幕間
「久しぶりに聞いた声だと思ったけど……やっぱり君はあの時の」
「はい、貴女が現れた時は驚きましたよ! 突然私の世界に降ってきたんだから!」
モノクロの部屋の中に少女が二人、何処にでもある木製の椅子に腰掛け何やら神妙な面持ちで向かい合っていた。一人は黒い布地に星屑の様な模様が動くローブを纏っている。足元まで伸びた銀髪が特徴的な美しい少女は目の前の少女に向かって今を下げながら口を開いた。
「これは私が初めて抱いた想いで、私が成さなければならない使命でもあるんです。力を貸して下さい」
「君が真っ先に私に会いに来た理由は察するよ。君の世界の中で、私という存在はイレギュラーだからね。余所者の私を受け入れてくれた君には恩がある」
「それじゃあ!」
「悪いけどお断りだよ」
白髪を弄りながらもう一人の少女は即答した。了承してもらえると思い込んでいたのか、拒絶の意思を突きつけられた少女は口を開けたまま固まってしまった。
「そもそも、私は私の結末に満足している。君の思想は確かに高尚だし尊いことではあるが、私やあの子にとってみればこの上ないお節介でしかない」
「…………でも、別の幸福な未来もあったはずです」
上の空という態度をとっていた白髪の少女は、その言葉を聞いて動きを止めた。ほんの僅か、少女から殺意が滲み出た。穏やかな優しい目付きは今にも刺し殺されそうなほど鋭く冷徹だった。
「私とあの子を否定するつもりかい?」
「そんなつもりはありません。でも、一度は考えたことがあるはずです。もし別の選択をしていたのなら、今とは違う結末だったんじゃないかって」
「…………」
沈黙が流れる。壁に掛けられた時計の針が進み小鳥の鳴き声が部屋に響く。鳴き声が止み再び静寂が部屋を包んだ時、白髪の少女は放っていた殺気を抑え、元の優しい目付きに戻り口を開いた。
「いいよ、君の口車に乗ってあげる」
「っ! ありがとうございます!」
「ただし、君の計画を聞いて実現可能だと判断すればの話だけどね」




