表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イケメン上司とボク  作者: 夏目 碧央


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/26

やりがいのある仕事

 「今後、手紙を書く人はどんどん減ります。レターセットは辞めましょう。それよりも、今まさに上向いているのがぬいぐるみです。アート展示のモチーフをふわふわな素材で作り、オリジナルなキーホルダーなどにするのはどうでしょうか。」

新しい職場では、係長になったとはいえメンバーの人数は少なく、リーダーと言えども自分で情報収集し、自分でプレゼンをするという状態だった。

 しかし、それが面白い。東京のように美術館が溢れているわけではないので、我が社の九州地域での進出はまだまだこれからだ。やりがいを感じる。

 次はどうしようか、と常に考えている。支持を受ける側ではなく授ける側になったので、勤務時間外にも考える事が多い。だから、恋人―仁さんと会えない事や、今までの知り合いが誰もいないという事も、あまり考えないで済んでいる。寂しさを感じている暇がないのだ。

 福岡に来て2週間が経った週末には、仁さんが訪ねてきてくれた。今、俺は会社の寮に入っているので、仁さんを泊める事は憚られ、博多のホテルで一緒に泊まった。翌日は博多観光を二人でして、仁さんは帰っていった。

 その2週間後、今度は俺が東京に泊まりに行く番だった。そう仁さんとも約束をしていた。ところが、前の日に大事な仕事が終わらず、土曜日も仕事をすることになってしまった。つまり、東京に行く事が出来なくなってしまったのだ。

「もしもし、仁さん?成海です。あの……すみません。明日東京に行かれなくなりました。」

電話でそう伝える時は、とても胸が痛かった。仁さんは一瞬黙ってから、

「そうか、仕事か?仕事ならしょうがないな。あんまり無理しないように頑張れよ。」

と、明るく言ってくれた。来週にはきっと行くからと約束をした。それでも、仕事が面白く、夢中になっている俺は、行かずに済んでホッとしている部分もあった。あんなに夢中になっていた仁さんに、会えない事に慣れてしまったのだろうか。

 翌週には東京に行けた。東京のホテルは高いので、思わずラブホテルに泊まってしまった。仁さんと二人でラブホに入る所を、万が一誰かに見られたら困るので、俺が先に入って部屋を取り、後から部屋番号を仁さんに伝えて時間差で落ち合った。

 ラブホは楽しかった。一緒にお風呂に入り、鏡張りの部屋で交わり、広いベッドで一緒に眠った。また時間差でホテルを出て、外で落ち合って一日デートをした。

「成海、再来週俺が行くからな。」

輝く笑顔で仁さんが言った。

「待ってます。」

俺がそう言うと、

「そ、そんなに見つめんなよ。照れるだろ。」

と言って目を反らす仁さん。何を今更、と思ったけれど、いつまでも純粋で可愛らしい仁さんが愛おしかった。


 そして2週間後、また週末になって問題が発生した。

 仁さんが金曜の夜に博多にやってきた。飲み屋で待ち合わせをし、乾杯してすぐ、会社から電話が掛かってきた。

「はい、成海です。え?それは……まずいですね。今から行きます。」

「成海?トラブルか?」

仁さんが目をパチクリさせている。

「はい。納品書に手違いがあったみたいで、工場に回す前に発覚したようなのですが、どういう手違いがあったのかが伝わって来ないので、俺が現場に行って確認してきます。」

俺がそう言うと、仁さんは一瞬俯いた。それを見て、しまった!と思った。はるばる博多まで来てくれたのに、俺は置いてけぼりにするのか。だが、仕事は大事だ。誰かに頼める状況でもない。

「仁さん、すみません。明日、必ず埋め合わせしますから。後で連絡します。」

ここでキスをしたいところだが、流石に公衆の面前ではできない。肩に手を置き、ギュッと力を込めて放した。

「分かったよ、行ってこい。俺はもう少し飲んでからホテルに戻るから。」

仁さんはそう言って笑ってくれた。俺は急いで現場へと急いだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