王都で王と謁見と
洗浄魔法で返り血を洗い流してると、いずなさんや鋼牙君にも魔法をかけて欲しいと言われて、汚れを綺麗にしてあげた。
因みに、盗賊の遺体は、ロアちゃんがきっちり焼いてくれてある。
討伐した対象の情報はギルドカードに乗るので、体の一部を持ち運ぶ、なんてこともしないでいいのだ。
こちらには、冒険者の方の傷と、馬が一頭怪我したのみですんだ。
腕を疑ってた訳では無いが、百鬼のメンバーは結構優秀な冒険者のようだ。
王都に着くと、王城からのお迎えが来ていた。
父と兄も呼び出されているそうなので、すぐに向かうことにし、お迎えの馬車に、百鬼のメンバーと一緒に乗り込む。
……え、レイちゃんの席?ロアちゃんの膝の上です。
少し羨ましい。
「そういえば、自分で求めといて何ですけど、種族の違うパーティは珍しいよね?どういう関係で集まった人たちなの?」
「そうだねー。それこそ、成り行きかな?魔法使いを求めてたら、たまたまロアちゃんが空いてて、2人で活動するようになって、そこから、タンクが欲しいねって話してたら鋼牙君が自分を売り込みに来て、そろそろ補助とか回復の人も欲しいよねって話してたら、たまたま川でレイちゃんが釣れて」
「釣れて……??」
最後なんかおかしかった気もしなくないが、概ね成り行きでと言った言葉の通りのようだ
「なにかこう、特別な理由でもあるのかと思いました」
「理由ねぇ〜。あるとしたら、利害の一致?たまたま欲しい役職が来てくれたって喜ぶ私と、他の皆の利害が一致したからパーティ組んでるってのはあるね。」
「レイの時は……「助けて貰った恩はしっかり返すわよ!」って、感じだった……よ。」
ロアちゃんがあまり似てないレイちゃんの真似をしながら会話に混ざってくる。
「まぁ、恩返しだけならとっくに抜けてるけど、パーティの方が儲かるし、私も利害の一致ね!」
「パーティ組んで長いんですか?」
「そうね、もう10年は組んでるわね」
「10年……?そんなに、経ってたっけ……?」
「4人集まってからで数えたら、そのぐらいじゃないか?」
「そうね、私が入ってちょうど10年!あっという間ねぇ」
それぞれ思い出に思いを馳せているが、私としては10年という数字は複雑な気持ちになる。
(10年か……前世での私の寿命が、ちょうど10年ちょっとだったな)
前世の経験があるからこそ、今ここに入れることに感謝するべきだと思った私は、唐突にだが前世で犠牲にしてしまった者達に黙祷する
それに合わせて、何かを察した4人も、黙って黙祷し、私の様子を見守ってくれた。
5人皆で黙祷してると、王城に着いた。
王城のエリアに入ると、黙祷してたレイさんが急に「あれ、これもしかしてお城に向かってるの?」と聞いてきた
「あれ、言ってなかったっけ」
「何も聞いてないよ!え、どうしよう、礼儀作法とかわかんないよ??」
「大丈夫……私も、わかんない」
「いや、何も大丈夫じゃないからな?」
「ま、まぁ、なんとかなるでしょ〜。ねぇ、リーシャちゃん」
私に助けを求める視線が集まるが、私だって礼儀作法は見よう見まねでしか身につけていない。
どうにか、各自頑張って欲しいものだ。
どうしようどうしようとレイさんが慌ててるうちに、王城の玄関に着いた
たくさんのメイドと執事がそれぞれ左右に1列に並んで道を作ってくれている。
(この間を通るのか……胃が痛い……)
貴族らしい扱いなどとうの昔に置いてきた身としては盛大に出迎えられるのは本当にキツイものがある
百鬼のメンバーも各々緊張しているようで、目の前の光景にだんまりである。
馬車の扉が開くと、まず鋼牙君が降りた。そして、エスコートするようにこちらに手を差し出してくれる。
ここは降りる順番は身分の低いものからだったか?高いものからだったか?究極の二択に女勢がざわついていると、
鋼牙君から、早く、と口パクで急かされた
結局、いずなさんが先に鋼牙君の手を取り降りていった。
次にレイさん、ロアちゃんの順に降り、最後に私が降りることになる。
緊張で手に力が入りすぎたのか、少し鋼牙君が痛そうにしてたのは申し訳なかった。
何事も無かったかのように降りた私達は、メイドと執事の間を抜け、そのまま場内に入る。
入ってすぐのところにいた兄に、ほっと安堵の声が漏れた
