開催
あの特待生の一団との諍いから時間が経ち、とうとう一年生の体育大会が開催となった。
生徒会でやっていた準備も教師陣に無事引き継ぎを終え滞り無く大会は始まった。
開催の挨拶も有り、校長が挨拶をしたのだが、やはりこういった物は様式美なのか無駄に長かった。
しかし、そんな挨拶を聞いているはずの生徒達は校長の話をまるで聞いておらず、これから始まる戦いに闘志を漲らせていた。それは一緒に並んでいた俺にも感じられるぐらいにピリピリとした雰囲気を生んでいた。
しかし、これだけ緊張感がある学校行事って凄い……、怪我人とかでないだろうな?
俺がそんなことを考えていると、長かった校長の話も終わり、変わりに体育教師が注意事項を話し始めた。
「生徒諸君! 力の限り大会に臨むのは大変素晴らしいが、フェアプレイ及びルールは必ず守る様に! それから無茶なプレイは控えるように! 怪我人とか出ないように本当に頼むぞ! 先生の心からのお願いだ!」
…………おかしいな注意事項の連絡のはずなのに最後が懇願になっている。なんだろう過去の大会でどれだけの事が有ったのか……、少し知りたい気もするが大丈夫かこの学校……。
そして体育教師による注意事項の連絡も終わり、とうとう体育大会が始まり生徒達が各々の試合会場へ向かって行った。
さてと、俺も自分の試合会場に行くか。
俺はトーナメント表と試合会場が記載されている予定表をポケットから取り出して向かう場所を確認する。俺が出るのは、……バレーボール男子だから、第三体育館か……。そうして会場だけ確認し早々と向った。会場に向かう道すがら同じクラスの女子が出場する予定を確認しておく。女子達から時間があったら応援に来て欲しいと言われているので時間が許す限り見に行こうと思う。……あれだけやる気に満ちあふれているのだ、さぞかし見応えが有るだろうよ。
おっ、詩乃さんが出てるバスケットボールの会場が近いな、こっちの試合が終わったら最初に見学に行くかな。……相手は何処かな? 俺はプリントに書かれているトーナメント表を見てみる。
このトーナメント表、女子は人数が多いのでバスケットボールで言えば四ブロックに分かれている。そこで優勝と準優勝したチームが他のブロックで同じように勝利したチームで新たにトーナメントが組まれ再度優勝を争うらしいのだ。長い道のりである……。今回のブロックトーナメントでは言い争いしていた特待生達のチームは無かった。これは一組のみんなにしてみれば幸運なのか?
でも、取り敢えず今は自分のことだな……。
俺は自分の出場するバレーボールの試合が開かれる会場の中に入った。
…………圧巻、と言って良いのか? 結構な量の男子が集まっていた。改めて見ると男子多いなこの学校。
でもこっちは女子と違って穏やかな空気が流れている。まぁ、そんなに熱くなる商品が有るわけでもないしな。俺は一組の男子が集まってる場所に行き、試合の開始を待っていた。
そんな中気合いの入った声が聞こえてきた。
「みんな一組のやつらなんかメッタメッタにしてやるぞ!」
「俺たちの方が優れてることを証明してやる良い機会だ」
「本当にな……、僕達の方が一組に相応しいのに……二組に入れられるなんてこの学校の職員は見る目が無い……」
声のした方へ顔を向けると、何故かこちらを睨んでいる集団がいた。……いや話から察するに二組なんだろうけど。
「またアイツ等か……、相変わらずプライドだけ高いな」
集まっていた一組の男子の一人がなんとは無しに呟いた。
「アイツ等の事知ってるの?」
「なんだ、秦野は知らなかったのか? 二組の奴らだよ。アイツ等いつも俺たち一組の男子に嫉妬してるのさ」
「……なんで?」
「えっ、そりゃあ身の程を知らずに俺たちより優れてるとか妄想してるからだろ? ホラこの学校って男子は上のクラスの方が格上って認識だからな。それに不満を持ってるんだよ」
「そ、そうなんだ……」
「ああ、プライドだけが高いヤツって本当迷惑だよなー」
「ぶ……」
「ぶ?」
「いや、何でもない」
……ブーメランって言葉知ってるか? って言いそうになってしまった。自重自重……。
「そうか、まぁかる~く捻ってやろうぜ。俺たち初戦で当たるから」
「一回戦の相手かよ!」
「いや、一回戦の相手ぐらい確認しておけよ。どんだけ眼中にないんだよ……」
漫画とかだったら決勝戦の相手だろうに!
くそっ! さっきプリント見たときに試合相手を確認しておけばこんなツッコミしなくても良かったのに!
ホラッ! 俺たちが話していたのが聞こえていたのか、さっきよりも目つきがきつくなってるよ!
「秦野ってそう言う所あるよなー」
「あるある。自分が一番かっこいいとか思ってそう」
「女には愛想良いんだけどな~」
他の一組男子も話しに加わってきた、と言うよりも俺をディスってきた。
なんてことだ! 俺の名誉を取り戻さなければ……!
「俺が愛想良いんじゃ無くてお前等が悪すぎるんだろ!」
俺がそう言い返すとクラスの男子は”ふぅ~やれやれコイツわかってねー”とでも言うような眼で俺を見てきた。
そんな眼で俺を見るな!
そうこうしてる内に会場には女子の見学も増えてきた。
そろそろ試合開始である。




