第1話「相棒 大豪邸殺人事件」
【マンションの一室・リビング】
映士「向井」
向井「おう!映士、やっぱり先に来たか」
映士「ここが現場か」
向井「松元、菊池、瀧口もいるから」
映士「なら拝見と行きましょう!」
奥の部屋から刑事課の松元絵里香、
菊地柚花、瀧口麻衣の3人が顔を出す。
松元「あ、映士さん。やっぱり一番乗りなんですね」
菊池「映士さん、一課長を置いてきちゃって大丈夫なんですか?」
映士「平気平気!」
瀧口「あんまり単独での行動はマズくないですか?」
映士「いいんだよ!向井、相変わらず可愛い子ちゃん3人を連れて来たのか?」
向井「お前と捜査したいって聞かなくてな」
松元「映士さん! ちゃんと仕事しに来たんですよ?」
菊池「そうですよ、柚たちをからかわないでください」
映士はニヤリと笑い、視線を遺体へと戻す。
映士「身元は?」
向井「山田健太。この部屋の住人でこの近くの飲食店従業員、これが社員証だ」
映士「なるほどね!ここで殺されたのか!他はどこを調べてる?」
向井「今は奥の寝室とキッチンを重点的に。松元たちがクローゼットの中身を精査してるところだ」
映士「(部屋中を隅々と見て調べリビングに戻るとテーブルの角っこをガン見)柚ちゃん、鑑識呼んでここを照らして」
菊池:「はい。鑑識さん、こっちお願いします!」
鑑識がライトでテーブルの角を照らす。
映士:「……これだ」
向井:「どうした?」
映士はリビングのテーブルが傾いてるに
気付きゆっくりテーブルを見つめる
映士「微かだが血痕がある」
菊池:「血痕……!?」
映士「微かなミリ単位だとどんだけ照らしても光らないからな。鑑識、黒い幕を囲んでライトを照らしてくれ」
鑑識「わかりました、すぐに!」
鑑識員たちが手際よくテーブルの周囲を遮光用の
黒い幕で覆いリビングの一角に完全な暗室を作り出す。
松元:「わっ、真っ暗……」
映士:「向井、光を入れんなよ。……よし、照らせ」
映士の指示で鑑識が特殊な光源を斜めから照射する。
すると先ほどまでは点にしか見えなかった微かな反応が
幕の反射を抑えたことでテーブルの角から床へと続く
「引きずったような細い線」となって浮かび上がった。
向井「マジかよ、本当に血痕だ…」
映士「鑑識、この隙間じゃモコモコでの採取は無理だから竹串を使って採取するんだ」
鑑識:「はい!」
岩田:「……意外です。てっきり手柄を独り占めするために自分でなさるのかと」
映士「(ゆっくり立ち上がり)誰だ?お前、向井、他に新人いたのか?」
向井「いや?菊池、松元、浦野のみだ」
岩田:「(すぐに背筋を伸ばし)本日付で神奈川県警捜査一課から配属されました岩田絵里奈巡査です」
映士「あっそ!そうだ!向井、防犯カメラは?」
向井「それが故障してるみたいで今、修理中」
映士「いつから?」
向井「そこが問題なんだ!昨日までは普通に映っていた。しかし昼間の13時~15時にかけての2時間だけが映像から消されていた」
映士「つまり犯人はカメラに気づいた後、自分が映った場面だけ消した可能性が高いな!警備会社には?」
向井「これが終わり次第行く予定だ」
映士「なら柚ちゃん、借りていいか?俺が行く」
向井「構わねぇけどちゃんと扱ってくれよ?新人なんだから」
映士「了解。柚ちゃん、行こう」
菊地「はい!(嬉し顔)」
向井「君も同行するか、署に戻るかどっちかにしてくれよ」
岩田「分かりました」
【警備会社・受付】
映士「此処だな!」
菊池「ですね!」
兼近「もしかして捜査一課の方ですか?」
