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Seventh Øne  作者: 駿
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現れる星戦士 ②

 ラスタがいなくても……。


 そう、ラスタはもういない。

 それでも、アンサラーとして生きている以上……俺は戦って前に進まないといけない。

 俺の理想……。

 ラスタが信じ、懸けてくれた俺の理想の為に……!

「何かルールはあるのか?」

「いや、特にない。俺が終わりを宣言するまでは、全力で掛かって来て構わない」

「分かった…………」

 俺とノヴァは、ルナとセリオスから見守られながら……寂然とした車道の真ん中で向かい合う。

 2人の前では持ち堪えてみせると大口を叩いたが、昨日でやっと動けるようになったばかり。

 どこまでやれるか……。

「まぁ、あくまで手合わせなんだ。そんな気負うな」

「………………!」

 態度に出ていたか。

 力を見定められている以上、余裕のなさを見せるのはよくないな。

「あっ、そうだ。ところで……」

「?」

「ネイウルはどうだった?」

「……どうって?」

「アイツは、強かったか?」

「…………あぁ、攻撃が激しくて相手するのがしんどかった。それに――」


 抗ってやるさ、最後の最後までな…………。


「アンサラーの期待に応えようと、最後まで戦い続ける執念は……本当に凄まじかった」

「…………そうか」

 俺の答えを聞き、ノヴァは何かを噛み締めるように数秒、俯いて……。

「じゃあ、やろうか」

 俺に視線を戻し、手を前へかざした。

「ッ……!」

 掌から、黄色い光を発せられ――。

「ッ⁉」

 野球ボールサイズの、様々な色に輝く小さな6つの光球が、輪を描くように連なって回転しながら出現。

 そして、一斉に散開し――。

 光球達は残光の尾を引きながら、ノヴァを中心にして、それぞれ異なる軌道で衛星のように公転を始めた。

「それは……!」

「六星衛装・ノヴァ……俺という存在に与えられた権能さ。これら6つの星珠に収められた力を使って戦うのが、俺の戦闘スタイルだ。こんな風に…………」

 ノヴァは周る星珠の内から、橙色に輝く星珠を手元に引き寄せ、右手で掴む。

 瞬間――。

「………………!」

 握り締められた星珠は、トパーズがそのまま成形されて作られたかのような、煌めく橙色の片手半剣へと形を変えた。

 ……中々、ユニークな能力だな。

 ノヴァは身体を半身にし、剣を頭の側面に上げ、刃を上向きにして水平に構えた。

 目にも、真剣さが帯びた。

 俺も槍を生成し、左先半身の中段で構え、戦う準備を整える。

「さぁ、来――!」


「赫灼たる裂光で、遍く闇を拓きし超新星!星戦士ノヴァ、推して参るッ!!」


「…………は?」

「あぁ、ただの決め台詞だから気にするな…………行くぞ」

「ッ!」

 ノヴァが少しばかり腰を落とした、次の瞬間――。

 脚力が、発揮された。

 一躍で剣の間合いへと距離を詰め、勢いのまま俺の胸に目掛けて剣先を突き出した。

 ――素早い動きだが、対応は出来る!

 俺は槍の柄で、直進する刃を横へ逸らし、追撃を掛けられないように剣を下へ抑え込む。

 よし、このまま突きで反撃――。

「歯を食いしばれ」

「ッ!」

「少し痛いぞ」

「何を――ッ!?」

 ノヴァの周囲を回っていた星珠が、一斉に公転を止めて――。

 俺に、向かって飛んで来た!

「ウグッ……!!」

 弾力さが欠片もない硬い球が5つ、ストレートで顔と肩、胸に強く叩き込まれる。

 攻撃にも使えるのか……!

 堪らず、痛がる仕草を出してしまいそうだったが、そんな場合じゃない。

 今の衝撃で、剣を抑える力が緩んでしまい、ノヴァに槍を押し退けられてしまった。

 剣の、2撃目が来る!

