第七章 第十一話 竜人の底力
守「はぁ……はぁ……(……どうすれば良い……どうすればこの状況を打破出来る……!?)」
大斧を携えた竜人スコットと対峙した俺であったが、スコットの怪力と戦闘技術を前に、徐々に窮地へと陥っていた。
スコット「来ないのなら……こちらから参る!」
守「くっ……!(考える時間は……与えてくれないよな……!)
……はぁっ!!」
スコット「ふんっ!!」
ガキイイイィィィンッッ!!
スコットの縦斬りに対し、俺は守護壁を展開してそれを防ぐ。何度か受けている内に、怪力の程度は想定出来る様になったが、全身への過負荷は束になり山となって蓄積していく。
スコット「……(今度は押し返す力を強くしてきたか……ならば……こうだ!)……ふんっ!!」
スコットは大斧の横薙ぎへと切り替える。俺は対応しきれず、初手と同様に大きく吹っ飛ばされる。
守「……くっ!」
俺は受け身が取れず、地面へ激しく滑り倒れる。
スコット「まだまだゆくぞぉっ!!」
守「……!!」
すぐさま俺は立ち上がり体勢を整えようとしたが、スコットは俺に向かって大股で接近し、再び大斧を振るう。
ガキイイイィィィンッッ!!
只でさえ怪力を受け切れていない状況の中、更に体勢が整いきれていない状態で攻撃を受けた為、俺は再び崩れ落ちてしまった。その状況でスコットは間髪を入れずに追撃を見舞う。
スコット「地爆斬!!」
守「……!!(……まずい!!)……うおぉっっ!!」
ドゴオオオオオォォォンッッッ!!!
絶大な威力を誇る一撃に対して、俺は守護壁も剛体術も通用しないと判断し、崩れた体勢から無理矢理転がる様な形で緊急脱出を試みた。
守「……ぐっ!」
直撃は避けられたが周囲の爆発も威力があり、俺はダメージを負う。
守「はぁ……はぁ……(一撃一撃が重い上に……あの地爆斬という技の直撃を受けたら……確実に…………死ぬ……!)」
スコット「また避けたか……だが、そう長くは続くまい。……ゆくぞ。」
スコットは先程と同様に大股で俺の方へ接近する。
守「……(とにかく力が違いすぎる!……単純な戦法で戦い続けるのは危険だ!)」
このままでは危険だと判断した俺は、バックステップでスコットとの距離を一旦空けた。
守「(……距離を取って一旦仕切り直す!)」
スコット「……ふん。逃げるか。脆弱な人間風情めが。」
スコットは険しい表情をしながら、挑発にも取れる言動を取った。
守「……」
無論そんな挑発には乗らず、俺はスコットを倒す為に戦いのペースを変えようと試みた。
守「……(動き回って隙を突く!)」
俺は左右へのステップを行い、スコットの撹乱を試みる。
スコット「……」
スコットは目で俺を追いながら身体の向きを変えるだけで、動きは殆どない。だが大斧は常に構えており、その体勢からは隙が見つからない。
守「(隙がない……ならば……隙を作る!)……はぁっ!!」
スコット「……?」
まだ距離が空いていた状態だったが、俺は守護壁を展開する。そのまま俺はスコットに向かって直進した。
スコット「……(壁で私の攻撃を防ごうという魂胆か……?……望み通り壁ごと破壊してくれる……)」
スコットは右腕で持っていた大斧を大きく上げ、そのまま俺の方へ振り翳してきた。
守「……(ここだ!)」
スコット「……!!」
ドオオオオオンンッッ!!
スコットの大斧が俺に達するかという直前で、俺は守護壁を解除し、左サイドステップで大斧を躱した。
守護壁で相手の攻撃を誘導した事で、攻撃方向やタイミングを予測し、受ける形ではなく回避が可能となった。
守「ハァァァッッ……闘気螺旋拳!!」
スコット「……くっ!(防御は間に合わないか……)」
ドゴオオオオオォォォンッッ!!
スコット「ぐっ!」
更に回避が可能になるという事は、受ける形では困難だったカウンターも可能にした。
渦を巻いた必殺の拳は、スコットの右脇腹を捉えた。その威力に押され、スコットは後方へと後退りする形となる。
スコット「……(耐えられる威力だが、そう何発も安易と受ける訳にはいかぬな。)」
スコットの右脇腹には俺の拳の跡が刻まれた。
そこから俺は追撃を試みる。
守「(一発一発の力はスコットさんの方が格上だ。ならば……手数で攻める!)……玄武連撃拳!!」
ドドドドドドドドッ!!!
俺はスコットのカウンターを警戒しつつ、拳の連打を叩き込む。
スコット「……はぁっ!!」
守「……!!……はぁっ!」
ドオオオォォォンッッ!!
スコットは大斧による縦斬りを繰り出してきたが、俺はサイドステップで躱す。
スコット「……(まだだ!)」
すかさずスコットは横薙ぎを繰り出してきたが、これを俺は沈み込んで躱す。
守「……はぁっ!!」
ドドドドドドドドドドドドッッッ!!!
スコット「ぐおぉっ……!!」
スコットの攻撃を数度見て目が慣れてきた為、攻撃方向や速度の先読みが可能となっていた。回避、更にはカウンターが可能になった事で、俺の攻撃にリズムが生まれる。
先程とは一変、今度は俺が拳の連打によって攻勢に出る。スコットは拳の連打を捌き切れず、俺の拳がスコットの身体に何発も叩き込まれていく。
スコットの耐久力が並外れた物とは言え、俺の拳はスコットの身体に確実にダメージを与えていた。
スコット「……ぐっ……(壁での防御は捨てたか……ならば……)……地爆斬!!」
守「……!……はあぁぁっっ!!」
ドオオオオオオオオォォォンッッ!!!