映士「誰?」
岡部「失礼しました!警視庁地域課巡査部長の岡部と申します!」
兼近「同じく巡査部長の兼近です!」
岡部「そして巡査長の横田真子と岡本あずさです!」
2人「(会釈)」
映士「あっそ!んで?地域課の警察が何してんの?」
兼近「山田健太さんの事で捜査にしてます!」
映士「悪いけどそれはこっちでやるから」
真子「あなたね、こっちが先に来たのにそんな言い方」
岡部「横田、分かりました!失礼します!」
真子「岡部さん、いいんですか?あんな偉そうな方に」
岡部「いいんだよ!彼は特別だ」
あずさ「特別?」
兼近「あの人は捜査一課の刑事だが推理力は半端なく高くて刑事課から協力要請されるほどの実力なんだ!」
岡部「あぁ、彼だけは部署は違うが刑事課が動けば彼も動く!そういう捜査なんだ」
真子「なんか、納得いきませんね」
映士「入れ替わりですいません!今回の事件でマンションの防犯カメラの会社がこちらでしたが山田健太という住民さんに関して何か知ってますか?」
社長「確か、うちの職員が担当してる方ですね!」
映士「その社員ています?」
社長「内田くん」
内田「はい!」
社長「こちらが山田さんの担当職員です!警察の方」
映士「山田さんとの関係は?」
内田「ただのお客様ですけど街中で会うとよく挨拶をしてくれますね!」
映士「今回の事件で防犯カメラが故障してると聞いたんですが」
内田「そうなんですよ!俺もそれを知ったのが昨日でして」
映士「それを知らされたのがマンションの管理人さんから?」
内田「そうです!でも昨日は自分、別のお客様の対応をしてまして代理として別の社員が対応したんです!」
映士「その社員のお名前は?」
内田「畠山聡です!」
映士「その方って今日は?」
社長「それが今朝になって電話がありまして。急に辞めると」
映士「急にですか?荷物とかは」
内田「それが電話があった後に社長から聞いて荷物見たら彼の私物が全てなくなってるんです!」
菊池「映士さん、もしかして」
映士「怪しいね!亡くなったのは昨夜から今朝にかけて、そして代理で接客した社員が今朝になって辞職、しかも荷物がなくなってる!詳しく捜査する必要があるね。お忙しいところ、ありがとうございました!」
社長「いいえ!」
映士「柚ちゃん、署に戻ったら生活安全課の日向に今回の事件に繋がるようなデータがあるか聞いてくれる?」
菊池「分かりました!」
【捜査一課】
映士「戻りました〜!」
内村「お疲れ様!映士くん、どうだった?」
映士「鑑識も来てて刑事課も来てたけど殺人だな!もしかして知り合いの可能性もある」
内村「そうかぁ!んで?彼女とは?」
映士「彼女?」
内村「現場で会わなかったか?」
映士「現場?」
宮川「お前のその仕草、興味ないってのかすぐ分かるで」
映士「はっ?意味わかんねぇし」
宮川「少し興味持たへんと長く続かへんぞ」
藤森「そうだよ!お互い興味を持つからこそ続くんだから」
映士「一体何の話だよ?」
岩田「失礼します!神奈川県警から配属されました岩田絵里奈です!よろしくお願いします!」
映士「あっ、さっきの…」
岩田「あっ、あなた、さっき現場にいた」
内村「なんだ?やっぱ会ってたんじゃないか」
箭内「一課長、映士が興味ないほど忘れてるんですから私たちが気にしても仕方ないですよ」
内村「それもそうだな笑」
岩田「一課長、失礼ながら単独行動をさせるのはいかがかと」
内村「まぁ君の言いたい事はわかる。けどそれが彼の捜査の仕方なんだよ」
