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第2話:弄ばれた恋心

映士「(ソファーで爆睡)」

内村「おい!映士くん、ここで寝てたら風邪ひくぞ?」

映士「(あくびをしながら)……うるせえ。あと5分」

内村「まあいい、昨日のホテルの件、報告書は出しとけよ?」

ゆいな「あ、映士さん!おはようございます!内村一課長も、お疲れ様です」


ゆいなは紙コップの入ったコーヒーを渡され


映士「(黙って受け取る)さ、サンキュー」

内村「おっ、ありがとう!」

松元絵里花「おはようございまーす!映士さん、今日もバッチバチにキマってますね!」

菊池柚菜「おはようございます!……あ、映士さん、またそのタンクトップ!やっぱり金の刺繍が映えますね。かっこいい…」

映士「(少し照れくさそうに)……おう、絵里花ちゃん、柚ちゃん。朝から元気だな」

絵里花「そりゃあ、映士さんに会えると思えば一気に目覚めますよ!あ、コーヒーおかわり要ります?私、淹れてきます!」

柚菜「あ、ずるい!私も行きます!映士さんの好きな豆、もう覚えてるんですから」

内村「おいおい、ここは署内だぞ。ファンミーティング会場じゃないんだから。……まあ、映士くんがこれだけ慕われているのは助かるがね」

映士「(二人の騒がしさを横目に、クイッとコーヒーを飲み干し)柚ちゃん、ちょっと」

菊池柚菜「はい!」

映士「なんか、絵里花ちゃんの様子、おかしくないか?」

菊池柚菜「やっばり分かります?そうなんですよ!なんか最近、好きな人が出来てその人に夢中だとか!あっでも私は映士さんのファンなんで」

映士「好きな人ね。ま、そいつが変な奴じゃなきゃいいけどな」

菊池柚菜「(嬉しそうに)えっ、もしかして映士さん、絵里花のこと心配してくれてるんですか!?もう、優しいんだから!(肩を叩く)」

映士「あっちぃな!」

菊地柚花「あっすいません」

松元絵里花「ちょっと柚菜!何バラしてるのよ(嬉しさのあまり)映士さん、彼との写真見ますか?」

映士「えっ?俺はいいよ」

菊池柚菜「映士さん、見てあげてください!見ないとしつこいので」


映士は写真を見ると一瞬だけ目を疑う。


菊地柚花「映士さん?どうかしました?」

映士「い、いや、別に。中々いい男じゃん!」

松元絵里花「ありがとうございます!」

ゆいな「あっ、そろそろ戻らないと向井さんがうるさいですよ」

菊地柚花「それでは失礼します!」


映士はデスクに戻ると何か疑うように目付きが変わる。


内村「映士くん、何か疑うような目をしてるけど大丈夫か?」

映士「ん?うん!大丈夫!ちょっと向井の所へ行ってくるわ」

内村「おう!」

岩田絵里奈「(映士を何か疑う目)あの、一課長、彼と刑事課の向井警部とはどんな関係ですか?」

内村「(遠ざかる映士の背中を見送りながら)ああ、向井くんか。彼は映士くんのかつての相棒だよ」

ゆいな「相棒……ですか?」

内村「そう。映士くんがまだ捜査一課の若手だった頃、二人はコンビを組んでいたんだ。……ある事件をきっかけに、向井くんは刑事課へ異動してしまったんだが、今でも映士くんが唯一、背中を預けられる男の一人だね」


【刑事課】

向井「来たか、映士。さっき送った写真、見たか?」

映士「(スマホを取り出し、絵里花に見せられた写真と向井の資料を照らし合わせる)見たよ!まさか刑事課が追ってる売春男が絵里香ちゃんの男とはね」

向井「名前は松川大介。表ではホストのオーナーで指名NO.1だが裏じゃ女の子を売買して金儲けする大悪党だな。こいつに関しては顔は公表されてないから知らなくて当然だ」

