伝説の娘の婚約問題
「ローズ、頼むぞ」
国王陛下の重々しい眼差しと願いにハッとした。
「ネバーローズ王国とバンダルディア王国の平和を繋ぐ存在、幸運を呼ぶオッドアイの娘よ」
物凄く切実な想いが伝わってくる。
国王陛下の、国の期待を背負ったのがわかる!
プレッシャーを凄く感じるけど、ここで弱気になれない。
ブラッドハート様との婚約を許してくれた恩もあるし、
「はい!」
揺るぎない眼差しを返そう!
「礼を言うぞ、ローズ」
陛下は安心してくれたみたい、笑顔になってくれた。
「そなたの、一人の娘としての幸せも願っておるぞ」
「ありがとうございます、陛下」
優しい王様だな、本当に。
私も安心してきた、あっ、ブラッドハート様も優しく手を取ってくれた……
「ローズのことは、婚約者としても国を繋ぐ存在としても丁重に扱うと約束いたします」
ブラッドハート様――!
温かさと握ってくる力強さの安心感。
身を任せます。その想いをこめて手を握り返した。
それを見て陛下は大きく頷かれた。
「すぐに、ローズがバンダルディア王国に行くための準備をしよう」
陛下は本当にすぐに側近に指示を出し始めてくれた。
これで、後は待つだけ――
あら、側近の一人がこっちに来た。
私に用があるみたい……
「ローズ様、ご両親はどこにおられますか?」
「えっ!?」
ご両親……?
どこだっけ…………?
「すぐに城に呼び、この事を話さねばならぬな」
陛下に会わせる両親!?
「どこに居るんだ? 俺も会って、そなたを貰いたいと願わねば」
ブラッドハート様にも!
「どうしたんだ?」
フィル王子も!
みんなに会わせる両親――!?
「あ、あのっ、実はっ、両親がどこにいるかわかりません!」
えっ!? って顔された!
「こうなる前の、森で倒れる前の記憶が無いんです! 」
本当に思い出せない……
森の中に急にぽっと現れたのかな?
「記憶喪失なのか?」
ブラッドハート様、凄く心配そうな顔してる。
「た、多分……」
あんまり心配させたくないけど。
今は、そうとしか言えない。
「伝説のオッドアイの娘、神が遣わしてくれたのかもしれぬな」
国王陛下は、ぽっと出て納得してるみたい。
「だが、一応、両親かローズを知る者を探させよう」
そうなるよね。
側近にまた指示を出した。
いきなり、このローズに転生したとしか思えないけど両親が居るのかな?
「両親がどんな者かわからぬうちは、婚約と国への連れ帰りは待つか? ブラッドハート王子よ」
えっ!?
国王陛下のストップがかかった!?
そんなっ、両親なんかいいから!
ブラッドハート様と一緒に居たいのに〜!!
「いえ、ローズとはこのまますぐに婚約して連れ帰ります」
頑な意思が声から眼差しから伝わってくる。
ブラッドハート様も同じ気持ちでいてくれてるんだ……
「両親が誰であろうと、どんな生まれのどんな身分であろうと気持ちは変わらない」
優しくて強い宣言、ブラッドハート様……
「わかった」
陛下にも伝わったみたい。
感動してるような潤んだ瞳でブラッドハート様と私を見てる。
「ローズよ」
「はいっ」
「もしも、両親が居なければ、我が王女にしてネバーローズ王国王族の称号を与えよう」
私を王女に!?
「いいのですか?」
そうなれれば嬉しいけど……
「伝説の娘であり、我が国とバンダルディア王国を繋ぐという幸運をもたらしてくれる存在。平和を愛するネバーローズ王国の王族に相応しいではないか。両親が見つかったとしても、我が娘のように大事にしたいと願おう。どうだ? 王子よ」
フィル王子の意見は――
「はい。ローズを王族に迎えること賛同いたします」
微笑んでくれてる。
「ローズ、私達はこれから兄妹のように力を合わせてネバーローズとバンダルディアの平和と幸せを繋いでいこう」
「はい! フィルお兄様!!」
――勢いで、お兄様って言っちゃったけど。
フィル王子も陛下も微笑んでくれてる、本当の父上とお兄様、家族みたい!
よかった……とても心強いし。
王族なら堂々とブラッドハート様と婚約できる!!




