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Seventh Øne  作者: 駿
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集結するアンチレリジョン ②

 本殿内。

 腰を掛けた私の前に……不徳を致した慚鬼の世話役と、その妻が立ち並ぶ。

「ほう、逃げられたと?」

「はい……あの不信心者達が起こした騒動に乗じられて…………」

 小僧め。

 まだ、人としての自我を持っていたとはな。

 しかし……逃げた所でどうすることも出来ん。

 時間が経てば意思など消え、完全な慚鬼となるだろう。

 捨て置いて構わぬか。

「申し訳ありません、教祖さま!どうか、どうかお許しをッ!!」

「私からもお願いします!どうか、主人にお慈悲を!!」

 2人揃って跪き、頭を垂れる。

「……人が犯した過ちを許すこと、それもまた善。寛大な心を以て、儂はお前を許そう」

「ッ、教祖さま……!」


「だが、それはそれだ」


「えっ」

 私は持っていた錫杖を投げ放ち、顔を上げた世話役の頭部へ突き刺した。

「嫌ァァァァァァァァァッ!!」

「罰は絶対。儂の許しなど関係なく、果たすべきものだ」

 刺さった錫杖を操り、私の手に引き戻し……付着した下賤な血を振り払った。

「あなたッ!あなたァッ!!」

「ご、ごガ……キ、キ……コ…………!」

 ——惨堕。

 世話役の肉体は亡骸の如く乾燥した後、割れる音を立てながら委縮し……同時に蒼黒に変色。

 最後に、羽虫の形に人体を作り変え、咎人は慚鬼へと成り果てる。

「ギィィ、ギィィィィ……」

「そんな……!どうして、どうしてぇぇぇ…………!!」

「どうしてだと?儂はお主の望み通り、この男を慈しみ……正しき罰を与えたではないか。それの何が不満だというのだ?」

「お願いします、どうか……主人を元に戻してください!そして、もう1度機会をお与えください!!」

「…………離せ」

「お願いします!お願いしますッ!!」

 下った罰を受け入れようとせず、儂の足に縋りついて図々しく駄々を捏ねるとは……。


 夫妻揃って、不届き者よ。


 側近に取り押さえさせるまでもなく、儂は即……惨堕を行うことに決めた。

「ウァッ……!」

 この女の背中を錫杖で刺し貫き、理気力を注入。

 女の身体は男と同様に、惨鬼へと変貌させた。

「ギィィィィィィ…………」

「こ奴らを小屋に入れておけ。それが終わったら、床の血を忘れず拭いておくように」

 儂は足下にいる惨鬼を側近の元へと蹴り飛ばし、小屋への連行を促す。

「はい、只今」

 側近は命令通り、すぐに2体の慚鬼を抱えた。

 小僧のような特例を除き、惨鬼になった者は変わり果てた瞬間から自我の殆どを失い、儂や信者達の隷属となる。

 側近に抱えられたとて、抵抗など1つもせん。

「待て」

 儂は、出て行こうとする側近を呼び止めた。

「はい」

「いくら善行を積もうと、1度の愚行で魂は穢れる。努々、忘れるでないぞ」

「……承知致しております」

 儂の忠言を聞き届けた側近は、本殿から立ち去った。


「随分と、気が立っているな」


「ッ!」

 私の後方。

 御神幕によって仕切られた、本殿奥の御鎮座におわす大耀元主様が……私の内情をお見抜きになった。

 下手に取り繕うのは、失礼か。

「お見苦しい所をお見せして、申し訳ありません。あの輩共を取り逃してしまったことへの忸怩たる思いが……未だ拭えず、気を揉んでおりました」

「確かに、結果としてあの男のコアは奪えず、あの女の手に渡ったことで……形の上では同等の戦力の相手が生まれた。それに焦りを抱いている訳だな」

「……はい」

「阿呆め」

「ッ⁉」

「戦力が同じ。たかが、それだけの理由で……貴様の世界は揺らぐのか?」

「………………!!」

「その程度で亀裂が走る……柔なものではなかろう?貴様の真実は」

「……はい!その通りでございます!!」

 そうだ。

 儂は何故、こうも気が滅入っていたのだ。

 持っているコアの数が同じ?

 だから何だ。

 真実は儂にあるのだから、儂が勝つに決まっているではないか。

 太陽元主様が、儂の目の前に顕現されたあの日から……儂の求道は極まっている。

 他の矮小な理想に覆されるものではない。

 決して……!

「知らしめてやろうではないか。道理は我らにあると」

「ッ!では……とうとう、ご許諾を頂けるのですね!?」

「あぁ。今こそ決行に移す時だ——」


「全ての者に審判を下す……大耀儀遍を」


「……………………!」

 大耀元主様の御前で、お見苦しい姿を見せるのは無作法であるが——。

 喜びで打ち震える身体が、どうしても止まらん。

 時は、満ちたのだ!

「戻りました」

 側近が、丁度よく本殿へと戻って来た。

「おい、今すぐ住民達を境内へ集めろ。緊急集会だ」

「ッ!?まさか……!」

「大耀儀遍を行うことを、大耀元主様がお認めになったのだ!!」

「ッ……!すぐに!!」

 御扉から見える景色は、眩い日差しに照らされている。

 朝までは雨が降り続けていたというのに……まるで、信仰の成就を暗示しているようではないか。

 遂に本願が叶う!

 誰にも理解を得られぬ孤独の中で……何年も、何十年も祈り続けてきた我が信心が、遂に結ばれるのだ!!

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