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Idea  作者: ひのきそら
第二章 妖魔剣聖譚
32/58

妖魔討伐

 風を切るように馬を走らせ山中へと入る。山一帯を黒い瘴気が覆い妖魔のものと思わしい叫び声と銀狼の遠吠えが森中に木霊していた。険しい獣道を駆け抜けるさ中、牛頭の妖魔を黒いローブを纏ったバグズが襲っているところに出会した。


「あれは、バグズ!」


「あれがばぐずか、妖魔と敵対している様だが……む?」


 二人が馬から飛び降りた時、妖魔を取り囲んでいたバグズ達が一斉に飛び掛かったかと思うとその姿を粘液に変え叫び声を上げる妖魔を侵し始めた。全身を黒い粘膜で覆い尽くした直後、里を襲撃した黒い妖魔の様に瘴気を纏い狂気じみた咆哮を上げる。


「バグズと妖魔が、一つになった!?」


「ありす殿、来るぞ!」


 二人に気づいた妖魔は野太い雄叫びを上げ突進してくる。アイドル衣装を纏いアリスはノーツを撃ち出し突進の勢いを殺し、すかさず紡の刀が妖魔の首を斬り落とした。刀を納め先を急ごうとした二人の前に、傷だらけの銀狼が姿を現したかと思うと唸り声を上げ威嚇する。突如として現れた銀狼を恐れた馬が暴れ出し踵を返して逃げ出してしまった。


「裏切り者め、とうとう戦を仕掛けに来たのか!?」


「拙僧らは元凶たる黒い妖魔を討ち取りに来たのだ、断じて其方らと戦いに来たのではない!」


「騙されんぞ! あの妖魔共もお前達の差金だろう!」


「待ってください!」


 銀狼と紡の間に割って入ったアリスは、尚も唸り声を上げ興奮する銀狼に向かって口を開く。


「今ここで争っていては、里のみんなも銀狼の皆さんも殺されてしまいます。私たちは助けになりたくてここまで来たんです!」


「余所者が顔を突っ込むな! 我らの血が流れ、迫害したのは貴様ら人間だ!」


「確かにそうかもしれません。でも、これまで互いに助け合って来たんでしょう!?」


「黙れええ‼︎」


 怒り狂った銀狼はアリスの言葉も聞かず走り出す。牙を剥き出しにしアリスの喉元へ喰らいつかんと飛び上がった。


「ありす殿!」


「ダメです‼︎」


 刀を抜こうとした紡を静止し、背を向ける事なく銀狼を見据える。眼前まで迫った銀狼は目を逸らさず立ち尽くすアリスの目の前で立ち止まると、しばらく見つめ逆立てていた毛を戻し唸り声を止めた。


「……ここまで来たのはお前達だけか?」


「はい。他の皆さんは里の修繕と防衛に残ってもらっています」


「まだ完全にお前達を信用はせんぞ!」


「十分だ。其方らの誤解を解くためにも、拙僧らで黒い妖魔を討ち取ることを約束する」


 アリスと紡の言葉に嘘は無いと判断した銀狼は背を向けると、ついてこいと言うように目を向けて走り出した。顔を見合わせ頷き、二人も銀狼の後を追う。


「先刻、我らの集落に妖魔共が群れを成して攻め入って来た。ノロノロしているようでは置いていくからな!」

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