「ハァッ!」

「クッ……!!」

 横薙ぎに振るわれるノヴァの斬撃を、俺は仰け反りとバックステップで躱す。

 ……眼前で横切る剣の風圧が、顔を撫でる。

「今のを躱すか。だが、次はどうかな!」

「…………!」

 5つの星珠が再び俺に迫り、ノヴァが遅れて接近する。

 差し向けた星珠で俺を撹乱し、生まれた隙を剣で突くつもりなんだろうが……。

 そうは行くか!

「ッ⁉」

 俺は、槍の穂先から黒塊弾を発射し、星珠に全て命中させる。

 黒く塗り潰れた5つの星珠は、その場で制御を失って地面に落下し、ノヴァを驚かせた。

 目論見が崩れたノヴァだったが、足を止めることなく俺に斬り掛かる。

「ほう、奇怪だな!操作が効かなくなったぞ、一体何をしたんだ!?」

「俺の理気力に、ッ……侵されたものは、その力を失うんだ!」

「成程!それは厄介だな!!」

 俺とノヴァは言葉を交わしながら、お互いに攻撃を捌き合う。

 剣と槍が幾度も交錯し、数多の金属音が俺達の間で響いた。

「だがッ!」

「ッ⁉」

 ノヴァが、俺の横一文字の斬撃を掻い潜って後退する。

 そして……地面に転がっている星珠の1つを、左手で拾い上げた。

 黒に塗れているが……あれは深紅の星珠。

「収められている力までは、失われていないようだ」

 ノヴァが掴んだ星珠を、強く握り締めると――。

 深紅の星珠は、光を強く発した後に粒子となって霧散し――。

「…………!」

 ノヴァの左手に、燃え盛る炎が宿った。

「熱くないのか、って思っているだろ?心配ご無用。毒を持っている奴は自分の毒でやられない、それと一緒さ」

「………………」


 警戒することしか考えてなかった。


「まぁ、今回は手合わせだし……住民達に迷惑を掛けないよう軽めに放つから、安心しろ」

「ッ……!」

 燃える掌が、俺に向けられる。

「上手く避けてみせろよ?」

 火球が、掌から放たれた。

「クッ……!」

 俺は反射的に横へ跳んだことで、直撃を避けるが――。

 火球はそのまま突き進み、後ろにあった廃墟のブロック塀に衝突。

「ッ⁉」

 爆発を起こし――。

 塀の大部分を、瓦礫に変えて吹き飛ばした。

「軽めでこれかよ……!!」

「そら、次だ!」

「ッ!」

 再び、火球が撃ち出される。

 俺は即座に黒塊弾を発射し、迫る火球にかち合わせて抵抗する。

 これで火球を穿ち、ノヴァを牽制する腹積もりだったが――。

 黒塊弾は火球を貫けず、互いを吞み込み合い……相殺されてしまった。


 ノヴァの手は止まらない。

 次から次へと、火球が俺に向かって襲い掛かる。

 

 俺は黒塊弾を連射して、向かって来る火球を手当たり次第に相殺していく。

 だが――。

「チィッ……!!」

 対消滅の光景は、徐々に俺の方へと近づいていた。

 火球から来る熱気も、刻一刻と強くなる。

 俺よりも、ノヴァの連射速度の方が上……!

 このままじゃ、押し込まれて負ける!!

「ラス――!」

「……?」

「ッ……!!」

 馬鹿が!誰に助けを乞おうとしているんだ俺は!!

 俺の隣にはもう、彼女は――!!

「どうした⁉君の実力はそんなものじゃないだろう!」

「ッ!」

 俺の実力……俺だけの実力…………!

 そうだ。

 俺は、もう1人なんだ。

 俺1人でも戦えることを、ノヴァに……俺自身に証明しないといけないんだ!

 絶対に、勝つ!!

