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手を汚す事の必要性

残酷な描写、グロい描写があります

苦手な方はあとがきのまとめを読んで次話にお進み下さい

来た時は順調だった道だが、帰りの道はそうもいかなかった


というのも、盗賊に囲われてしまったのだ


前半分を同席した冒険者パーティが請け負ってくれて、私達は後ろ半分の盗賊の相手をする事になる


いずなさんが、攻撃に行ったり引っ込んだりとトリッキーな動きをするのに対して、鋼牙君は前線で盾を構え最前線を維持する。

後ろではロアちゃんが魔法を放ち、レイさんが補助魔法で援護する。

私?私は、隠密で姿を隠し、盗賊の背後をとって奇襲しようとしてるところだったのだが……。


……盗賊なのだから、悪人だとわかっているが、何故か手が震えて、言うことを聞かない。

また冤罪で殺してしまうのではないかと頭によぎるのだ……


盗賊に魔法が使える奴がいたらしく、その魔法がロアちゃんを狙った時、ようやく自分の中で決心が着いた

。

魔法を放とうとする盗賊の手首を掻っ切ると、そのまま首にナイフを当てる。

そのまま、「死を克服せし者」で盗賊を見ると、ゴロゴロと罪状が出てくる。今回も人殺しと金品の強奪が目的のようだ。スキルは嘘をつかない。

安心して仕留められると、ナイフを横に引いた。


遠距離攻撃の者をそうやって間引くと、あとは鋼牙君達が何とかしてくれて、盗賊は全部仕留めることが出来た。


首から飛び散った返り血を少しだけ浴びてしまったけれど、今回の一件で

緊張した自分の体が、悪人が殺せなくなったわけではないとわかって安心した。


ふぅ、と息をついて、気配を消して隠れてた草むらから出てくると、途端にロアちゃんに抱きしめられた

「ごめんねほんとなら私達がもっとちゃんと動いて、リーシャちゃんを守らなきゃいかなかったのに、私がちゃんとしてれば、狙われてることも気づいたのに!こんなに血に濡れてしまって!本当にごめんね」

「はい……いえ、あの、私は大丈夫ですよ?」

戦えますから大丈夫、と伝えると、なぜが余計に目に涙を貯めて私を見つめたあと、さらに強く抱きしめられてしまった

「あの……ロアちゃん……?」

「いつものやつだ、気にしなくていいよ」

「え、でも……」

「まだ幼いのに重い依頼をこなさなきゃいけない事に可哀想ってなってたところに、まだ幼いのに手を血で汚してしまったってのが重なって、可哀想すぎるってなってるんだよ。旅をするなら盗賊退治は必要なことだから、そんな心配することないと思うんだけどな俺は……」

「な、なるほど……」


そっか、私、手を汚してしまったのか

兄があれだけ阻止しようとした事を、自らの意思でやってしまった。

途端に、兄に申し訳なくなってきた

(身を守るためには必要だった。強くなることも、殺すことも。

でもそれは、前世ほど切羽詰ったものでは無い。手を汚さない方法も選べたはずだった。)

自分の手を見て、グッと握りしめてみる。

(私の手が汚れる代わりに守れるものがあるのなら喜んで手を汚そう。でも、早とちりだけはしない。しっかりスキルなり情報なりで見極めてからだ。)


手を汚さないことは出来なかったが、手を汚したことで守れたものはあった。今回はそれでいいと思うことにした


ーーーーーーーー


レイさんが、傷の手当に回るらしいことを聞いて、私もと手伝いを申し出ると、

「回復もできるなんで、完全自己完結型の兵器みたいね!心強いわ!」

と、返された。


確かに自己完結型ではあるが、完全では無い。あまり褒めないで欲しい

「いやそこ照れるとこじゃねぇから」と、鋼牙君のツッコミが入ったところで、レイさんが御者と馬の様子を見ると言ってくれたので、私はもう1組の冒険者の方に向かうことにした