映士「なぁ向井、絵里香ちゃんはこいつが売人だって知ってるのか?」

向井「知ってたら普通に付き合わねぇだろ?」

映士「だよな!悪いけどこれ俺に任せてくれねぇか?」

向井「何言ってんだ?これは刑事課の」

映士「向井、お前はこの部署の警部であり上司だ。お前みたいな優秀な奴を失ったら今後の捜査は誰が指揮するんだ?」

向井「…映士」

映士「心配すんなって。悪いようにはしない!ただ少しお灸を据えるだけだ。だけど彼女には真実を伝えねぇとな」

向井「だけど…」

映士「頼む、向井、俺にやらせてくれ(頭を下げる)。全責任は俺がとる」

向井「……顔を上げろよ、映士。お前が人に頭を下げるなんて、あの事件以来だぞ」


向井はため息をつきながらも、

手元の資料を映士に叩きつけた。


向井「わかったよ。刑事課のは俺がなんとかする。……だが条件だ。一人で行くのは許さない。お前の『今の相棒』も連れて行け」

映士「それは出来ない。彼女も組んだばかりでまだ何も分かってねぇ。あいつも異動したばかりなのに戻るのも嫌がるだろ」

向井「……相変わらずだな。仲間を想うあまり、全部一人で背負い込もうとする」

映士「悪いな!

