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Idea  作者: ひのきそら
第二章 妖魔剣聖譚
38/58

乱れ舞う光と龍

 走る、走る、走る———。


 文字通り風を切りながら、アリスと紡は速度を落とす事なく山を降りる。麓に近づくにつれ、里を襲う妖魔や立ち昇る狼煙がボンヤリと視認出来た。そんな二人の後を銀狼達は列をなして追付いする。


「乗れ!」


「え?」


「急を要するのだろう? 我らの足であれば、数分で里まで辿り着ける!」


「かたじけない!」


 銀狼の背に飛び乗り、二人は手遅れにならないよう祈りながら里までの山道を駆け抜けた。




「ほらほらほらほら! 逃げてばかりじゃ意味無いよ!」


「うっさいっての!」


 降りしきる雨の勢いが増していく。それと同時に、ミノリの攻撃も豪雨の様にその苛烈さを増していった。まだ万全とはいえない花音の攻撃では、ミノリを喰い止めることは出来ても攻め切ることが出来ず、侵攻する妖魔に意識を割くことが出来ずにいた。


「Splash Shooting Star!」


「それはもう見飽きたよ!」


 光球による攻撃を泳ぐ様に身を翻し花音に接敵する。従える龍の攻撃に合わせ刀による剣戟を花音へ浴びせる。たまらず飛び退き距離を取る。


「グランのおっさんが随分手を焼いたみたいだから期待してたんだけど、買い被り過ぎたかな?」


「くッ……!」


「貴女の操る光の球。確かに脅威ではあるけど、動きが直線的でバレバレだよ。本気で私を倒したいんだったらもっと頭を使わなきゃ……こんな風に!」


 ミノリが刀を徐に振り上げたかと思うと、足元の水が無数の刃となって花音を襲う。光の壁を展開するも、全方位から迫る水の刃を防ぎ切ることは出来ず花音の身体を切り刻んで行く。


「ああああああああああ‼︎」


「そのまま小間切れにしてあげる!」


 血だらけの花音を水の刃は容赦なく攻め立てる。刹那、花音の背後から放たれた斬撃が水の刃を消し飛ばした。斬撃の勢いは衰えることなく、地面を裂きながらミノリへ向かう。従える龍を盾にして、ミノリは斬撃から身を守ると銀狼の背に乗って現れたアリスを目にして笑顔を見せた。


「待ってたよ、アリスちゃん!」


「銀狼の皆さんは里の方達の助けに向かってください。ここは私と紡さんに任せてください!」


「心得た!」


 銀狼の背から降り、アリスは七色に光るノーツを出現させ傷だらけの花音を回復させた。遅れて到着した紡はアリスに並び立つと、怒りの眼差しをミノリへ向ける。


「そこな娘よ。これが、行き倒れていた其方を助けた里の者へ対する礼か?」


「あっはははは! そうだよ、なんの疑いもなく余所者を招き入れるとどうなるか、身を持って知れたでしょ?」


「外道め……。その素っ首斬り飛ばしてくれる!」


「ミノリさん、あなたが何者なのかは今は問いません。でも、里の人達を、私の大切な仲間を傷つけたあなたは許せません!」


「いいよいいよ! 丁度退屈してたとこだったんだ、貴女の力を見せてみてよ!」


 刀を握る手に力を込めアリスと紡は疾走する。降りしきる雨の中、刀と刀が交わる音が響き渡った。

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