「アースお兄様!」
「リーシャ、よく帰ってきた。無事かい?怪我はないかい?」
「大丈夫ですわ。もし怪我をしたとしても私回復魔法使えますもの」
「回復魔法なんていつ取得したんだ?」
「それは、乙女の秘密ですわ。」
「む……秘密か……」
うっかり失言してしまったので誤魔化すと、そこから先は追求しないでいてくれた
ごめんよ兄。いつか全部話すから
「後ろの人達が護衛の冒険者かい?」
「そうですわ。左から順に、いずなさん、ロアちゃん、レイさん、鋼牙君。ですわ。」
「「「「よ、よろしくお願いします」……」!」」
「はは、緊張しなくていいよ。いつも通りで過ごしてくれ。妹のこと、よろしく頼むよ」
「本当?ラッキー!私フェルレイン。レイって呼んで!」
「ちょ、レイ、さすがにそれは砕けすぎだろっ」
「あははは。貴族っぽくないリーシャちゃんの兄なだけあって、器が大きいんだね〜。意外と苦労人と見た。」
「貴族っぽくないは……失礼……でも、同意……」
「私そんなに貴族っぽくないでしょうか?」
「うん、今の喋り方違和感あるし、いつもの素のままの方がお姉さんはしっくりくるかなー」
「素のリーシャ……?」
「そんなことより、謁見は?父上は居ないのですか?」
いずなさんの言葉に兄が反応してしまったので慌てて本題に戻す
「あぁ、父上と陛下なら既に謁見の間だ。私はリーシャがまた迷子にならないように、道案内としてここに残っていた。」
前回王城に来たことで、ある程度の建物の配置は覚えたのだが、前回迷子になったことが余程印象に残っていたのだろうか……そんなことを言われてしまって、
いずなさんに「親バカ……いや、兄バカだねぇ〜」とからかわれてしまった
「大丈夫です、場所は覚えてますので」
「それだけじゃない、移動に困るだろうと、陛下からの言葉だ。」
「うっ……それは……そうですね……」
5歳児の歩幅など、待っていられないだろう。そこは言葉に甘えることにした……。
……兄にお姫様抱っこされるのが嬉しい訳では無い。決して。
謁見の間に着くと、兄が私を抱っこしたまま器用にノックする。
「入れ」との陛下の言葉と共に、扉番により扉が開かれ、私は2回目の謁見の間へと足を踏み入れた。
1回目は、事前に話されてたので、確認だけだったが、今回は私たちの情報を伝えることが目的の為、変に緊張する。
中に入ってから皆、頭を下げて膝を着いている。
「リーシャ・アルマテルグ、参上いたしました。」
「堅苦しい挨拶はよい。その者達の紹介をしてくれ。」
「はい。」
兄に紹介した時のように、リーダーから順番に紹介しようとすると、いずなさんを紹介したところで、いずなさんが口を開いた
「冒険者パーティ百鬼のリーダーを務めさせていただいております。いずなと申します
この者達は私のパーティメンバーのロア、鋼牙、フェルレインと申します」
「む……そなたに発言権を譲った覚えはないぞ?」
「パーティメンバーの紹介なのですから、リーダーの仕事でしょう?それに、そんなに器の小さい王だとは思っておりませんので」
「あくまで対抗するか。面白い。皆の者表をあげよ。」
その言葉に顔を上げると、王様もいずなさんも面白いものを見つけたと言わんばかりの笑みでお互いを見つめていた。
「其方達は、本日より依頼完遂までの間、リーシャ・アルマテルグの護衛になる。異論は無いな?」
「はい。喜んで」
間髪入れず返事をされ、少し嬉しくなる。
この人たちを選んでよかったとちょっと思ってきた
「相応の報酬は用意しておこう。各自、望みの報酬はあるか?」
「私はお酒を所望します飲んだことの無いお酒が欲しいです」
「俺は、壊れない……壊れにくい盾が欲しい」
「私の知らない魔法……ワクワク。」
「私はお金があれば何もいりません!」
各自、自身の欲しいものをいうと、国王はちょっと楽しそうに私の方を見た
「リーシャ・アルマテルグは何を望む?」
私が望むこと……それはひとつだ。
「平和のために。幸せな未来のために。とある暗殺者集団の壊滅を望みます」
裏切り者のいる集団の壊滅それが一番の報酬だ
そうすれば、裏切り者に狙われることも、邪魔されることも無くなるはず
私は、わざと平和のためにと言い切った。