横田「そうですよ!彼、誰かしらコンビ組ませるとほぼ捜査しないのであえて単独にさせてるんです」
岩田「あなた、そうなんですか?」
映士「悪いか?」
岩田「捜査という物はコンビでやるからこそ成立する物です!」
映士「それはお前の考えだろ!俺にはそんなもん通用しねぇよ!」
岩田「あなたね」
映士「俺は「あなた」って名前じゃねぇ!」
岩田「えぇ、知ってるわ!九龍映士巡査部長でしょ?」
映士「だったら」
内村「まぁまぁ悪いが岩田くん、彼は別の仕事があるからしばらくそこにいる4人と行動してくれ!」
岩田「分かりました!」
映士「んじゃ、俺はちょっと生活安全課に行ってくるわ。そうだ!内村、これこの前の立て替えた領収書。ちゃんと返してくれよ」
内村「あぁ、この前のか、了解!」
宮川「なんですか?それ」
内村「うん!この前、奥さんの誕生日でな!映士くんが奥さんの好きなお酒をわざわざ買って来てくれてな、それの領収書だ」
横田「へぇ!あいつも気の利いた事すんですね」
内村「まぁね!」
岩田「一課長、今の呼び捨ては?」
内村「あっいいのいいの。私と彼の父親が友人関係でね!昔からそういう呼び方なんだ!」
岩田「そう。ですか!」
内村「(領収書見ながら)5万4000円かぁ、経費で落とせないかな?(笑)」
【生活安全課】
映士「日向〜!」
日向「なによ? 」
映士「資料、あるんだろ?」
日向「はい!柚から預かってたわよ」
映士「サンキュー!(デスクに座る)」
日向「今回は殺人だって?」
映士「推測だけどな!」
日向「昨日、1人の業者が訪れたらしいけどその人物が怪しいんじゃないかと」
映士「業者?」
日向「荒巻慎二、警備会社社員の30歳よ」
映士「この会社ってさっき捜査に行った会社だぞ」
日向「柚もそばにいたらしいけど昨日代理で被疑者宅に訪ねてそれで殺したんじゃないかと。そして前もって荷物もまとめて今朝になって辞める連絡」
映士「確かに流れ的に怪しいな」
日向「んでそこの住所に今住んでるらしいから確認して見れば?」
映士「そうだな!」
岩田「九龍刑事」
映士「ん?なんだよ?またお前か」
岩田「一課長に言われて探して見たらここでサボるなんて」
映士「サボりじゃねぇよ!捜査資料を見てたんだよ!」
日向「彼女は?」
岩田「申し遅れました!神奈川県警から来ました岩田絵里奈、巡査です!」
日向「生活安全課巡査部長の日向未来です!」
映士「さてと行くか」
岩田「何処に?」
映士「容疑者宅だよ!」
岩田「なら私も(お辞儀)」
【容疑者宅付近】
映士「確かにこの住所だと場所的にも近いな」
岩田「九龍さん、ここでは?」
映士「ここか」
【容疑者2階宅】
映士「(ピンポーン!)」
荒巻慎二「はーい!(ドアを開ける)」
映士「(警察手帳を見せ)すいません!警察のもんですが荒巻慎二さんですね?」
荒巻慎二「(荒巻は慌てて中へ逃げる)」
映士「はいはい!ここは2階だから逃げられねぇぞ!」
荒巻慎二「(ベランダから飛び降りる)」
映士「(平然としてベランダから飛び降りる)」
岩田「嘘でしょ!?(玄関に戻り降りてくる)」
映士「逃げても無駄なのに」
岩田「待ちなさい!逃がさないわよ!」
映士「観念しろ!」
荒巻がそのまま岩田に襲いかかると
岩田は荒巻の腕を掴み背負い投げで倒す。
映士「署で詳しく話を聞かせて貰おうか?」
【事情聴取】
映士「さて、荒巻慎二。被害者の山田健太とは学生時代の同級生だったらしいね?」
荒巻慎二「まぁ高校時代の」
岩田「あなた、山田健太さんが死んだ日、何処にいたんですけ?」
