第3話:子供への恐怖
映士「(パトロール中)今日も平和だな!これなら警察はいらねんじゃねぇか」
ゆいな「何言ってるんですか?平和だからこそいいんじゃないですか?事件が起きない為に私たち、警察がいるんです!」
先生「あの、九龍映士さんですよね?」
映士「そうですけど」
ゆいな「知り合いですか?」
映士「全然」
先生「事件なんです!来てください!」
映士たちが先生に連れられて来たのは
小学校の1階。外から窓ガラスが全て割られる。
映士「なんだこれ?」
先生「朝来たら全部割られてて」
教頭「九龍くん」
映士「せ、先生!?」
教頭「久しぶりだな、小学校以来じゃないか」
ゆいな「えっと、」
映士「俺の小学校時代の担任だ!先生、老けたな(笑)」
教頭「そりゃあれから20年経つんだ(笑)」
映士「それより先生が来た時もこんな感じか?」
教頭「ちょうどここ、1年生の教室なんだよ。子供たちが登校する前だったのが、せめてもの救いだが……」
映士「とりあえず一度、みんなを体育館に避難させて」
教頭「あぁ、すぐに先生」
先生「はい!」
校内放送
全校生徒にお知らせします!
直ちに体育館への避難をお願いします!
映士「(真顔になりながら拳を握りながら壁を叩く)」
ゆいな「…映士さん…」
映士は体育館に行くと大勢の
子供たちが映士を囲んで泣きじゃくる
映士「みんな、心配すんなって!犯人は必ず俺が捕まえてやっから」
しゃがみながら1人ずつ頭を撫でる
ゆいな「映士さん、どうして子供にも好かれるんですか?」
宮川「映士、この学校の卒業生でな、子供たちの親御さんのも顔見知りなんや。しかも仕事が休みの日には親御さんに頼まれて遊び相手になったり信頼が厚いんや」
ゆいな「親御さんからも信頼されるほど子供も懐いてるんですね。(子供をあやす映士の横顔をじっと見つめて)……普段は『ぶっ潰す』なんて言ってるのに、その手、すごく優しいんですね。親御さんたちが安心して預ける理由が分かった気がします」
子供「映士くん、また遊んでくれる?」
映士「あぁ。この事件を片付けたら、また公園でサッカーしてやる。だから今は、ゆいな巡査と先生の言うこと聞いてろ。……いいな?」
子供たち「うん!!」
宮川「(ニヤニヤしながら)ゆいなちゃん、見たか? これが『一課の暴れ龍』の真の姿や」
学校にはブルーシートが張られしばらく
休校となる。さらに避難場所として近くの
会館を借りてそこで生活する事に。
映士は会館の様子を見つつ
映士「みなさん、本来なら授業中ですがこんな事件が起きてしまい本当に申し訳ありません(深くお辞儀)!ですが必ずや犯人を捕まえて元の生活に戻れるようにしますのでしばらく辛抱してください」
ゆいな「(深く頭を下げる映士の背中を見て)……映士さん。あんなに深く頭を下げるなんて……本当にこの街と、子供たちが大切なんですね」
映士「(少しバツが悪そうに顔を背けて)……当たり前だ。俺を育ててくれた街だ。……ゆいな、あいつら、ただのガラス割りじゃねぇぞ。休校に追い込んで、コミュニティをバラバラにするのが狙いだ」
そこへ、宮川と藤森が、支援物資の段ボールを抱えて戻ってきます。
宮川「映士! 炊き出しの準備も整ったで!」
映士「ミヤさん、シンさん、俺、しばらくここに残るよ!子供たちも心配だし。榎本、悪いけどまたしばらくミヤさんたちと同行してくれ!いいよな?ミヤさん」
宮川「しゃあないな!今回やぞ」
映士「ありがとう!」
宮川「お、おう!」
子供たちが寝静まった後、映士は会館の入り口の段差に腰掛け、サファイアの十字架を月光に透かしていた。