映士は一人で情報の元、幹部の場所へ行き様子を伺う。

そこへ写真の男が数人連れて道端で話してるの目撃


仲間A「どうだい?最近の彼女は」

幹部「あ〜あの小娘か、ちょろいもんだ。少し優しくしただけで惚れやがってバカな女だよ(笑)」

仲間B「また飽きたら俺らにも貸せよ!遊んでやっから(笑)」

幹部「そのうちな(笑)」

映士「(拳を握りながら怒りを抑える)」


【刑事課・廊下通路】

映士「絵里花ちゃん、ちょっといい?」

松元絵里花「映士さん、どうしたんですか?」

菊池柚菜「映士さん、デートの誘いでも?」

映士「絵里花ちゃん、最近の好きな人が出来たって言ってたよな?」

松元絵里花「えぇ、もちろん!もしかしてヤキモチですか?(笑)」

映士「絵里花ちゃん、君には悪いけどあいつはやめとけ」

松元絵里花「えっ…?」

菊池「ちょっ、映士さん、急に何を」

映士「いいから、あいつはやめとけ」

松元絵里花「どうしてですか?」

映士「どうしてもだ。あいつが相手じゃ傷つくだけだ」

菊池柚花「映士さん、何か知ってるんですか?」

映士「とにかくあいつだけは」

松元絵里花「映士さん…あなたがそこまで言うなんて見損ないました!失礼します!」


松元絵里花は憧れの映士からまさか自分の恋を否定されるとは

思わず目に涙を浮かべて走り去ってしまいます。


菊池柚菜「映士さん!いくらなんでも、あんな言い方ないですよ!絵里花、本当に毎日幸せそうだったのに……最低です!」


柚菜も絵里花を追って走り去り

廊下には映士だけが取り残されます。


【捜査一課】

映士「(デスクに座り珍しく悲しい顔)」

内村「映士くん、さっきから珍しいな!大人しくなるなんて」

映士「別に…」

松元絵里花「お疲れ様です(映士を無視する)」

映士「(顔を上げず前だけを見る)」

松元絵里花「これ書類です!フンッ(映士を見るもそのまま去る)」

向井「お疲れ様です!一課長」

内村「おう!向井くん、絵里花くん、どうしたんだね?」

向井「ちょっと。映士、話がある」


【捜査一課・廊下】

向井「さっき廊下で泣きながら走っていく絵里花ちゃんとそれを追う柚菜ちゃんを見たぞ。お前、何言ったんだ?」

映士「……別に。あいつに似合わねぇからやめとけって言っただけだ」

向井「(ため息をついて)お前なぁ……。もっと言い方があるだろ」

映士「悪い…」

向井「とにかくしばらくは近づかない方がいいかもな。…映士、お前が嫌われ役になってまで守りたかったのは分かるが」

映士「俺は…あんな汚ぇ奴から切り離したいだけだ」

向井「慎重に捜査しろよ?いいな?」

映士「あぁ!」

内村「(静かに立ち上がり映士の肩に手を置く)…不器用なのは君の父親譲りだが今は『刑事』としての仕事を全開でやる時だ」

日向「映士、さっき絵里花が例の男と連絡するのを聞いたんだけどこれから会いそうよ!」

映士「(内村と向井を見る)」

向井「彼女を頼んだぞ!」

映士「日向、場所は?」


【倉庫現場】

松元絵里花「ここはどこ?」

松川大介「ここはね、君の最後の遊び場さ」

松元絵里花「えっ?遊び場……?ちょっ何言ってるの?(笑)」

松川大介「悪いけど本命が出来てね」

松元絵里花「本命?」

松川大介「君はただの金ヅルさ。何か言えば必ず貢いでくれるからね。でもそれも飽きちゃってね」

松元絵里花「…えっ?(涙目)」

松川大介「さて君には警視庁の内部情報をたっぷり吐いてもらわなきゃならないんだ。その後はここにいる仲間たちと仲良くしてもらう(笑)」

仲間A「おいおい、警察官の女なんて初めてだぜ。いい度胸してるじゃねぇか!」

仲間B「とうとうこの日が来るとはな(笑)」

松川大介「思う存分、遊んでやれ」

松元絵里花「(集団に囲まれ)いや…」

仲間C「逃げんなよ!俺らと遊ぼうぜ」

松元絵里花「え、映士さん…(泣)」


恐怖で動けなくなる絵里花。その時、倉庫の重い扉が

ガタンガタンと音を響かす。蹴破られるような轟音とともに

強烈なライトが彼らを照らし出す。


映士「(ゆっくりと顔を上げ)絵里花ちゃん」

松元絵里花「え、映士さん(泣)」

映士「さてと退治といきますか」


映士は次々と襲いに来る敵を潰す。

頭突き、腹蹴り、顔パンチなど繰り出し倒していく。


榎本ゆいな「絵里花(そばに駆けつける)」

菊池柚花「大丈夫?」

松元絵里花「ど、どうして?」

向井「あいつ、裏じゃ女を売買する犯罪者なんだよ!それを映士が覚えててね」


幹部に近付き胸ぐらを掴み地面に叩きつける


映士「絵里花ちゃんを弄んで楽しいか?あぁ?彼女がどんだけお前の事が好きだったか分かんねぇのか(怒)」

松元絵里花「(映士の真剣な目を見る)」

映士「彼女はな、署でも真面目で笑顔も絶やさず頑張ってるんだ!それを踏みいじるようなことして許されると思ってんのか怒」


映士の怒号が静まり返った倉庫に響き渡ります。

映士は松川の顔をぶん殴り始めると松元絵里花が腕を止める。


松元絵里花「映士さん、やめて」

映士「(突き飛ばす)止めんな!こいつはな、痛みを感じさせねぇと分からねぇんだよ!……黙って聞いてりゃ小娘だのバカだの……。テメェみたいなクズに絵里花ちゃんの純粋な気持ちを笑わせてたまるかよ!」