荒巻慎二「それは…」
映士「3日前まで警備会社に勤務してたんだよね?それで山田さんを殺害してその場で逃げた。しかも次の日に誰もいない会社で私物をまとめて辞めた。違うか?」
荒巻慎二「…そうです!」
岩田「他にも3日前にマンションの防犯カメラが何度かモニターが消える事が増え修理を頼み担当社員が伺う予定だった。けど当日になって急遽、あなたが代理として伺ったのにその時間帯だけ記録が消えていた。さらに修理すらしてなかった!それを利用して直さずマンションを訪れて山田さんに会った。違いますか?」
荒巻慎二「でも証拠がないじゃないですか。カメラも壊れてたし」
映士「それがな!鑑識に頼んで修復して貰った。カメラは壊れていたが録画はちゃんとされていたみたいでちゃんとお前が映ってたんだ」
荒巻慎二「マジかよ」
岩田「どうして殺したのか、理由はあるんですか?」
荒巻慎二「…金銭…トラブル…です」
映士「やっぱりか。お前さ、警備会社に勤務した傍ら、借金もしてたらしいじゃん。なんで?」
荒巻慎二「ちょっとしたギャンブルで使いまくっちゃって」
岩田「色々と調べたところ、あなた、荒巻慎二さんからしょっちゅうお金を借りてた。それも全く返してないそうですね?」
荒巻慎二「金融会社から借りたお金の利息が膨らんじゃってそっち優先に返済してたら返すのを忘れちゃいまして」
映士「その返済に当てようと彼にも金を借りといて返さずまた借りようとしたの?バカじゃねぇの?」
岩田「九龍さん、言葉を慎んでください!それで口論になったと?」
荒巻慎二「殺すつもりはなかったんです!口論になって争って後ろに倒れちゃって」
映士「お前さ、お金は借りたら返す、これ常識。しかも金融会社なんて信用出来ないところで借りたら利息が膨らむのは当然だろ」
荒巻慎二「本当にすいませんでした!」
岩田「荒巻さん、あなたを殺人容疑で逮捕します!本日より留置所に入って貰い明日より刑務所に入る事になりますので今夜は帰れないと思ってください」
荒巻慎二「…はい」
【捜査一課】
岩田「一課長、取調終わりました」
内村「うん!ご苦労様!どうだった?彼と組んで」
岩田「ん〜何と言いますか?なんであんな余裕で居られるのか、不思議です!」
宮川「こいつはうちに来た当初から無駄な動きはせぇへんねん!」
岩田「無駄な動き?」
横田「そう!例えばベランダから取りおりられたらわざわざ玄関に戻らずそのままベランダから飛び降りたりね!」
岩田「…さっき…降りてましたね!」
箭内「なに?またベランダから?俳優じゃないんだから」
映士「うるせぇな!悔しかったらやってみろよ」
箭内「そこまでしてやりたくないわよぉ〜」
映士「んだと?」
箭内「なによ?」
内村「まぁまぁ」
岩田「口調も悪かったですし」
藤森「彼は基本、敬語使わないからね!」
内村「どうだ?映士くん、しばらく岩田くんとコンビ組んで捜査してみては?」
映士「え〜、嫌だよ!ちょくちょくガヤ入れられてうるさいんだもん」
岩田「うるさいとは何ですか?私は常識的な事を言ってるんですよ?」
映士「それがうるさいって言ってんだよ!」
内村「おやおや、そうやって喧嘩するところもコンビとしてはいい組み合わせだと思うがね」
映士・岩田「良くない(よくありません)」
宮川「まぁ相棒がいないよりはええんちゃう?」
横田「そうだよ!こんな野蛮人に岩田ちゃんみたいな強気の子が必要だよ!」
映士「…マジかよ…」
内村「なら決まりだな!明日から頼んだぞ!」
岩田「了解です!」
映士「(ため息)」