俺はサイドステップをしながら、爆発方向へ守護壁を展開した。直撃を受けたら守護壁を展開しても絶命は免れないが、周囲の爆発のみであれば守護壁で受け切るのは何とか可能であった。
ただ爆発による風圧で俺は後方へ飛ばされる形となり、俺とスコットとの距離が空いた。
スコット「はぁ……はぁ……(このまま押し切れると思ったが、流石に簡単にはいかぬ相手だな。……攻め方を変えるか……)
……スウゥゥゥゥっ!!」
守「……(大きく息を吸った……おそらく……)」
スコット「……ハアアアアァァァッッッ!!!」
ゴオオオオオォォォォッッッ!!!
スコットは威力を凝縮した直線状の火炎……というよりも熱線を吐き出した。熱線は俺の方へ急進する。
守「……!(これまでと違う形状で……速い!!……これは避け切れない……ならば……!)……はぁぁっっ!!」
俺は守護壁で熱線を防ごうと試みる。しかし……
ゴオオオオオオオオオォォォォッッッ!!!
守「ぐっ……!(……受けきれるか……!?)
熱線の威力はガーサル領奪還作戦で、強狂化したシシオウが放った火炎をも上回る程であった。
守「……(あの時は師匠が力を分けてくれたから防げたが……今は……)」
ゴオオオオオオオオオォォォォッッッ!!!
守「……くっ……」
ドゴオオオオオオオォォォォッッッ!!
何とか耐えていたが、熱線は守護壁で防がれている間に周囲の空気と混じり合い、大爆発を引き起こした。
パリイイイィィィンッッッ!!
守「……!!」
大爆発の威力に負け、守護壁は崩壊した。その威力に押され俺は後方へ吹っ飛ばされ、地面へと倒れ伏す。
守「ぐっ……!(爆発が起きるとは……!……ただ爆発が起きて寧ろ良かった位かもしれない……)」
爆発が起こらずとも恐らく守護壁は崩壊し、俺は熱線の直撃を受けていたであろう。
スコット「……(あの壁は相当に堅固であるが、私の攻撃を受け切れる程ではない。……奴の脚を封じるか……。)
……スウゥゥゥゥッッッ!!」
スコットは熱線を吐く前に見せる様な、深い吸気を行った。
守「……!(あの熱線は避ける事も受ける事もままならない……吐かせる前に……拳を叩き込む!)」
危険を承知で不利な状況にならない事を優先し、俺はスコットの方へ直進する。
スコット「(私の火炎を嫌って自ら来たな……!)
……地爆斬!!」
守「……!!(誘い込まれた……!……罠か……!)」
ドゴオオオオオォォォンッッッ!!!
俺とスコットとの間で大爆発が引き起こされる。
俺は守護壁での防御を試みたが、攻撃を予測出来ていなかった為、対応が遅れた。更にスコットが息を吸って威力を高めていた事も相まって、俺は爆発によるダメージを受けながら後方へ倒れ込む。
スコット「スウゥゥゥゥッッッ!!!」
スコットはすかさず熱線を繰り出す為、大きく息を吸い込む。俺は倒れ込んでいた為、先程の様にスコットの方へ直進する事が出来なかった。
守「くっ……!(守護壁で受け切るしかない……!)」
スコット「(喰らえ……!)……ハアアアアァァァッッッ!!」
ゴオオオオオオオオオォォォォッッッ!!!
守「はぁぁっっ!!」
急進してきた熱線に対し、俺は守護壁での防御を試みる。しかし……
守「くっ……!(先程の熱線より威力が……強い!)」
更に先程は万全な体勢からの防御であったが、今は体勢が崩れている中での防御となり、守護壁の防御力は若干ではあるが落ちていた状態であった。
パリイイイィィィンッッッ!!
守「……!!」
守護壁は爆発が引き起こされる前に崩壊した。そして……
ゴオオオオオオオオオォォォォッッッ!!!
守「ぐおおぉぉっ!!」
俺は熱線の直撃を受け、大きく後方へ吹っ飛ばされた。
ドガアアアアアアァァァンッッ!!!
そして後方にあった岩壁に激突した。
守「……はぁっ……はぁっ……」
剛体術を発動していた俺は、大火傷を負い岩壁に激突しながらも何とか立っていた。……しかし立っているのが精一杯だった。
スコット「……まだ立っていられるのか。……脆弱な人間にも関わらず大したものよ。」
そう言いながら、スコットは大股で俺の方へ接近する。
スコット「だがこの闘いも……これで終わりだ。
……スウゥゥゥゥッッッ!!」
スコットは一撃に備えて大きく息を吸い込む。
その間に俺は反撃する余力が残されていなかった。
スコット「…………地爆斬!!」
守「……!!(……ここで俺は…………死ぬのか……!?)」
無慈悲であり絶大なる一撃が俺の方へと向かっていく。
イースにオーズ村を託し、俺はスコットと対峙をして始めは劣勢であったが、戦法を変えて一時は優勢となった。しかしスコットも戦法を変え、更には絶大な攻撃力を前に俺は瞬く間に再び劣勢となってしまった。
そして……俺の命はもう尽きてしまう手前まで来てしまっていた……。
…… 第七章 第十二話へ続く




