龍神討つは無限の剣
水の龍はその巨体をくねらせアリス達の頭上目掛けて落下した。水の刃による攻撃が通じないのならば、圧倒的な質量によって文字通り押し潰す。
「逃げてもいいよ。まあ、逃げられればの話だけど」
「ッ!」
里を覆って余りある水の龍から逃れることは不可能に思えた。
しかし、動揺するアリスを他所に紡は無言で空を見上げ刀を鞘に納めると静かに居合の構えをとる。
「無窮一刀流・奥義 明鏡止水」
抜刀した剣先が水の龍に触れた瞬間。水の龍に波紋が走ったかと思うと、不規則に身体が乱れ膨張し爆散させた。飛び散る水が滝の様に降り注ぎ里を破壊するのを防ぐと、ミノリの顔から笑みが消え、初めて困惑した様子を見せる。
「本来は実体の無い者を斬る為の技なのだがな、流体であれば討ち果たすことなぞ造作もない」
「…………」
「諦めて縄に付け。其方と拙僧では、相性が悪いということを理解しただろう」
「そうだね、貴方の言う通りだよ。……でも」
水が逆巻き刀身に集まる。極限まで圧縮された水が吸収され、刀身を水面の様に揺らし幻想的な光を帯びていた。
「さっきも言ったでしょ。もう遅いんだよ、何もかも」
「勝負を決しに来たか。ありす殿、いま一度、其方の力を貸していただきたい」
「はい、必ずみんなを救います!」
二人が同時に刀を構える。目の上で構えた刀の切っ先が小さな光を帯び空間に揺らぎを見せた。
「龍神・天逆ノ剣‼︎」
ミノリの詠唱と共に刀が振るわれ、刀身に圧縮された水が一筋の斬撃となって放たれる。音を置き去りにしながら放たれた斬撃は空気を裂き二人を襲う。
「「無窮一刀流・秘奥———無窮一閃‼︎」」
揺らぎを見せた空間を剣先で突く。刹那、小さな光が一際輝き全てを飲み込む無明の光を解き放ちミノリの放った斬撃とぶつかり合った。




