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Idea  作者: ひのきそら
第三章 defenders of railgun
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ガロン川国境警備

 幅一キロ程ある広大な河川。ガロン川は巨大国家フォールとバロール連邦国を隔てる国境として機能していた。


 ここ最近になってガロン川近辺から北上し侵攻するフォール軍が後を絶たない為、周辺は常に警戒態勢を張られていた。アリスを連れて戦地に赴くというオリヴィエの意向を聞き激怒した花音をどうにか宥め、アリスはオリヴィエと共に一個師団を引き連れ警備に当たっていた。


「聞こえるかね、アリス君」


「はい。えっと……ノエル司令官」


 耳に装着した無線から聞こえる声にアリスは答える。


 ノエル・グラマー司令官。バロール連合軍の全指揮を任されている最高責任者であり、必要とあらば自ら前線へと赴く勇猛さも兼ね備える。"極北の巨人"と畏怖されるほどの剛力で過去多くのフォール軍兵を屠ってきた。


「通信は良好だな。オリヴィエから聞いていた話では、君も君の仲間も戦う能力は持ち合わせているらしいな。その力、我らに証明出来るよう邁進せよ」


「分かりました。その代わり、私の仲間に乱暴はしない約束、必ず守ってください」


「私は約定を無かったことにするような陳腐な連中とは違う。君の働き次第ではあるが、君の仲間達の身の安全は保証しよう」


「ありがとうございます」


「うむ、委細はオリヴィエに聞け。健闘を祈る」


 通信を終えたアリスにオリヴィエは双眼鏡を手渡し国境付近を見るよう促す。双眼鏡越しに覗くアリスの目に映ったのは、重厚な二足歩行する機体の軍勢だった。漆黒に塗装された機体、至る所から見える銃口に頭部に備えられた一際大きい砲台が特徴的な人間サイズの機兵団。その奥にはおそらく司令塔としての役割を担うであろう五メートル程の機兵が鎮座していた。


「あれは……?」


全自動重装機体歩兵団ブラックハウンド・オートマトン、フォール軍の開発した兵器よ。あの小さい機兵一体だけでも、戦車と同等の火力を持ち合わせている」


「……それで、私はなにをすればいいんですか? 見たところあちら側は動く気配がないですけど」


 喉を鳴らして生唾を飲み込むアリスは、先ほどから微動だにせずただこちらを見つめている機兵から目を逸らすことなくオリヴィエに問う。


「あくまでもあの機兵は国境警備のために配備されているだけ。問題はその奥にいる連中よ」


 同じく双眼鏡を覗き込むオリヴィエは機兵団の後ろを指差す。その先には、不自然な挙動をする重厚な装甲に身を包んだ兵士が大量に陣を構えていた。覚束ない足取りで徐々に近づく兵士達は、生気の無い目で向こう岸にいるアリス達を睨みつけている。


「ここ最近になって投入されたフォール軍の兵士なんだけど、どういう訳か致命傷を与えても構わず攻撃してくる化け物よ。あなたの任務はあの兵士を一人でも多く捉えること」


 致命傷を与えても止まることのない不死身の兵。それを生け取りにするという任務は、あまりに危険で自殺行為。だが、花音達を人質に取られているアリスにとって、選択の余地は無かった。分かりました、と呟くとアリスはアイドル衣装へ姿を変えノーツを展開する。


「後方から私たちの射撃で牽制するわ。あなたは装甲兵と共に前進して国境を超えてきたフォール軍の機兵と戦闘しつつあの兵士を捕える。必ず、生捕りにすること。いいわね?」


 力強く頷き、アリスは装甲兵と共に駆け出した。時を同じくして、フォール軍の兵士達も雄叫びを上げながら跳躍して川を飛び越えアリス達と激突する。


「さあ、アリス。あなたの実力、見せてもらうわよ」

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