで洗いますよ?」
「でも、この石鹸一石二鳥でお得なんだよ」
「王城なのですから贅沢に使わせていただきましょう。髪用のソープもありますね。」
私の言葉ガン無視で、泡立てたボディソープを体につけられ洗われた
「ほら、次は髪ですよ」
という言葉に渋々と石鹸をアイテムボックスにしまったのだった。
全身洗われて湯船に浸かると、「ほぅ……」と思わずため息が出る
百鬼の3人も、各々体を洗って湯船に入ってきた。
「そういえば、鋼牙君は?」
「入口で男女別れてたから男の方に入ったはずだよぉ。ふぁ〜とてもいい湯だわぁ〜」
「端まで……泳ぐ……!(パシャパシャ)」
「流石に男の子だもん、一緒には入らないよー」
「なるほど」
そういえば入口が別れてたような気もしなくない。入口がデカすぎてそこまで見てなかった
ロアちゃんが1人楽しそうに泳いでるのを眺めながら、そういえば1人だけで鋼牙君はちゃんと湯船に行けたのだろうかと心配になった。
この3人のようにボーゼンと立ち尽くしてて、風邪ひかないといいけど
3人の姿を見ていて、皆スタイルいいなぁ〜と思わず思ってしまう
いずなさんは言わずもがな、ボンキュッボンである。
ロアちゃんは、子供体型と言えば聞こえは悪いが、スラリとした手足が生える綺麗な身体だ。
レイちゃんは、その2人のいいとこ取りみたいな感じで、お胸は大きすぎず小さすぎず。ちょうどいい感じだ体が小さいので、本当に人形みたいである。
「そういえば、普段はどうやって身綺麗にしてるの?いずなさんとか、すごく毛並み綺麗」
「ああ、これ?専用のオイルがあって、洗浄魔法で汚れとった後にいつも使ってるの〜」
「めんどくさいけど、鋼牙君が誕生日にプレゼントしてくれたものだからって、ずっと使ってるのよね、リーダー」
「まぁ、パーティから貰ったものだからね。ロアちゃんやレイちゃんのプレゼントも大事にしてるよー」
「良いですね、誕生日プレゼント他には何を貰ったの?」
「ロアちゃんからは、妖狐のぬいぐるみでしょ、レイちゃんからは貯金箱だったかなー」
「妖狐……探すの、苦労した。」
「貯金はいくらあっても困らないからね!」
パシャパシャと端から泳いできたロアちゃんの言葉に、ちょっと引っかかる。
「そういえば、狐の獣人さんと妖狐さんの違いって、なんなのですか?」
「おや、それ聞いちゃう?他の人に聞いたらアウトだから、あまり聞かない方がいいよぉ〜?」
「でも、いずなさんなら教えてくれるでしょう?」
「ありゃ、バレてた?んー。そうだねぇ。
1番の違いは、しっぽの数。
狐の獣人はどんだけ魔力高めても1本から増えないのに対して、妖狐のしっぽは魔力タンクだから魔力が増えたら増えただけしっぽの数が増えるのよ
あとは、純粋に魔力の総量ね。魔力タンクがある分、妖狐の方が魔力が高いの」
それを聞いて、浴槽の端にうつ伏せに浸かっているいずなさんのしっぽの辺りを見てみると、2つのしっぽがゆらゆらと生えていた。
「本当だ、1本じゃない」
「でもまぁ、最低三本は無いと、妖狐としては大人と認められないのよね。だから私は前衛やってるの」
「大人として認められないと魔法が使えないの?」
「使えないと言うより、使いこなせないの方が正しいかなぁ〜」
「なるほど……」
「まあ、大人になるために旅に出たって感じだから、そんな気にすることじゃないよ大丈夫」
大人になれないで旅をしているいずなさんの事情を色々考えていたら、そんなふうに返された。
(気を使わせちゃったかな……)
ちょっとだけ、聞いたのを後悔した。
湯船から上がると、風の魔石でいい感じに空調の効いた脱衣所で少し汗が引くのを待ってから、いつの間にか用意されていた寝間着を各自着る。
それぞれのイメージカラーに合わせて、薄めたような色合いの寝巻きは、とても似合っていた。
(私のイメージカラー黄色なの……?)
と、ツッコミを入れたくなったが、多分髪の色のイメージが強いのだろう。黙って着ることにした
ちなみにルナのイメージカラーは毛の色とおなじ黒色だ。寝巻きの着色は薄いから、灰色っぽくなっているが。
脱衣所を出て、目の前にあったベンチに座ってると、鋼牙君が男湯からでてきた
「おー。お風呂どうだったよ〜ひとりであの広さは寂しくなかったかい〜?」
「……がいた」
「え、なんだって?」
「王様が、先に入ってた」
「「「「え」」」」
「俺、なんも記憶ねぇ……何話したのか覚えてねぇ……」
まさか過ぎる展開に、皆鋼牙君言葉をかけることが出来なかった……
ただ1つ皆が思ったのは、「王様が出てくる前に部屋に戻ろう……」と言うことだけだった
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部屋に戻ると、ルナがドライヤーという魔道具で髪を乾かしてくれる。
私の髪が乾いたあと、ルナの髪を乾かすのを申し出ると、「お嬢様、触りたいだけでしょう?」
と、見透かされてしまった
「バレた?」
「出会ってから頻繁に撫でられてれば、嫌でも予測つきます」
「嫌ならやめるよ……?」
「……別に、嫌では無いですけれど……」
と言いつつ、しっぽがゆらゆらと揺れてるのを見て、嬉しくなる
「はい、じゃあ私に甘えて、ルナ」
「……お言葉に甘えて。」
私はルナの頭をナデナデしつつ、毛を乾かしてあげたのだった