教頭「……映士くん。少しは休んだらどうだい? 子供たちも君が近くにいると分かって、ようやく眠りについたよ」
映士「あぁ、そうしたいけど俺が寝てる間に忍び込まれたら危ないからな。先生も年齢が年齢だろ、俺の事は気にせず寝ろよ」
教頭「……はは、相変わらず一言多いが、優しいな。分かったよ、お言葉に甘えて少し休ませてもらう。だが映士くん、君の背負っているその『剣と炎』の紋章……それは誰かを傷つけるためのものじゃない。誰かを守るための力だってこと、忘れないでくれよ」
映士「(背中の刺繍に手をやり)……あぁ。分かってるよ、先生」
教頭が奥へ消え、静まり返った夜の会館。
映士は入り口の段差に腰掛ける。
深夜0時
微かに聞こえる足音
映士「(振り向く)」
ゆいな『……映士さん、聞こえますか? 榎本です』
映士「(無線を手に取り)どうした」
ゆいな『今、向井警部と一緒に、乗り捨てられた車両の足跡を追っています。……映士さん、気をつけてください。日向さんからの分析で、犯人グループは「元・特殊部隊」の崩れが含まれている可能性があるそうです』
犯人「(口元ニヤリ)」
映士「元・特殊部隊……ねぇ」
ゆいな『……それと、宮川さんが「映士に夜食のアンパンでも届けに行こうか」ってうるさくて(笑)』
映士「悪いけど切るわ(ガチャ)やっとお出ましか」
犯人「(映士に襲いかかる)」
映士は襲いかかるナイフを紙一重でかわすと、男の腕を掴み、そのまま壁に叩きつける。
映士「元・特殊部隊だか知らねぇが、足音殺すのが下手すぎて欠伸が出るぜ」
犯人「(苦悶の表情)ガフッ……! なぜ気づいた……!」
映士「(ネックレスの十字架を握りしめ)ここにはな、ガキどもの『寝息』が響いてんだよ。それを邪魔する不純な音は、俺の耳には爆音と同じだ」
犯人「(無線に向かって叫ぶ)……標的を確認! 囲めッ!」
闇の中から、さらに3人の男たちが現れ、映士を包囲する。
映士「(タンクトップの肩を揺らし、不敵に笑う)……あぁ、いいぜ。一人ずつやるのは面倒だ。まとめてかかってこい」
向井「映士! 応答しろ! 無線が切れたぞ!」
ゆいな「(焦りながら)映士さん……! 宮川さん、急いでください! 映士さん、わざと無線を切って一人で引き受けようとしてます!」
宮川「(アクセルを踏み込み)あのバカタレが! ヒーローごっこは一人じゃできんって教えたやろがい!」
藤森「九龍くん……! 榎本さん、生安の日向さんから追加情報だ。敵は会館の裏口からも侵入を試みている。映士くん一人では手が足りない!」
激闘:会館裏口
映士は飛んできた回し蹴りを腕一本で受け止めると、そのまま男の足を掴んで投げ飛ばす。
映士「(怒号)おい! 奥にはガキが寝てんだ。……一歩でもそっちへ行こうとしたら、その足を根元からへし折ってやる!」
映士の背中にある「金の剣と炎」の刺繍が、月光に照らされて不気味なほど鮮やかに浮かび上がる。
そこへ1人の子供が騒がしくて起きてくると
犯人が子供に向かって襲う。映士は子供の前に出て
ナイフが腕に刺さる。そこへ親御さんが現れ子供を庇う。
映士「早く、子供と中へ」
親御「はい!(中へ入る)」
映士「てめぇ、子供に刃物を向けるなんぞ(一人を集中攻撃)」
別の仲間が背中を切りつけ映士はまた一人を集中攻撃。
すると中にいた大勢の親御さんがモップや棒を持って出てくる。
映士「何やってんだ?中にいろ」
保護者A「映士くん、あんた一人に背負わせられるわけないだろ!」
保護者B「私たちの子供を守ってくれたんだ!今度は私たちが、あんたの背中を守る番だよ!」