「怪我とかしてたら直せますよ」と申し出ると、前衛の人が、少し大きめの傷と、細かい傷がいくつかで来ていたので、すぐに治す。

「お代は……」

と聞かれたので、いらないと答えたら、どうせならと、パーティのひとりの傷を治してくれないかと言われた

見た限り、傷を負ってる人がいないので「?」を浮かべると、

冒険者の人は馬車から、目元に包帯を巻いた一人の女性を連れて降りてきた

ついでにレイさんが診察を終えて着いてくる


「この女は、俺の妹なんだが、魔物の毒を目に浴びちまって、今から王都の病院に行こうと思ってたんだ。体調も悪くなる一方だし、少しでも回復させてやれねぇかな?」

事情を説明した男が、頼む、と土下座をする

「そんな、顔をあげてください!私の未熟な回復魔法でいいのなら、全然力になりますから」

「人助けは人の為ならず。いずれ回り回って自分のために、って言うものね!私も手伝うわよ」


お金がかかってないのに珍しくレイさんが乗り気なのをいいことに、診察を始める目元の包帯をとると、とても酷い有様だった。まぶたがじゅくじゅくと膿んでおり、目は毒を浴びたからか白く濁っていて、とても前が見えるとは思えない有様だった。

レイさんも思わず、「うわ、思ったより凄い……」と呟いてしまうぐらい、衝撃的な見た目だった

「死を克服せし者」で状態を見ると、完治はできないが、見えるようにはなるらしい。


そのために必要な素材を読み上げながら、アイテムボックスから出してゆく。

「イッラの実に、クスグテング、メスィ草に、消毒用のアルコール、と。」

「?回復魔法で回復させるんじゃないの?」

「この薬を作った方が効くってスキルで出てるんです」

レイさんが流れ的にそうだと思ってたと言わんばかりに、「?」を浮かべているので、正直に話すと、「うわぁお……」といつものうるささが嘘みたいに静かになってしまった

アルコール……消毒用のなんて持ち歩いてないので、1番度数の高いお酒で代用することにする。

布にアルコールを染み込ませ、傷口をぬぐうと、女性は痛そうに顔を顰めながらも、我慢してくれた。

そして、調合させた素材を傷口に塗り、

それとはまた別の素材を取り出し、今度は粉薬を作る。

水筒の水を持ってきて、飲むように促すと、女性は恐る恐ると言った感じで粉薬を飲んでくれた。


「……あら、痛みが引いてきたわ」

「鎮痛作用のある薬草も混ざってたので、恐らくそのおかげでしょう。今回の薬の材料はメモして渡すので、1日1回飲んでください。

あと、包帯は頻繁に変えるように。今回みたいに膿んでしまいます」

まぶたの傷と瞳とで、それぞれ違う薬を2枚の紙に書くと、冒険者の男に渡した。

「これ、本当に治るんだよな?」

「私のスキルを信じていただけるなら、完治は難しくても、再び目が見えるようにはなるでしょう。それとも、私が信じられませんか?」

「いや、そういう訳では……」


いや、まぁ、そうだろう、突然子供が薬を処方するなんて言って信じろというのだ。普通なら信じれない。

でも、回復魔法の腕は見たであろうから、一概に嘘ともいえなくて……と言ったところだろうか。

問答するのはいいが、こっちとしては信じて欲しいとお願いすることしか出来ない。

ついでに……

「処方が今のタイミングで良かったです。もう少し遅かったら、危険でした。」

「死を克服せし者」では、赤色に光っていたのだから、もちろん全力で治る薬を作っている。

幸い、安値で買い取れるような薬草がほとんどなので、薬を作ること自体は難しくないだろう。あとは、本人と冒険者さんが決めることだ。


私は、とりあえずメモを渡して、

「信じていただけるならこの薬を飲ませてあげてくださいね。」とだけ言い残して、

襲撃は受けたものの、無事だった馬車に再び乗った。


それを見て、百鬼のメンバーも冒険者さん達も馬車に乗って馬車は再び出発した


盗賊退治して手を汚してしまった

相席した冒険者の仲間の目を治した

馬車に乗っていざ王都へ

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