表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Seventh Øne  作者: 駿
PR
78/93

脱落 ②

 俺達は、少しばかり開けた場所で腰を下ろし、身体を休めながらノヴァのお披露目会を見物する。

「元々、これから行う作戦の為に能力の説明をするつもりだったんだ。まぁ君達にとっては、もっと早く教えて欲しかったのだろうが」

「御託はいい。早く教えろ」

「はいはい」

 よく見えるよう中心に立ったノヴァは、かざした手から光を発し……再び6つの星珠を出現させる。

「知っての通り、俺は六星衛装という特殊な能力を用いて戦う。え~っと、まだ君達に見せてないのは3つか」

「橙色は剣で、赤いのは炎で……水色は空を飛ぶんでしょ?」

「そうだ!じゃあ、先ずはこれを見せようかな?」

 ノヴァは周囲で回る星珠達の中から灰色の星珠を操り、左手に取った。

「この中には……時を操る力が収められているんだ」

「時って、凄くないそれ⁉」

「おっ、いいリアクションだな。それで、これを対象に向けて力を解き放つと……」

「対象って……え、私⁉」

 ノヴァが、星珠をルナに向けると——。

 星珠は一筋の光線となって空を走り、ルナに命中。

 反応出来ずに受けたルナは、膜のように灰色の光に包まれ、衝撃によってか……静かに後ろへと倒れた。

「貴様……何を!」

 これをバディへの攻撃と捉えたセリオスが、透かさず盾を装備して構えた。

 俺も、今の行為を不意打ちと認識し、緊迫感に従って倒れたルナに駆け寄ろうとした。

 その時——。

「ッ!」

「ッ……⁉」

 ルナが、ノヴァに迫ろうとしたセリオスを、武器を手で押さえて制した。

 倒れた状態から起き上がったことも。

 セリオスへ詰め寄ったことも。

 脳が理解する間もない程、一瞬で。

「~~~~~~~~!!」

「……?今、何と?」

「~~~~!!」

「?」

 ルナがセリオスに、何かを語り掛けている。

 しかし、その内容が……彼も俺も、彼女の喋りが速過ぎて聞き取れない。

 まるで倍速に編集された動画を見ているかのようだ——。

「ッ!まさか、これが…………⁉」

「そう、これが灰の星珠の力。彼女の流れている時間を早めた」

 なんて力だ。

 もし、俺との戦いでこれを使われていたら……勝負にすらならなかったかもしれない…………。

「そこら辺を走り回ってみてくれ!」

 ノヴァが、早口でルナにそう言うと……聞き取ったルナは高速で頷き——。

「ッ!」

 再び、目にも留まらぬ速さで移動を開始した。

「ルナ……な、何…………うぶっ!」

「ちょっ、止め……!」

 風を切りながら周囲を駆け巡ったり、悪ふざけに俺やセリオスの頬を指でつついたりしながら、自分が速くなったことをアピールする。

「早めるだけじゃなく、遅くしたり止めたりも出来るが、実例として分かりやすいから早くしたんだ」

「よく分かったが……!こっ、これはいつまで続くんだ!?」

「30秒だ。だからもうすぐ切れる」

「あたぁ!あぁたたたたたたたた…………あた?」

 時間加速の効果が切れ、連続して脇腹をつつくルナの速度が、元に戻った。

「楽しんでくれたようで何よりだ」

「…………うん」

 ルナは舞い上がっていた自分を恥ずかしそうにしながら、そそくさと俺から離れた。

 包まれていた光は消え、灰の星珠は既にノヴァの元へと戻って公転を再開していた。

「凄い力だろ?しかし、その分クールタイムは10分と長い……だから戦いでは精々1回こっきりだ」

「クールタイムがあったのか?」

「あぁ、それも説明しないとな。星珠は能力を使い切ると、次に使うまである程度時間が掛かるんだ。剣は5秒、炎は30秒、飛行は20秒と、それぞれ掛かる時間は違うがな」

「へぇ~」


「まぁ、本当は10分じゃなくて7分なんだがな……」


「ん?何か言ったか?」

「えっ⁉あぁ、いいや何も!それじゃあ次の星珠の説明に入ろうか!」

 ノヴァは早急に話に進めたいのか、すぐに次の星珠を手に取った。

 白緑色の星珠を。

「これには防護の力が備わっている。さっきと同じく対象物に向けて解放すると、相手を障壁が囲って守るんだ。大体は防御用として俺自身に使うものだが……さて、誰に体感して貰おうかな?」

