第七章 第十二話 闘士の底力
スコット「…………地爆斬!!」
守「……!!」
イースにオーズ村へと向かわせ、俺はスコットと対峙したが、無慈悲であり絶大なる一撃が、俺の命の灯火を消そうという寸前まで来ていた。
守「(……ここで俺は…………死ぬのか……!?)」
死に直面した時……
今までの修行の日々、闘い、そして……この世界に来てから出会った人達の思い出が、走馬灯の様に流れてくる。
「どんどんいくぞぉぉ!!オラオラオラオラ!!」
「!!うぎゃぁぁぁ!!!!」
「耐えろぉ!!イースぅぅ!!」
守「……(これは…………師匠のしごきか……懐かしいな……イースと一緒に励んでいたな……)」
辛い修行の日々……乗り越える事が出来たのは、弟弟子の存在と……師匠の厳しさの中にあった優しさがあったからなんだ……
「良かったぁ……良かったです…………」
「本当に深刻な状態だった……本当に良く無事だった……。」
守「……(これは……)」
臨時村防衛戦で俺は大怪我を負い、生死の境を彷徨った。
「守よ。おかえり。」
「守さん……おかえりなさい!!」
急死に一生を得た俺に、皆んなは「おかえり」と言ってくれたんだ……。……何より……その言葉……その心が嬉しかったんだ……。
「……良かったぁ…………良かったです……!!……無事で……本当に良かったです!!」
ハンターになってから初任務の帰り、イースに泣きながら抱きつかれた事もあった。……この世界に来る前、守れなかった約束を今度は果たす事が出来て、安堵した……そして……何より……嬉しかったんだ……。
守「…………(この感覚……どこかで…………
…………そうか……あの時……)」
「……あと……少しじゃ……オヌシ達は……ワシらの希望じゃ……僅かな力じゃが……受け取ってくれ……」
ガーサル領奪還作戦で師匠が瀕死の重症を負い、俺がシシオウとドグマの攻撃に耐え切れなくなる直前に……師匠は最後の力を振り絞って俺に力を分け与えてくれた……
……その時俺の頭の中で今まで出会った人々との思い出が駆け巡り……覚醒した俺は耐え切る事が出来たんだ。
……そして師匠はその戦いで命を落とした。……俺達に大事な物を遺し、そして託して……
守「……(……師匠との修行を思い出せ……剛体術と守護壁術を…………師匠が俺に伝えてくれたものを……!
そして、生きて帰ると約束した人達がいる……俺が死んだら悲しむ人達がいる……イースに加勢してオーズ村を守る為にも……
…………俺は…………ここでは死ねない!!)」
その時俺の両手を中心に辺りが光り輝いた。
スコット「……!!(なんだ……あの光は……?……だが……これで……!!)」
守「(信じろ……俺自身の力を……そして……師匠達との絆を!!!)」
…………うおおおおぉぉぉっっっ!!!」
俺は両手・両腕を中心に剛体術を強く発動した上で、両手に光り輝く強固な守護壁を展開した。
ドオオオオオオオオオオオォォォォンンンッッッ!!!
互いの攻撃と防御が交錯し、周囲は大爆発が引き起こされる。
両手を中心に身体全体が軋む。
……しかし俺はスコットの大技を耐え切った。
スコット「そんな……バカな……」
スコットは確固たる自信を持って繰り出した一撃を防がれ、僅かな動揺と……隙が生まれた。
守「(……今だ!)……闘気螺旋拳!!」
ドガアアアアアアァァァンッッ!!
スコット「ぐっ……!」
力を一気に放出した為か、自慢の怪力も若干ではあるが落ちていた。俺は必殺の拳を大斧の側面に叩き込み、スコットは大斧ごと側面によろめいた。
スコット「……!(しまった……!!)」
守「(もう一発……!)……闘気螺旋拳!!」
ドゴオオオオオオォォォッッッ!!
スコット「ぐおおぉぉっ!!」
今度は必殺の拳をスコットの腹部へと叩き込んだ。
守「(今が千載一遇の好機……!)……玄武連撃拳!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドォォォォッッッ!!
スコット「ぐおおおぉぉぉっっ!!」
守「はあぁぁっっ!!(……身体が軋む……悲鳴を上げる……だが……この好機を逃せば死ぬと思え!……絶対に逃すな!……この攻撃で決め切る!!)
