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Idea  作者: ひのきそら
第三章 defenders of railgun
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測られる実力

 銃を乱射しながら少年は駆け出す。紡とアリスは撃ち出される弾丸を刀で弾きつつ接敵し斬りかかるが、素早い軍刀で二人の刀を薙ぎ払い強烈な蹴りを喰らわせる。二人が怯んだ隙をつき、少年はアリスに銃口を向けるも、花音の放ったノーツが少年を捕らえ後退させる。


「全隊撃てえ!」


 オリヴィエの号令を皮切りにバロール兵が一斉に光銃の引き金を引く。だが、レーザーの弾幕を容易く避けながら少年は再びアリスに接敵する。態勢を立て直すも絶え間なく繰り出される銃撃と軍刀による剣戟に反撃する暇も無くあっという間に追い詰められてしまう。


「つ、強い……!」


「ありす殿、下がれ!」


 そう言い放ち紡は飛び出すと少年と互角に刀で渡り合う。予測が難しい銃撃も直感で最小限に受けつつ持ち前の剣技で少年を後退させる。


「なるほど、剣技であんたに勝つのは骨が折れるな。あの女と同じかそれ以上だな、桔梗紡」


「っ!? ……貴殿の太刀筋、感服に値する。そして問いに答えよ。拙僧らのことをどこで、誰に聞いたのだ?」


「その質問に今は答えられない。……ただ一つ、今のお前達では侵食者には勝ちえない」


 少年が言い終えると同時に上空から花音の放つノーツが襲う。即座に少年は飛び退きノーツを避けると、呆れた顔で花音に目をやる。


「節操が無いな。人が話してる途中に横槍は刺すものじゃないぞ」


「うっさいっての。ていうか、聞き捨てならないんだけど、今のアタシ達じゃヤツらに勝てないって。随分な物言いじゃない?」


「俺は事実を言ったまでだ。数的有利であるにも関わらず未だ俺を仕留められていない。まともに戦い慣れているのは桔梗紡と……」


 少年が言い切る前に後方で透明化したオリヴィエの撃ち出したレーザーを、直撃する前に銃弾を撃ち出し打ち消しながら続ける。


「あの狙撃手スナイパーくらいなものだ。その程度で世界を救うなんて百年早い」


「この、言わせておけば……っ!」


「ぬう!」


 少年を中心に空間が歪む。次の瞬間、辺り一帯を強烈な重圧が襲い全員が立っていられずに地に伏してしまった。立ち上がろうとアリスは必死にもがくが意味を成さない。


「立てアリス。お前が本当にIdeaを救うというのなら、立って俺に一矢報いてみせろ」


「う……くっ、ああああああああああ‼︎」


 絶叫しながらアリスは身体を軋ませながら徐々に身体を起こしていく。花音や紡、オリヴィエが動けない中、アリスは気概だけで片膝を上げ尋常ではない重圧の中立ち上がった。今にも押し潰されそうな身体を奮い立たせ、息を荒げ刀を構えた。


「そうだ、それでいい。どれだけ絶望的な状況でも、諦めない気迫が無ければ窮地を脱することは出来ない。それが戦いに身を置く者の最低条件だ……ん?」


 何かに気付いた少年は遥か後方を見つめ面倒そうに息を吐くと、一帯を襲っていた重圧が消えアリス達に背を向ける。


「ここまでだ、この世界でお前達の成すべきことを成せ。この場は俺が責任を持つ」


「オリヴィエ様、十キロ先からフォール軍の侵攻が確認出来ます!」


「……あなた、責任を持つと言ったわね。この場は任せていいという根拠はあるのかしら?」


「無いな。だが、あの程度なら俺一人で十分だ。あとはお前達次第だ」


「いきなり襲ってきたアンタを信用しろなんて無理な話に決まってんでしょ!」


「待って、私達を殺すのが目的ならとっくに殺してるはずよ。……私たちの戦力も十分とは言えない。ここは撤退するのが懸命よ」


 オリヴィエは立ち上がるとすぐさま撤退の指示を出し部隊を引かせる。花音と紡も後に続いて立ち上がると少年に踵を返す。乱れた息を整え、背を向けようとしたアリスを少年は呼び止める。


「アリス、この先の戦いは俺の様に甘い連中はいない。覚悟しておくことだ」


 そう言い残し、少年は空間を歪ませ姿を消した。冷たい風が吹き荒ぶ中、少年がいた場所を見つめ撤退した。

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