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激闘の予感

 試合が始まった。

 因縁の対決、男子一組対二組の戦いである。当然の事ながら上位のクラスの男子なので観戦する女生徒も多い。その上、二組は一組に対して敵対心を持っているので非常に白熱する試合になるだろう……。


「さて、一組の皆さんに現実を教えてあげましょうか……」


 試合は二組のサーブから始まった。サーバーは眼鏡をかけた男子でなにやら自信満々の様子である。

 ちなみに学校の授業遵守のルールなの六人制のバレーでラリーポイント制の1セットマッチである。準決勝からは3セットマッチの長丁場になるらしい。


「では行きますよ!」


 眼鏡男子は気合いを込めた声を出すと、大きく手を振り、勢いよく振り抜いた。


 ……下から。


 ポーンと山なりに打ち上がったボールは、ゆっくりと一組のコートに向かってくる。別段とスピードがあるわけでは無く、ボールの落下場所もちょうど一組の選手が居る位置である。俺が居る場所とはちょうど反対側だったので、俺はゆっくりと迫ってくるボールを見ながら、二組の生徒あれだけ自信満々だったのにそれほど強く無いんじゃ……等と思っていた。


 そして、そのサーブに一組の男子がレシーブをした! その瞬間レシーブをした生徒から苦悶の声が上がった。


「くっ!」


 レシーブされたボールはキチンと上がること無く、コートの外に出てしまった。


 …………んんっ?


 俺はその光景を見て思わず心の中で呻いてしまった。

 いや違う、そう言えばレシーブって案外難しもんな、部活でしてなかったらああいう事も普通に有るだろう。俺も気を付けてプレーしよう! と先程の光景を思い出し気合いを入れ直す。そんな俺にチームメイトの声が聞こえてくる。


「大丈夫か?」

「……いや、ヤバイ。見てくれレシーブした腕がこんなにも赤くなってる。とんでもない威力だ」

「本当だ。おい、大丈夫なのか?」

「ああ、なんとかな……」

「頼むぜ、このままだったら二組の奴らにでかい顔をさせる事になる」

「わかってるよ。アイツ等には序列ってヤツを教えないとな……」


 ………………ハッ!


 思わず呆然としてしまった。今の話が本当だったら、あのサーブは見かけによらず凄い威力だと言うことである。スピードは出てなかったけど、山なりに落ちて来たからその分強いサーブになったのか? ……いや、でも凄い大きく上がった訳じゃないしな……。後、赤くなったのは普通じゃないか?

 そんな事を考えていると、ボールは再び眼鏡男子に戻り試合が始まる。


「フゥ……、やはり一組の生徒はこの程度ですか?」


 サーバーの眼鏡男子はどこかバカにした様子でこちらを煽ってきた。そんな見え見えな挑発に乗るヤツがいるはず……


「なんだと! 二組如きがまぐれで調子に乗って!」


 うん、いましたね。やっぱり男子はプライド高いな、煽り耐性が全くない。取り敢えず落ち着きなさい。


「おい、落ち付けって、あっちはああやってこっちを挑発してるんだから」


 俺は挑発に乗った男子にそう声を掛けてみる。


「言われなくてもわかってる! 俺は別に挑発になんか乗ってない!」


 嘘付けよ! めっちゃ乗ってんじゃん! 完全に術中にはまってるよ!


「ムキになってる男の子って可愛いよねー」

「ねー」

「腕大丈夫かな? 赤くなってるみたいだけど……」

「心配だよね」

「私が冷やしてあげたい……」


 俺の耳に観客の声が聞こえてくる。どうやら観客は好意的に見ているようである。まぁ総じてこっちの女子は男子の対してダダ甘だから驚かないけどな! でも敢えて言わせて貰うと可愛くは無いと思う。とは言うもののこのままでは負けてしまうのでは……?


「行きますよ! たぁ!」


 サーブが打たれる。先程と同じようにゆっくりと飛んでくる。落下地点はさっきと同じ場所である。

 こんどはどうだ。


「二回も通じると思うなよ! クッ!」


 おおっ! 今度はちゃんとコート内にちゃんと上がった。


「良し、ナイスだ! 行くぞ!」

「来い決めてやる!」


 そして、トスが上がりスパイクのチャンスになる。


「やぁ!」


 そしてスパイクが放たれる! ……が、残念ながらジャンプ力が足りなくジャストミートせず指先に当たり、ボールはフラフラと相手コート返って行った。しかしちょうど相手選手がいない場所にポトリと落ち一組のポイントとなった。


 おおっ決まった。ナイスプレイ? である。

 するとさっき煽られた一組の男子が煽り返す。


「ハハッ、見ての通りちょっと真面目にやると直ぐに勝っちゃうから、最初は手加減してあげたんだよ」

「クッ! マグレの癖に……」


 眼鏡男子は悔しさを隠そうともしないで悪態をつく。どうやらあっちも煽り耐性は持っていないようである。どっちもどっちだ。


 おっ、こっちにサーブ権が来たので時計回りにローテーションをした。今度はアタッカーの位置になったのでネット越しに二組の男子と目が合った。


「ふん! 秦野琥珀」


 なんでしょうか? 目線だけで聞いてみる。


「王様を気取ってるようだが、ここで思い知らせてやるからな!」

「ちょっと待って」

「お前は王様は王様でも滑稽な裸の王様だ」

「だからちょっと待て」

「ふんサーブが来たな。言葉で惑わそうとしてもそうは行かないぞ」


 俺の正面の男子は俺から眼を話しボールに集中しだした。


 だからちょっと待てや! 王様なんか気取って無いよ! 

 なにそれ俺そんな風に言われてんのお願い教えてください!

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