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推し活令嬢〜推しが死ぬ運命を変えるために、まずは婚約破棄!敵国の冷酷王子を溺愛して溺愛される幸せを手に入れます~  作者: 紅薔薇みらの


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四各関係の解決と残りの問題

 フィル王子は城の自室にいた。

 金髪碧眼の美しい王子は長椅子に座り、隣に座る真紅の豊かな長髪と神秘的な紫の瞳を持つ絵画から抜け出たように美しいシルビアと見つめあっていた。


「夢のようだ。君と、朝からこうしていられるなんて」

「私もですわ……」


 頬を染めて微笑むシルビアの額に、フィルは手を当てた。


「ずいぶん顔が赤いな。熱もあるようだ」


 誰のせいですかと心の中で返しながら、シルビアは苦笑いした。


「昨日は一日、大騒動だった。疲れが出たのかな?」

「いいえ、大丈夫ですわ。けれど、本当に色々なことが、一気に起こりましたわね……」


 寄り添って回想していると、扉がノックされた。

 その回数とリズムは、クロスだけができるノックだった。


「こんな朝早くから、友人が訪ねてきたようだ」


 フィルはすぐに立ち上がった。


「ご友人?」

「クロスという名の兵士だよ。丁度いい、君に紹介しよう」


 フィルが扉に近づくと、やはりクロスの呼びかける小声が聞こえた。

 開けると、軍服姿のクロスと町娘がいた。


「大事な話があるんだ」


 隣は誰か聞く前にクロスが言ったので、フィルは二人を素早く部屋に入れた。

 シルビアも立ち上がって迎えた。

 フィルは隣に立ち、


「どうしたんだ?」


 改めて二人を見た。


「突然失礼致します。王子、シルビア様」


 クロスが気を落ち着かせながら挨拶した。


「クロスさん、何度かお会いしたことがありますね?」


 シルビアはクロスに笑いかけた。


「はい」


 美しいシルビアに、クロスは眩しそうに瞬きして笑顔を返した。

 シルビアは隣の女性にも目を向けた。


「この方は? まぁ、オッドアイ」

「本当だ。幸運を呼ぶオッドアイだ」


 シルビアとフィルは子供のように、娘の瞳を見つめた。


「この人は、フロンティア様です」


 クロスの答えに、フィルとシルビアは え?と首をかしげた。


「フロンティア様、話してくれ」


 フロンティアは頷いて、


「フィル様、シルビア、本当に私はフロンティアなんです!」


 必死に自分の身に起きたことを話した。

 自分がフロンティアである証拠も、いくつかの質問に答えて証明した。

 何よりも彼女の真っ直ぐな瞳と雰囲気。本人だとシルビアとフィルは感じ取った。


「君が本当のフロンティアで、会談に現れたのはフロンティアではない?」


 フィルが確認するように、まだ驚きの顔で聞いた。


「はい。別人です」


 言い切った、オッドアイの娘がフロンティア――


 冷静に思い返すと、いくらフロンティアが子供のようなところがあるとはいえ、あの無謀で大胆な婚約破棄を突きつけてきた姿とブラッドハート王子へのなんというか骨抜きで心酔したような態度、確かに別人。


 別の誰かの仕業……


「そうだとすると、私は、私達は君抜きで、本当のフロンティアの知らぬままに、ここまで話を進めてしまったというのか? 大事な婚約のことを……」


 フィルとシルビアは呆然としてから強張った顔を見合わせた。


「お二人のことは祝福致します!」


 フロンティアはすぐに言い切った。


「幼い頃の約束より、シルビア様と育んだお気持ちを大事になさってください」

「フロンティア……」


 切実なフロンティアに、フィルは何も答えられなかった。


 そこで、フロンティアはクロスに顔を向けた。


「私も、あの約束の後に出会った、この方への気持ちを忘れられないのです」


 フィルとシルビアの視線が、クロスに注がれた。


「なるほど、私達はお互いに」


 それ以上は言葉にできずにフィルはフロンティアに微笑みかけた。


「フロンティア、私は、君のことを本当に大切に想っていたよ」

「私もです、フィル様」


 二人は久しぶりに、心から微笑みあった。


「フロンティア……」

「シルビア……!」


 フロンティアとシルビアも微笑みを交わした。

 三角関係のわだかまりを解消できて、三人は安堵の吐息を吐いてから。


 フィルがクロスに向かって一歩踏み出した。


「クロス。フロンティアのことを、なぜ言ってくれなかったんだ?」

「……言う必要はなかった。頑張って諦めていたんだからな。けど、正直に言うと友人でいるのが辛くなっていたところだったよ」


 クロスとフィルも笑みを交わした。


「お互いに祝福できる人と結ばれてよかった。おめでとう、クロス」

「ありがとう。フィル王子も、おめでとう」


 ほっとした空気が流れてから、


「しかし、まだ手放しには喜べないな」


 フィルがオッドアイの娘になったフロンティアを難しい顔つきで見つめて言った。


「フロンティア様の体を乗っ取った奴を、どうにかしないことにはな」


 クロスも眉を寄せて考えながら応じた。


「そうだな……よし、ブラッドハート王子とフロンティアの体を使っている者を、ここに呼ぼう」


 フィルは濃紺の軍服のジャケットをひるがえして、大股に部屋を出て行った。


「乗っ取って使っている……」


 シルビアが不安な面持ちで考えながら言った。


「そんな恐ろしいことをしながら、フロンティアになっている者がしたことは、ブラッドハート王子と結ばれて、ネバーローズとバルダンディアが平和的な同盟を結ぶ手助けですわ」

「その先に、なにか……企んでいるのかもしれません」


 クロスの憶測に、シルビアとフロンティアは不安な顔を見合わせた。

 三人が重苦しく黙っていると、フィルが戻ってきた。


「フロンティアとブラッドハート王子、二人の方から来てくれた」


 そう報告したフィルはシルビアの隣に立った。

 四人が並んで待ち構えていると、フロンティアとブラッドハートが入ってきた。

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