モップや棒を構えた親御さんたちが、映士を囲むように円陣を組みます。
映士「(背中の傷を血に染めながら、一瞬呆れた顔を見せ、ふっと笑う)……。ったく、この街の連中は、どいつもこいつもお節介な奴らばかりだぜ……」
犯人「(怯みながら)チッ、なんだこの一般人の群れは……! どけよ、殺されたいのか!」
映士「……聞こえたか? テメェらが手を出したのは、俺一人じゃねぇ。この街の『親心』全部を敵に回したんだ。……覚悟はできてんだろうな?」
映士は傷だらけの体のまま、親御さんたちが作ってくれた道を通って、リーダー格の男へ一歩ずつ近づきます。
映士「あんたら、自分が傷つくだけだぞ。それでもいいのか?ここは俺に任せろ」
保護者A「傷つくのが怖い親なんて、この街に一人だっていねぇよ!」
保護者B「あんたを一人で死なせたら、子供たちに顔向けできないんだ!」
映士「(血に染まった背中を揺らし、呆れたように、でも嬉しそうに笑う)……ハッ。親父の言った通りだ。この街の奴らは、みんなお節介な『正義の味方』だってな……」
映士は刺さったナイフを無造作に引き抜き、床に叩きつける。サファイアの十字架が、飛び散った血を浴びて不気味なほど美しく輝く。
映士「……わかったよ。だったら、俺が盾になってやる。あんたらは、棒とモップで、あいつらの逃げ道を塞げ! 一人も帰すんじゃねぇぞ!」
親御さんたち「おおお!!」
そこへ、ようやくゆいなと宮藤コンビが現場へ突入する。
ゆいな「(映士の凄惨な怪我を見て絶句する)……映士さん!!」
宮川「(怒号)映士!! てめぇ、何しとるんや! 下がれ!!」
映士「ミヤさん、遅いぜ! 見ろよ、この街の最強部隊だ。……あいつらを、一歩も外へ出すな」
映士は、親御さんたちが作った「壁」の中で、震えるリーダー格の男を追い詰める。
映士「(低く鋭い声で)……おい。これが俺の守る街だ。テメェらが傷つけたガキどもの、親父とお袋の怒り……たっぷり味わってから、塀の中へ行け」
最後の一撃を叩き込み、崩れ落ちる犯人を見届けると、映士の意識も途切れるように膝をついた。
ゆいな「(泣きながら抱きとめて)映士さん!! 映士さん!!」
教頭「お嬢ちゃん、事件は解決したんだろ?なら早く寝かせてあげてくれ。こいつ、子供が心配だからってほとんど寝てないんだよ」
ゆいな「……えっ。そうだったんですか……」
ゆいなは、手に持っていた無線機をそっと下ろし、眠る映士の横顔をじっと見つめます。腕の包帯には血が滲み、背中の傷も痛むはずなのに、映士の寝顔はどこか穏やかでした。
教頭「こいつは昔からそうだ。自分がボロボロになっても、誰かが泣いてると放っておけない。……特にこの街の子供たちのことになると、自分の命なんて二の次になっちまう」
ゆいな「(小声で)……映士さん。本当に、バカがつくほど真っ直ぐなんですね」
教頭「お嬢ちゃん、あんたが相棒なら、こいつに教えてやってくれ。『たまには誰かに背中を預けてもいいんだぞ』ってな」
ゆいな「……はい。私が、もっと頼りになる相棒になります」
ゆいなは、自分の上着をそっと映士の肩にかけ、彼が目を覚ますまでその横で夜番を続けることにしました。
翌朝:会館の入り口
朝日が差し込む中、映士がゆっくりと目を覚まします。
映士「……ん。……おはよう、教頭。……あ? ゆいな、お前いつからそこにいた」
ゆいな「(眠気をこらえて笑顔で)おはようございます、映士さん。……ずっとですよ。映士さんの寝言、バッチリ録音しておけばよかったですね」