「オォォォォォッ!!」

 俺は左手をコアに触れて理気力を引き出し、槍に注ぎ込んだ。

「来るか!ドグマ・バースト……!」

 穂先に、煩わしい火球を容易く呑み込める程の、大玉の黒塊弾を形成。

 ノヴァに向け、撃ち放った。

 黒塊弾はぶつかる全ての火球を呑み、残滓の火の粉を宙に散らばらせながら、ノヴァの元へ突き進む。

 ノヴァはこれを躱すだろう。

 だが、それでいい。

 俺から注意を外し、火球の連射を一時的にでも止めさせれば、それでいい……!

 ノヴァ。

 お前がやろうとしていたことを、俺がやらせてもらう!

「何とも恐ろしい大技だが、そう易々と当たる俺じゃないぞ!」

 だろうな。

 ノヴァは右へ大きく跳び退き、大玉黒塊弾を回避した。

 そして着地と同時に、俺がいた位置に視線を戻す。

 だが――。

「ッ!」

 そこに、俺はもういない。

 俺は既に、黒塊弾を隠れ蓑にしてすぐ近くまで距離を詰めていた。

「ッ、そう来たか……!」

 俺に気づいたノヴァが、すぐに掌を向けて火球を放つ。

 俺は側にあるガードレールを足蹴にして、迫る火球を跳び越え――。

 背後から来る爆破の熱と風に狂わされることなく、ノヴァの左手目掛けて槍を投げた。

 「……⁉」

 槍はノヴァの左手の甲を裂き、そのままアスファルトの地面に突き刺さる。


 左手から、燃え続けていた炎が消える。


 よし!

 これで、ノヴァに残っている武器は剣だけ!

 後は一気に攻めて、押し勝つ!!

「オォォォォッ!!」

「やるじゃないか……!」

 俺は新たに槍を生成し、落下の勢いを乗せてノヴァの脳天へ振り下ろす。

 ノヴァは前転でこれを躱し……そのまま、着地した俺の後ろへと素早く回り、斬撃を振るおうと――。

「ッ……!」

 する所を、俺は剣を持つ右手に後ろ蹴りを繰り出し、突き退けることで阻止。

 立ち上がり、怯んだノヴァを追い詰めるべく槍を突き出す。

 ノヴァは右手のみで剣を扱い、襲い掛かる槍を受け流した。

 甲を切られた左手は使えないのか……だらりと垂らしたまま。


 しめた!

 片手だけで凌ぎ切れる程、俺の槍は甘くない。

 このまま攻め続ければ、間違いなくノヴァを崩せる!


 俺は、より確信となった勝機に赴くまま、矢継ぎ早に槍で乱れ突く。

 ノヴァは、誰の目にも分かる程の切羽詰まった表情を浮かべ、後ろに下がりながら剣で俺の一撃一撃を対処する。

 その粘り強さは流石だが……それも終わりだ。

「クッ……!」

 片手というハンデにつけ込んだ武器の押し合いで、ノヴァを大きく押し退け、体勢を崩させた。

 これで、次の刺突は絶対に躱せない。


 俺の……勝ち――!


「ッ!?」

 槍で突こうと踏み込み、腕を伸ばし掛けた瞬間――。

 完全なる意外が……俺を襲った。

 見えない硬い衝撃が俺の顎を跳ね上げ、一切の動作を中断させる。

「グッ、ガァッ……!!」

 何が起こった。

 まさか、妨害⁉

 ノヴァ以外の奴による――。

「ッ⁉」

 頭上。

 上がった視界が、攻撃の正体を映す。

 深紅の星珠……!

 能力を封じた筈なのに、どうして――。

 いや、それは今どうでもいい。

 早く――!

「ッ!」

 戦いの体勢を急いで取り戻そうとする、俺の喉元に……。

 ノヴァの切先が、当たる寸前で止まっていた。

 少しでも俺が前に動けば、ノヴァが前に出そうとすれば、容易に喉が裂かれて……致命傷を負う間近な位置で。

「ここまで、だな」

「……………………」

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