表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
35/44

XXXII.共に戦う者たち

 貴族学院の休日。アダはフェリシアンと共に、〈英雄〉の屋敷に向かっていた。



 先日のホルツヴァード侯爵とベアトリスとの話し合いで、〈魔王〉と直接対決する者たちが決定した。


 今回は、その顔合わせである。とはいっても、アダが会ったことないのはフェリシアンの兄の二人だけなのだが。


 それから、次の休日からは連携をとる練習をしていくそうだ。流石に〈魔王〉と直接対決するのに、連携がとれていなければ、意味がない。

 ちなみに、今は封印を再度かけ直したため、〈魔王〉復活の兆しは見られないらしい。だからと言って、油断はできないのだが。


「なぁ、お前の兄君たちってどんな人なんだ?」

「……いい人ではあるよ。僕にも優しくお話してくださるし。まぁ、癖が強いかな」

「へー」


(まぁ、どんな人か、楽しみだな)


 そう思って、アダは窓の外を見つめた。



 ◇◆◇



「やぁ! フェリシアン。そちらがアダ嬢だね? 話はフェリシアンから聞いているよ」


 着いた途端、大きい男性にそう言われ、アダは驚く。


(コイツは長男、次男? どっちだ?)


「シモン、〈青嵐の英雄〉殿が驚いている。まず名乗ったらどうだ」

「あぁ、すみません、兄上」


 シモン、と呼ばれた男はそう言って、アダにニコリと微笑む。


「お初にお目にかかる、〈青嵐の英雄〉殿。俺はシモン・レーヴだ。これから、たくさん話す機会があるだろう。よろしく頼む」

「俺はスチュアート・レーヴ。コイツとフェリシアンの兄だ。よろしく」


 スチュアートと名乗った男。こちらが長男だ。体格は細めだが、ほどよく筋肉がついている。


 そして、シモン。こちらが次男。体格はかなりよい。少し軽薄そうな男だ。


「……よろしくお願いします」


 アダはぺこりと頭を下げた。



 そのとき、扉が開く。そこにいたのはルネティアだった。


「アダ様、おかえりなさいませ。これで皆様お揃いです」


 アダは周りを見渡す。


 ここにいるのはアダ、フェリシアン、〈光明の英雄〉、ルネティア、ベアトリス、スチュアート、シモン。


(いつも明るい〈光明の英雄〉様なのに、今日は何だか静かだな)


 〈光明の英雄〉は頬杖をつき、何だかぼんやりとしていた。そのオパールの瞳には、何も映していない。


「……〈ヴェヒターの結界〉殿、〈孤影の英雄〉様がいらっしゃらないように見受けられるのですが」


 スチュアートがルネティアに問うた。


「本日は欠席です。〈光明の英雄〉様と〈孤影の英雄〉様は多忙の身ゆえ、基本的にはどちらかが出席することになります」


 ルネティアがそう説明すれば、スチュアートは「そうですか」と頷いた。


「本日は顔合わせと、お互いのことを知るためです。悠長にやっている暇はございませんので、外に向かいます。着替えられる方は早急に」




 ということで、外に出てきた。


「……ねぇ、アダ。なんでレーヴ公爵家がいるのよ……!」


 外に出る途中、ベアトリスはアダに声をかけた。


「え、言ってなかったっけ?」

「招待状には書いてあったけれど、そんなので分かるわけがないでしょう!?」

「んー、まぁ、いろいろあんだよ」

「いろいろって何よ……」


 アダの適当な説明に、ベアトリスはため息をつく。

 そのとき、フェリシアンがアダの肩を叩いた。


「何の話?」

「……レーヴ公爵家と〈英雄〉の一族に、どんなご関係が?」


 ベアトリスはフェリシアンに対して敬った態度をとる。


「んー……昔レーヴ公爵家からヴェヒター家に嫁いだ人がいてね」

「……そんな話、聞いたことがないのですけど」

「非公式だったからね。それに、一年くらいで離婚しちゃったから」

「……」

「それで、まぁ一応ヴェヒター家の内情を少しは知ってる僕たちが協力してるってわけ」


 ベアトリスは納得のいかなさそうな顔をしていたが、やがて諦めたようだった。





 そうして、庭──訓練場につく。


「長い名前の方は愛称か何かで呼んだ方がいいのでは?」


 開口一番、そう提言したのは、シモンだった。


「敬称もです。長い名前や敬称について考えながらでは、戦いにくいでしょうし」

「いい案だと思います」

「俺とアダ嬢──いや、アダはそのままかな。他、愛称ある人!」


 ルネティアはルネ。トイフェルはフェルト。フェリシアンはリアン。スチュアートはスチュー。ベアトリスはベティ。


「では、アンジェリーネ様は?」

「ん~、そうだね。リーネ、でお願い」


 〈光明の英雄〉はニコリと微笑んでそう言えば、ルネティアが目を見開く。


(そういえば、アンネ様って前、ルネティアに呼ばれてなかったっけ。そっちじゃなくていいんかな)


「んじゃ、これでいいな。まぁ、普段接してる人でそれに慣れない、とかなら普通に呼んでもらってもいいんで」


 ということで、〈魔王〉討伐のため、彼らは動き出した。



(俺、絶対呼ぶの慣れねぇからなぁ……今まで通りがいいな……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