教頭「みんな元気に起きてきたよ。ほら、見てごらん」
会館の奥から、子供たちが「映士くーん!」と叫びながら駆け寄ってきます。その手には、昨日割れたガラスで作ったわけではない、折り紙のメダルや手紙が握られていました。
映士「(子供たちを片腕で受け止めながら)……おう。お前ら、よく頑張ったな。……今日から、また最高の学校に戻してやるからよ。約束だ」
警視庁病院・病室
映士「(大きく口を開けて)……スー……フー……」
包帯が巻かれた太い腕が布団から放り出され、首元のサファイアの十字架が寝返りを打つたびにキラリと光ります。
ゆいな「(隣で報告書を書きながら、呆れた顔で)……本当に、どこでも寝られるんですね。昨日あんなに大立ち回りした人とは思えない……」
そこへ、ドアを「ガラッ!」と勢いよく開けて、あの二人が入ってきます。
宮川「映士! 生きとるかーー!!(大声)」
藤森「宮川さん、静かに! 病院ですよ!」
映士「(ビクッとして飛び起きる)……んだよ! 向井か!? 敵か!?」
ゆいな「落ち着いてください、映士さん! 宮川さんと藤森さんですよ」
映士「(目をこすりながら)……んだよ?お前らか」
宮川「お前らとはなんや?こっちは先輩やぞ(ニヤニヤしながら)ガキどもが『映士くんにお供え物だ!』って、これ持ってきたぞ」
差し出されたのは、昨日助けた子供たちが描いた、映士がタンクトップ姿で悪者を倒している似顔絵。
映士「フンッ、よく出来てんな」
日向「映士〜(大声)!また無茶したそうね」
映士「日向まで来るかー」
日向「幼馴染みなんだから当然でしょ。あんたが担ぎ込まれたって聞いて、生安課の仕事放り出して飛んできたんだから」
日向未来は腰に手を当て、呆れたように映士を見下ろします。
映士「(頭をかきながら)未来……お前、声がデけぇんだよ。ここ病院だぞ」
日向「うるさい!あんたがガキみたいに無茶するからでしょ。腕と背中、見せなさいよ。……ったく、またそのボロボロのタンクトップを真っ赤にしちゃって」
ゆいな「(少し気圧されながら)……あの、日向さん。映士さん、子供たちを庇って……」
看護婦「(ノック)失礼します!あのここは病院なので静かに…と言いたいところなんですがお客様です!」
そこに来たのは児童と親御さんが数人がお見舞い
看護師「これ、全部入り切るかしら……」
看護師さんが苦笑いしながらドアを開けると、その後ろには昨日助けられた子供たちと、あの時モップや棒を持って立ち上がった親御さんたちの姿が。
子供たち「映士くーん!」「映士くん、大丈夫!?」
一気に病室がひまわりが咲いたような明るさに包まれます。
映士「(一瞬驚いて、それから照れくさそうに)……おう、お前ら。なんだ、ゾロゾロと……俺は寝てたんだぞ」
保護者A「映士くん、これ、みんなで書いた寄せ書きだよ。あんたが命がけで守ってくれたこと、一生忘れないからね」
保護者B「これ、うちの店で一番いい果物持ってきたよ!しっかり食べて早く治してよ!」
子供「映士くん、これあげる!ぼくの宝物!」
差し出されたのは、不格好ながらも一生懸命折られた「金の折り紙のメダル」。
映士「(それを受け取り、サファイアの十字架をいじりながら)……。おう、ありがとな。……お前らが無事なら、それだけで十分だよ。……先生の言うこと、ちゃんと聞いてんだな?」
子供たち「うん!!」
ゆいな「(その光景を横で見て、目に涙を浮かべながら)……映士さん。ほら、やっぱりみんな映士さんのことが大好きなんですよ」
エンドロール(子供たちの声)
映士お兄ちゃん、ありがとう!




