『百鬼』のパーティ
ギルドに入ると、無数の目がこちらを向き、興味なさげに目を逸らした
注目されるよりはいいが、私だけだと貴族っぽく見えないとのだろうか……?いや、変に警戒されなくてありがたいのだが。
人が並んでいる受付を見つけて、後ろに並ぶと、数十分程で私たちの番が来た。
「冒険者ギルドへようこそ。ご要件はなんでしょうか?」
「冒険者パーティ『百鬼』のいずなさんに会いたいのですが、どこにいらっしゃるか分かりますか?」
「いずなさんでしたら、奥のテーブルで酔いつぶれてますよ?」
あちらです、と指さされた方角には、テーブルに4人座っており、1人が受付さんが言ったように酔いつぶれてしまっていた
「ありがとうございます」
とお礼を言って、4人組に近づくと、視線がこちらを向いたので、お辞儀をする。
「冒険者パーティの『百鬼』さんでお間違いないでしょうか?」
「間違いないですよ。依頼ですか?」
「はい。そうです。指名依頼をしたくてまいりました。」
正直に言うと、指名依頼をしてること自体も隠したかったがここは仕方ない。
「お話を聞いてくださるなら、別の部屋で依頼内容をお話いたしますわ。」
そう言うと、酔いつぶれていた女の人が、「ふーん」
と、獲物を見つけた獣のような目でこちらをまじまじと見てきた。
「良いね、面白そうじゃん。受けてあげる」
「いずな、いつもの事だけど……まだ内容も聞いてないのに……受けるのは問題がある、かな?前回だって……」
「はいはいわかってるわかってる〜」
「わかってないじゃない。報酬がちゃんとしてるのじゃないと、私受けないわよ」
「そこはぁ〜リーダー命令で〜」
「何回目のリーダー命令だよ。あんまり危険になるようならリーダー交代してもらうからな?」
「ええー。そんなこと言うのぉ〜しくしく……ロア〜鋼牙とレイが反抗期だよォ〜」
「依頼内容によっては……私も……反抗期」
「そんなぁ〜」
しょんぼりとした顔で間延び気味に話す女性がどうやらパーティリーダーらしい。
私は、パーティの皆さんにのみ聞こえるような声で、
「これは王令です」と囁く
すると、見た目通り多種多様な反応が帰ってきた
「んおお、いいじゃん面白そう」と乗り気なのは、大人の女性って感じの魅力たっぷりな、赤毛の妖狐の女性のいずなさん
「王族……貴族……怖い……」と、小声気味に怯えてるのはロアと呼ばれてた、空色の髪のエルフの少女
「王だろうが何だろうが、依頼を受けるかは内容によるだろ」と、至って真剣なのは、先程、鋼牙と呼ばれた黒い髪の吸血鬼……いわゆる鬼の男の子
「ってか、王様からの依頼来るって、私たちも有名になったってこと?これを機にいっぱい稼げたりしないかなー」と、捕らぬ狸の皮算用をしている、緑の髪に紫の蝶の羽の妖精の女の子が、レイと呼ばれてた子だ。
「まずは、場所を移しましょう?そこで細かな内容を説明いたしますわ。」
私がそう言うと、ロアちゃんを引っ張っていずなさんが最初に着いてきて、鋼牙君とレイちゃんは呆れるように着いてきた。
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ギルドの受付で部屋を借りて、その部屋に着くと、まずは音声遮断魔法を部屋に展開する。
こうすれば、部屋の外から声を聞くことは出来ない。
魔法の気配に気づいてロアちゃんが何か言いたげだったが、ここはぐっと抑えてもらおう。
皆が席につき、ルナとトーマが私の後ろに着いたのを確認してから、本題に入る。
「私は、先日予知能力を手に入れました。そして、その予知能力の予知と王令で、各国に戦争を収めるための使者として向かうことになっております。
『百鬼』の皆様には、各国に行く為の護衛をお願いしたく存じます。」
「護衛……ねぇ。」
なにか含むように言葉を貯めたいずなさんは、ニッと笑うと、 突然剣の腹で私に殴りかかってきた。
ルナとトーマが止める前に、拘束魔法で止めると
「はっはっはっはっはぁ」といずなさんは大きな笑い声を上げた
「これだけの実力があって護衛?なんか裏があるんじゃないの?」
「そうですね……そこは機密事項になります」
「機密事項ねぇ、納得させるためなら、必要なことじゃないの?」
「それもそうですね……でしたら1つ。」
拘束魔法を解いて、いずなさんが元の位置に戻ったのを確認して、笑顔で言葉を発する。
「予知して動いたことで生じる、予知との矛盾の部分を心配しております。」
「矛盾?」
「はい。例えば、私が強行突破で国と話をすることにしたとしましょう。その場合、侵入者として排除されますよね?」
「……まぁ、使者だと言わなければ、ただの侵入者だろうな」
「その場合死ぬと予知で出ているとします。だからと、使者だと言って近づいた場合は安全だと言えますか?」
「完全な安全は……無い……」
「そうです。その安全を確保するためにも、私には各国の出身者である方たちのつてを頼りに、信頼を得たいのです。」
「はぁーん、なるほどねぇ。変に隠されるよりはいいけれど、面と向かって利用しますと言われるとは思わなかったね」
はははははっと笑ういずなさんは、笑いが止まると、真剣な顔で「いいよ」と言った。
「世界の平和のために、利用されてやろうじゃない。皆もいいね?」
「拒否しても……無駄……」
「そうだな、1度決めたら頑固だもんなリーダーは」
「私は賛成よ!王令なら、報酬いっぱい貰えるんじゃないかしら!」
「ええ、働きによっては報酬に色をつけさせていただきます」
「やっりぃ!私は協力するわよ!」
「フェルレイン……現金……」
「レイはお金が絡むといつもこうだな……」
「まともなの……私達だけ……」
「あー。まあ、そうだな。」
鋼牙くんが何故か曖昧な反応を返すのを見て、すこし「?」となるが、スルーする事にした
「っと、それでは、矛盾がないかの確認のためにも、私が予知で見た光景を共有いたしますわね。」
私が前世から戻ってきた時間軸から、今に至るまでの話と、前世でどんな目にあったかを話す。
もちろん、戦争が起こる前提の話でそれらを語ると、
ロアちゃんがよろよろと近づいてきた
「リーシャ様」
ルナが止めようとしたのを止めると、ロアちゃんは私を抱きしめてなでなでと私の頭を撫でたそして
「可哀想可哀想に大変だったねしんどかったねそんな目にあってたから魔法がそんなに使えるんだね私警戒しちゃってごめんねそして許さない裏切り者絶対許さないこんな可哀想可愛い子を勝手に拾った挙句ゴミのように捨てるだなんて絶対に許せない安心してね私たちが守るからね襲撃なんて受けないように注意するから大丈夫だからね……」
呪詛のように1呼吸で喋ると、ぎゅーと私を抱きしめてきた。
「あーあ。始まった。ロアの悪い癖だ」
「く、癖って……?」
「ロアは可哀想な奴が好きなんだよ。可哀想な奴を見つけると全力で守ろうとするんだ。まぁ、今回はあんたにとってもありがたいんじゃないか?」
「まあ、それはそうですが……」
どんどんと呪詛が呟かれ、抱きしめる力が強くなって来るのを感じながら、少し不安になったのだった。




