表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
47/68

XLIV.封印解除

『……調査の結果、〈魔王〉は結界の中で力を蓄えている可能性が高いとのことです。貴族学院にいる方々に関してはわたくしから報告しておきます。直ちにヴェヒター家に集合してくださいませ』


 ルネティアからの連絡を伝えに来たアレクシアに、アダは礼を言った。


 魔石獣は飛行補助の他に、連絡用魔術具の代わりとしても動くらしい。他にも、内緒話をするときにも活躍する。大変だ。


「分かった。ありがとな、アレクシア」

『ふふん。それほどでもないわ。じゃあね、アダ』

「おー、ルネティアによろしく」


 アダがそう言うと、アレクシアは少し目と長い耳を伏せた。


『うん。……ねぇ、アダ』

「ん?」

『ちゃんと生きなさいよ』


 アレクシアの言葉に、アダは目を見開いた。


「どういう、意味?」

『アダは、自己犠牲なんかしちゃ駄目だからね。アダがすごくすごく優しいのは知ってるけど、それだけは絶対』

「……さも、前にもそういう奴がいたみたいな言い方だな」


 アダがアレクシアを見つめてそう言うと、アレクシアは唇を噛む。


『そう思うのは勝手よ。あたしたちは気付いてるけど、人間の誰にも言うつもりないもの。……例え、主を傷つけるとしてもね』


 それだけ言い残して、アレクシアは去っていった。





「……アダ」

「ごきげんよう、アダ」

「おぅ、フェリシアン、ベアトリス」


 先に馬車に乗っていたフェリシアンとベアトリスに挨拶して、アダはベアトリスの隣に座った。


「そういえば、君みんなのこと愛称で呼ばないよね。なんで?」


「……慣れねぇからだよ。俺はあの中で顔見知りの奴らばっかりだし。シモン様のお許しもあっただろ?慣れねぇ愛称呼びするよりかは、そのままにして、戦い方に専念した方がいいじゃんか」

「まぁ、貴女らしくていいんじゃないかしら?」


 ふ、とベアトリスは笑った。



 ◇◆◇



「おかえり、アダ。それから、フェリシアンとベアトリスも元気そうで何よりだ」


 屋敷に戻って出迎えてくれたのは、〈光明の英雄〉だった。


「只今戻りました、〈光明の英雄〉様」

「……君、未だにその呼び方だよね……。流石にそれは減らさなくていいの? 長いよ?」

「大丈夫です。いざとなったら『光明様!』と呼びます」

「意地でも名前は呼ばないんだ」


 まぁいいけどさ、と言って〈光明の英雄〉は踵を返した。

 そして、アダたちも屋敷に入る。


「あぁ、戻っていたのですね。おかえりなさいませ、アダ様」


 屋敷に入ると、ルネティアが礼をしていた。忙しいらしく、出迎えには来られなかったらしい。


「全員揃ったので、小ホールに集めてほしいです」

「分かったよ。……ヒルベルト」


 〈光明の英雄〉はそう言って、魔石獣──ヒルベルトを出した。黒い狼である。


(魔石獣は基本的に主の容姿に似ることが多いし、性別も同じはずなんだけど、〈光明の英雄〉様は珍しいタイプだよなぁ)


 現に、性格は真反対であるルネティアとアレクシアも髪(毛並み)や瞳の色は同じだ。





 そうして、小ホールに全員が集まった。〈孤影の英雄〉を除く。


「三日後、決戦を開始する」


 〈光明の英雄〉はそう宣言した。


「本日、結界を解除しますが、解除に三日かかります。その間は、最後の準備をお願いいたします。それから、封印を解除する間は結界が脆くなりますので、交代制で何度か見に行っていただくことになります」


 ということで、アダたちは全員で結界の解除に向かった。

 アダたち学生は飛行魔法、〈光明の英雄〉たち成人は魔石獣を使う。




「……前から思ってたけど、アダの飛行魔法の精度ってヤバいよね」

「えぇ、わたくしも今それを実感しているわ」


 フェリシアンの言葉に、ベアトリスも頷いた。


「何の話?」

「貴女、飛行魔法を使いこなしすぎなのよ。いっそ怖いくらいだわ」

「もしかして鳥?」

「んなわけねぇだろっ!! お前の目は節穴か!?」

「んじゃあ、前世?」

「ん、そっ、そんなわけねぇだろ……!」

「あ、否定できなくなった」

「前世なんて知らねぇから仕方ねぇだろ!?」

「まー、そうだねー」


 クスリとフェリシアンは笑う。〈魔王〉との決戦直前なのにも関わらず、こういった気軽な話ができるのは嬉しかった。緊張感が足りない、とトイフェル辺りに怒られるかもしれないが、こういう場面では緊張しすぎるところがあるので、アダにとってはいいことだ。





 そうして、ロデス家を通り越し、〈魔王〉の封印にまでやって来た。


「では、解除します」


 ルネティアが封印に触れるのを、皆で見守る。


「魔法陣、展開」


 封印の、ルネティアが触れた側面に魔法陣が浮かんだ。

 そして、その魔法陣からダイヤのような形のものが浮かんだ。緑とピンクが入り交じった色だ。風と花の魔力を持つ、ルネティアの魔力の色である。


「封印、解除」


 ダイヤ型のものが、淡く発光してキラキラと塵となって消えた。

 そして、結界が半透明とはいえ、曇っていてあまり見えなかった中が、かなりはっきりと見えるようになった。

 魔族の証である角が生えた、一人の少女の姿。


(最低でも五百年以上は生きてるって聞いてるけど……)


 小柄なエルネスタと変わらないくらいの身長だ。


「では、朝、昼、夜で三日。今日の分は夜だけでいいので、七回見張りが必要になります。どうしますか?」


 話し合った結果、アダ、ベアトリス、フェリシアンは三人で明日の昼と夜になった。


(……頑張んねぇと)

いよいよラストスパート~~!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