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アスイェ•Asyeh  作者: 新城凪
その四:有能の者は生きる
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第三十七話:目に映した影

セラフィナはまた、アスイェの状態を無意識に感じ取った。

アスイェの体調が優れないと、セラフィナも気分が悪くなる。

その糸は深く体の中に埋まっていた。痛みは感じないが、体がその糸に引っぱられているような感覚に、セラフィナは思わず息を殺した。

アスイェのそばにいると安心する、その感覚に駆られて、またアスイェを探しに行った。

セラフィナは本当は文句を言いたかったが、毎回アスイェを見るたび、やめてしまった。

彼を探すのは簡単なことだ。

セラフィナには今、アスイェのことがしっかり「見えていた」。

アスイェは体を椅子に預け、黒髪が視線を遮り、アスイェは疲れ果てたようだ。

彼の呼吸、仕草、眠りに落ちた気配。そして、もっと深い吸血鬼の鼓動……

「おやすみしてるの?」

彼女は寝ていたアスイェに近づき、名前を呼んだ。

「アスイェ?」

アスイェは動かなかったが、影は先に動いた。

吸血鬼に影はない。

それは影のようなものだった。静かに動いて、人が気づく前に呑み込む。

ただ、その影はそのまま消えてしまった。まるで日の光に焼かれたもののように。

アスイェが目を開けたのはその時だった。

「……怖いのか?」

「影はアスイェの能力なの?」

「そうだ。言ってなかったか?」

「初めて知った……」

「……言い忘れた」

セラフィナが彼に近づくと、何か別のものが、水のように頭の中へ流れ込んだ。

最初は一雫だった。

その雫は、まるで鏡のように何かを映し出した。

夜行、殺戮、炎、風。

その黒い影はいつもそこにいたが、楽しんだことはなく、ただ仕事をこなすだけだった。

これはアスイェの記憶だった。

しかし、セラフィナは自分の姿も目にした。

ただ彼の後ろについて歩き、親しみを込めた眼差しでアスイェを見つめていた。

静かで、若く、白かった。

「それ。セラなの?」

いつの間にかアスイェはもう立ち上がっていて、少女に聞いた。

「また、目眩がするのか?」

その答えを待たず、彼の手はセラフィナの目を覆っていた。

初めて、セラフィナは彼を避けた。

「何をするの?」

「見せるべきではないものを見たからだ」

「セラの記憶を消すの?」

「……」

「もう見たもん!」

「……だから忘れさせる」

「なんで?」

「体に悪い……」

いやだ!前はそうする前に、ちゃんとセラに聞いてたもん!

「毎回嫌だって言われただろう」

「忘れたくない!知りたいからアスイェのところに来た!アスイェが弱っていたのに何も知らないのは嫌!お願い!」

「叫ばない……」

「ごめんなさい……でも……」

しばらくして、アスイェはため息を吐いた。

「……まだきついだろう。おいで」

セラフィナは戸惑っていた。

「……おいで」

セラフィナはアスイェの言葉にさからえない。アスイェも彼女の願いを聞いた。

「知るべきものと、知らない方がいいものもある。まずは自分の能力をしっかり制御すること」

「わかっている」

「俺の秘密が知りたいなら、このくらいできないといけない」

「うん!」

「焦りは良くない。まずは食べるべきだ」

今はまだ夜が訪れていない時間だった。

彼の過去は、少女にとって甘い子守唄になるだろうか?

それでも悪夢になるだろうか?


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