俺は軋み痛む身体に自ら喝を入れ、怒涛の連打を叩き込む。
スコット「(……まずい……反撃をしなければ……殺られる!!……こんな所で……私は死ねない!!……死ねぬのだあぁぁっっ!!)
……ウオオオオオオオォォォッッ!!!
……地爆斬!!!」
スコットは必殺の一撃を試みる。
守「はああぁぁっっ!!
…………玄武堅牢拳!!!」
スコットが放った一撃に対し、俺は甲羅を纏った堅牢なる竜を容した巨大な闘気を繰り出した。
ドオオオオオオオォォォォンンンッッッ!!!!
互いの必殺の一撃が衝突する。
そして……
巨大な闘気はスコットの大斧を吹っ飛ばし、そのままスコットの方へと向かう。
スコット「そんな……バカな…………脆弱な人間如きに……私が……負けるなど……認めん…………認めんぞおおぉっっ!!!」
ドオオオオオオオォォォォンンンッッッ!!!!
スコット「グハアアアアアアッッッ!!!!
(………………私は……どこで…………
そうか……魂を売ったあの時から……間違っていた……)
巨大な闘気はスコットの巨体に激突し、辺りは大爆発を引き起こし土煙が散開した。
爆発が止み土煙が晴れると、力無く仰向けに倒れているスコットの姿があった。その巨体は崩壊し始めており、赤黒い煙が放出されていた。間もなく消滅するといった様相であった。
スコット「…………見事です…………守さん……」
守「……!……スコットさん……人の心を……取り戻せたんですね……」
スコットの眼は既に力がなくなっていたが、戦闘中には決して見られなかった優しさを感じられた。
スコット「……人の身であり……ながら……怪物となった……魔の物となった私に……よくぞ打ち勝ってくれました……
……有難う……ございます…………そして…………償い切れない……謝っても……許される事ではあり……ませんが…………本当に……申し訳……ありませんでした…………」
守「……スコットさん……貴方は何も悪くないです。
……全ての原因は……あの男が……」
スコット「……いいえ……私の弱い……心が…………私が全て招いた……事なのです……」
守「スコットさん……」
スコット「守さん……オーズ村へ向かって……村人の方達を……守って……下さい…………あと……身勝手な……御願いですが……私と同じく……哀れな……弟を……ケニーを……止めて……下さい……」
守「分かりました。オーズ村を守ります。そしてケニーさんを……世界の平和に尽力し貢献した貴方達を……人殺しになんかさせません……!」
スコット「……!……守さん……ありがとう…………」
守「……スコットさん……どうか……安らかに……!」
俺は目に涙を浮かばせながら泣くのを堪え、もうすぐ消滅するスコットに別れを告げた。
そして待機させていたハンスの分身に乗り、オーズ村へと直行した。
side:スコット
守さんに打ち負け、人の心を取り戻した私は、もう消滅する寸前であった。守さんはハンスさんの分身に乗り、既に姿が見えない所まで行っていた。
生まれつき力が弱かった私達に、ハンターの技術……そして心構えを教えて頂いた……ハンスさんを始めとする先輩方。
私達はその方達に教えられた事を世界の人々へと使い……微力ながら……平和に貢献していると……思っていた。
そんな中ワイドネスに殺され、私達の魂は利用された果てに消える筈だった……
しかし……あの男による悪魔の囁きが……いや……私の力を欲する心……弱い心が……つけ込まれた。
そして私達は……魔の物へと姿を変えた。……そして心までも……
だが守さんの……聖なる力が……あの堅牢なる竜の闘気が、私に当たった時……魔の物となっていた心が……浄化される感覚であった……
そして……
スコット「(こんな私の為に目に涙を浮かばせながら……
守さんは……私達の事を……
「世界の平和に尽力し貢献した貴方達」と仰って下さった……)」
その言葉……その心に……
……私は救われた……
……願わくばケニーも……
スコット「…………神様…………私は…………どんな……地獄に落ちても……構いません…………
なので……どうか…………守さん達や……村人の方達を……守って……下さい…………そして……せめて……ケニーは…………天国へ…………………………」
この世への懺悔と願いを馳せながら……
……私の身体は消滅し……
……私はこの世に…………別れを告げた。
…… 第七章 第十三話へ続く