松元絵里花「(涙を流しながら)……映士さん……」


絵里花は映士がなぜあんなに冷たく自分を突き放したのか、

その真意をようやく理解。不器用な言葉の裏にあったのは

自分を「一人の仲間」として、そして「一人の女性」として

守ろうとする、あまりにも熱く深い優しさでした。


向井「(映士の腕を止める)映士、もういいだろ」

映士「…向井」

向井「これ以上やったら犯人、死んじまうぞ」

宮川「映士〜!」

藤森「(松川を見て)もしかして…」

映士「(松川から離れ両手を伸ばす)ミヤさん、暴力行為は犯罪だ。逮捕…するんだろ?」

宮川「何言うてんねん?お前は絵里花ちゃんの為にやったんやろ?なら逮捕はなしや」

映士「…」

松元絵里花「……映士さん、 ありがとうございます」


絵里花は涙を拭い毅然とした態度で松川を見下ろすと震える

手で手錠を取り出します。震える手を優しく映士が包み込む


松元絵里花「松川大介……売買容疑、広域暴力団準構成員、傷害、恐喝の疑いで現行犯逮捕します!」


カチャリと冷たい金属音が響き

幹部に手錠がかけられます。


映士「絵里花ちゃん、ごめんな!あんな酷い事言って。謝って済む問題じゃない事は分かってる。一発殴ってくれて構わない」

松元絵里花「……映士さん」


絵里花は映士の真っ直ぐな謝罪に

一瞬驚きそして優しく首を振りました。


松元絵里花「嫌ですよ、映士さんを殴るなんて。……だって私のことを思って嫌われ役になってくれたんですよね?私がどれだけ真面目に頑張ってるか、映士さんが見ててくれたってこと……それが何より嬉しいです」

映士「絵里花ちゃんの落ち込んでる姿、見たくねぇからさ」

松元絵里花「……えっ。映士さん、今なんて……?」

映士「ほら、行くぞ」


映士は照れを隠すように乱れた白のタンクトップを

無造作に正しスタスタと歩き出します。


松元絵里花「はいっ!映士さん、待ってください!」

菊池柚菜「もう、映士さん足早すぎですよー!照れて逃げたー!」

ゆいな「(隣に並んで歩きながら)……映士さん、さっきの言葉。絵里花さん、本当に救われたと思いますよ」

映士「(前を向いたまま)……うっせぇ。お前は喋るな」


【捜査一課】

映士「お疲れ様です」

箭内「映士?聞いたぞ〜。刑事課の絵里花ちゃんを守ろうとわざと冷たい対応したらしいじゃん」

映士「うん…」

箭内「どうしたのよ?いつもなら言い返すのに(笑)」


映士は手錠、警察手帳、銃を内村のデスクに置く


横田「映士…?」

映士「俺、絵里花ちゃんの為とは言え犯人を殴ったんだ。警察、辞めるよ」

箭内「えっ?ちょっ映士、冗談でも」

映士「内村、いいよな?」

内村「悪いがそれは無理だな。お前は仲間を救ったんだ。それを絵里花くんや向井くんが見てる。松川もそれを認めてる。寄って公務執行妨害に該当する為、お前の処分はなにしなった」

宮川・藤森「(嬉し顔)」

映士「…」

宮川「それにな、お前に辞められたら俺らの仕事が増えんねん」

藤森「そうだよ!君が暴れてくれないと僕らも捜査できないからね!」

松元絵里花「失礼します!」

内村「おう!お疲れ」

松元絵里花「映士さん、さっきはありがとうございました!一課長には全て話したので気にしないでください!」


松元絵里花は手錠、警察手帳、

銃を取り映士の手元に持っていった。


松元絵里花「引き続き捜査、お願いします!」

映士「…あぁ(笑顔)」

松元絵里花「本当にありがとうございました(抱きしめる)」

菊池柚菜「ちょっちょっと絵里花、離れなさいよ!(引き離そうとする)」

映士「おい!絵里花ちゃん、捜査一課だぞ」

松元絵里花「いいじゃないですか!命の恩人なんですから!もう一生離したくありません!」

菊池柚菜「ダメだってば!映士さんはみんなのヒーローなんだから独占禁止!」

ゆいな「(顔を引きつらせながら)気持ちは分かりますけど、一課長の目が……」

内村「(書類で顔を隠しながら)……ゴホン。映士くん、人気者は辛いな。だが、そろそろ業務に戻ってくれないか。廊下で向井くんが呆れた顔で待っているぞ」

映士「(絵里花を優しく、でも力強く引き剥がしながら)……おう。絵里花ちゃん、気持ちは受け取った。だから、もう泣くな」

松元絵里花「(パッと笑顔になって)はいっ!元気出ました!仕事戻ります!」


二人が嵐のように去っていくと映士は大きく溜息をつき

乱れた白のタンクトップの肩を直しました。


向井「(ドアの影から現れて)……お熱いこった。お前、本当に無自覚な人たらしだな」

映士「茶化すな」

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