決戦#2
「ヤッバイ!」
空高く渦巻くバグズを潰しながら増産バグズの両腕が振り下ろされる。花音はありったけのノーツを出現させ、体全体に光を纏うと竜巻のように荒れ狂うバグズに向かって走り出した。ノーツでバグズを掻き分け全身傷だらけになりながら何とか渦から脱した瞬間、増産バグズの両腕が地面に達し、立っていられないほどの揺れと地響きを起こした。
「花音ちゃん、大丈ですか!?」
「全っ然、余裕! こんなんじゃアタシは倒れない!」
強がってはいるがこのままでは物量の差で押し潰されてしまうのは明らかだった。叩き潰されたバグズもすぐに増産バグズから生み出されてしまう。ボロボロになる花音をただ見ることしか出来ない自分に苛立つアリスの目にあるものが映る。
「花音ちゃん、あれって!」
増産バグズの体の中心部。バグズが生み出される瞬間に赤く発光する部分が見えた。同時に、よく見るとバグズを生み出すペースが下がっていることに気づく。
「あの光ってる場所もしかしたら弱点なのかもしれません! バグズを短時間の内に大量に生み出すのは限界があるんだと思います!」
アリスの推察を聞いた花音は増産バグズから目を逸らすことなく、喝を入れるように両頬を叩くと再び無数のノーツを展開する。痛みで身体が軋み体力も限界に近いはずの花音は、出会った時と何ら変わらない笑みをしていた。
「ありがと、アリス。最後の踏ん張りどころってやつだね!」
展開されたノーツが巨大な光球へと変わる。生み出すバグズでは歯が立たないと悟ったのか増産バグズは今までとは違う荒げた声を上げて脇目も振らず花音に向かって突進した。
「これで終わりにするよ! Splash Shooting Star!」
光球が炸裂して増産バグズに直撃する。両手足を爆散させ、中心部の赤く光る部位に光球が直撃する瞬間、バグズ達が束になって光球から増産バグズを守った。突進の勢いを殺すことが出来ず、増産バグズは花音を吹き飛ばして建物に頭から突っ込んでいった。
「あぐっ!」
「花音ちゃん!」
地面に叩き付けられた花音にトドメを刺さんと生き残ったバグズ達が鉤爪を鳴らしながら飛び掛かる。痛みで反応が遅れた花音を庇うように、アリスは無我夢中で駆け出し花音を抱き寄せた。アリスを守るために周囲を漂わせていたノーツが迎撃するが、それらを掻い潜ったバグズが二人に迫る。
「花音ちゃんは、絶対殺させない!」
その瞬間、アリスの叫びに呼応するかのように首元のペンダントから激しい光が放たれた。淡いピンク色の光は目の前のバグズの鉤爪を止め、花音の操るノーツに似た光の球を放ちバグズを消し飛ばした。