「わ、私はもういいから!」

「私も結構。よし、貴様の出番だクロム」

「えっ、俺……!?」

「決まりだな」

「ッ⁉」

 勝手に実験台と決められた俺に、ノヴァは星珠を向け——。

 力を解放。

 光線が放たれ、一直線に俺へとやって来る。

「う……!」

 殺意はないと分かっているが……それでも数歩、後退ってしまう。

 当たったら痛いんじゃないかと嫌な想像が脳を巡り、身体を強張らせたが——。

「ッ!」

 光線は、俺に至近距離まで迫った段階で四方八方に分裂。

 瞬く間に球状の障壁へと形を成し、俺を取り囲んだ。

 これが守りの力…………。

 不思議と圧迫感はない。

 むしろ、信頼を感じる。

 俺は試しに障壁をノックしようと、腕を伸ばす。

「えっ……!?」

 だが、障壁は弾くことなく俺の拳を素通りさせてしまった。

 何だこれ——。

「手を引っ込めておけ」

「ッ!?」

 ノヴァが、いつの間にか橙色の星珠から解放した剣を装備し、投擲する姿勢を見せていた。

「おい、待っ——!!」

 俺の声も聞かず、剣は全力で投げ飛ばされた。

 俺は反射的に手を引っ込め、身構える。

 しかし——。

「ッ……!」

 金属の衝突音がやや薄まって耳に響く。

 障壁は剣を弾き、剣は地面に落ちた。

 俺の手を難なく通していた障壁は、外からの攻撃を完璧に防いでみせたのだ。

「どうだ、それなりの防御力はあるだろ」

「相手の攻撃は通さず、こっちの攻撃は通せるってことか?」

「それが1番いいからな。あと……この力はただ守るだけじゃない」

「え?」

「無効能力を持ってる君でも上手く働くかは分からないが…………えい」

 ノヴァは、軽く右手を横に振るう仕草を見せる。

 すると——。

「……?」

 白緑色の障壁が、消えた。

 解除したのか?それとも何か失敗が——。

「クロちゃんが消えた!?」

「おい!奴をどこへやった……!?」

「えっ…………!?」

 ルナとセリオスが、俺がいないと言って辺りを見回し始めた。

 当の俺は1歩も移動せず、すぐ近くにいるというのに。

 …………もしかして、見えていないのか?

「お~い!!」

 俺は2人に向かって叫ぶが、聞こえている様子がない。

 声も、遮断されているのか。

「透明化。それが、この力が持つもう1つの機能さ。取り囲んだものを見えなくし、発する音を漏らさない。その分、防御力は皆無になるがな。ちなみに、クールタイムは2分と少し長い」

 そんなことまで……。

 なら——。

「透明……じゃあ、クロちゃんはそこに——」

「あぁ。いるとも」

 ノヴァが、また手を横に振った。

 これで……透明化は解除された訳だ。

「あれ?まだ消えたまま——」

「ワァッ!!」

「ひゃあぁぁぁッ!?」

「ッ!?」

 解除される前に2人の後ろに回り込み、解除された直後に声で驚かす。

「貴様、いつの間に……!」

「もう!」

「ははは!悪い悪い」

 …………こういう茶目っ気を見せておけば、ルナも俺を心配しないで済むだろう。

「もしかしたら、君には透明化が効かないかもしれないと思ったが、杞憂でよかった。これなら…………問題なく作戦を遂行出来そうだ」

「作戦?」

「それは後で話すとして、残る星珠についてだが……生憎とこれを披露する訳にはいかないんだ」

 ノヴァは、最後の1つである黒茶色の星珠を手に取って俺達に見せるが、やんわりと首を横に振った。

「何故だ?」

「これには……俺の従者である、アストの魂が入っている。解放すれば、約120mの体躯を持つ巨人の兵がこの場に現れる」

「巨人……⁉」

「120mって、凄っ!」

 ハッタリなんかじゃ、ないんだろうな。

「これから潜入しようというのに、そんなものを出せば作戦は台無しだろう?しかも、再使用まで36時間を要する。シンプルに強力な力だが……おいそれと扱える代物じゃない」

 これで、ノヴァの能力の全部が分かった。

 剣、炎、飛行、時間操作、防壁、巨人の使役——。

 ノヴァの力が判明する程……俺との勝負はギリギリだったと言った彼の言葉が、リップサービスだと思えて仕方なくなる。

 ルナに……ノヴァに…………俺は気遣われてばかりだ。

 こんな状態で一体、俺に何が出来る。

「さて、これで俺の全部を見せたことだし……これから行う作戦の説明に移ろうと思う。俺の能力を知った直後なら、すんなりと頭に入るだろうからな」

「その作戦とやらで……御影フメイを討つのか?」

「あぁ。俺と君達の力を合わせれば、これで確実に倒せる」

 ノヴァが、俺達に集まるよう手招きする。

「………………」

 何が出来るかなんて、考えてもしょうがない。

 ノヴァの言う作戦に俺の存在が含まれているのなら、俺はベストを尽くして臨むしかないんだ。

 俺がまだ、アンサラーである限り……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