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Seventh Øne  作者: 駿
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現れる星戦士 ③

「焦ったな」

「え……?」

 私と一緒に、2人の手合わせの一部始終を見ていたセリオスが、そう呟く。

「槍で甲を裂かれる瞬間……能力の自動的な働きか、ノヴァの咄嗟の機転かは分かりませんが、炎の力は元の星珠になっていました。それを、クロムは見逃した」

「でも、ノヴァはそれを見えないようにしていたし、仕方ないんじゃ……」

 事実……。

 第三者として見ていた私すら、その瞬間を目撃出来ていなかった。

「確かに奴は掌でその瞬間を隠し、攻撃を躱しつつ球を背中に移動させて見えないようにしていました。しかし、アンサラーとして数々の修羅場を潜ってきた奴なら……優勢であろうと、気づいていた筈」


「何より……奴はノヴァを倒すことに躍起になるあまり、星珠の攻撃が見えていなかった」


「………………」

 それは、私も見ていて感じた。

 クロちゃん……有利に立ち回っていたのに、行動がとにかく必死だった。

 まるで試合とは関係ない何かに、追い詰められているみたいに……。

 戦いの中でも、やっぱりラスタさんのことが――。


「いい試合だった。是非、俺と手を組んで欲しい」

「……負けたのにか?」

「ギリギリの戦いだったじゃないか。それに、君の能力は頼りになる」

「そうか…………」


 2人が戻って来た。

 ノヴァは剣を橙色の星珠へ戻し、2つの星珠を再び周囲に巡らせていた。

 そしてクロちゃんは……。

「お、お疲れ様……」

「おう……はは、負けちゃったよ。意気揚々と挑んでおいて格好悪いな、俺…………」

 クロちゃんは頭を掻きながら軽い笑みを作り、呑気な振る舞いを私達に見せた。

 私は、終わった瞬間のクロちゃんの沈んだ表情を見ているのに……。

「仕方ないよ、ずっと動けてなかったんだし。これから調子を取り戻していけば…………」

「そうだな……ありがとう」

 身体的な理由で負けた訳じゃないことは分かった上で、私は慰めの言葉を掛けた。

 クロちゃんも多分、それを理解した上で私の言葉を受け止めて……礼を言ってくれた。

「で、次は我々とか?」

「あぁ。そうしたいんだけど……これが治ってからだな!」

 ノヴァは、左手に刻まれている槍の傷を見せながら言った。

「クロム、これを消してくれないか?」

「いや、消し方なんて知らないけど……?」

「え?じゃあ、これ……いつ消えるんだ?」

「いや、分かんない」

「……え?」

「消える時間とか数えたことないし、そもそも消えるかどうかも見たことないんだ」

「……………………」

 ノヴァの顔が、みるみる青ざめていく。

「もしかして、一生このまま……?」

「かも……しれない…………」

「………………」

「もしそうなら本当、済まん。マジでごめん…………」


「いや、いやいやいやいやいやいやいやッ!!」


 ノヴァが右手でクロちゃんの肩を掴み、縋るように身体を揺すった。

 さっきまであった大物感が、すっかり消えてしまっている。

「冗談キツいって!なぁ、本当は消せるんだろ⁉なぁ!!」

「いや、本当に知らねぇんだって……!」

「知らないで済むか!」

「まぁ色々と大変だろうが、頑張れよ」

「あぁ、ありがとう……って言う訳ないだろ!責任を取れ、責任を!!人を傷物にした責任は、ちゃんと取るのがこの世界の習わしなんだろ⁉」

「ちょっと、語弊があるような気がするんだけど……」

「ええい、落ち着け!」

 セリオスが、クロちゃんを揺さぶり続けるノヴァを離す。

「一生消えないということはない筈だ。アンサラーに対するイレイノムの白化と同じように、完全に染まらなければ時間経過で消えるだろう」

「ほ、本当か……⁉」

「私の見立てではな」

「あぁ、よかったぁぁぁぁぁ……!!」

 焦りに焦っていたノヴァの表情が、一転して晴れやかな笑顔に変わる。

 ……なんか、面白い。




「そぉぉぉぉぉれぇぇぇぇぇッ!!」

「クゥゥ……!!」

 しばらくの休憩の後……。

 俺の理気力が消えて、すっかり調子を取り戻したノヴァと、ルナ達の手合わせが開始された。

「赫灼たる裂光で、遍く闇を拓きし超新星!星戦士ノヴァ、推して参るッ!!」

 と、また例の決め台詞を言い放って。


 だが、その試合展開は――。

 俺の時とは打って変わって、開始早々から共命理状態になったルナによる一方的なものだった。

 

 ルナは4人の分身を作り出し、ノヴァの放つ炎も全て盾で防ぎつつ、一斉に斬り掛かって防戦一方の状況に追い込む。

 状況に耐え切れなかったノヴァは、水色の星珠に収められた力を解放し、空へ飛ぶが――。

 ルナ達も、翼を生やして飛行し……ノヴァを逃がさない。

「そんなのありかッ⁉」

 という、ノヴァの叫びが、よく響いていた。

 最早ノヴァが、どこまでやれるのかを試されているような現状だ。

 ……やはり、共命理の力は凄まじい。

 それをするとしないとで、こうも力関係が変わるのだから。

 行えるバディがいない今の俺とは、まるで違う…………。

「…………………………」

 ――初めて、共命理を果たした時を思い出す。

 ラスタと、文字通りの一心同体になったあの瞬間は、本当に清々しい気持ちになれた。

 力の高揚だけじゃない。

 彼女の手が常に俺の背中を押してくれる、そんな心強さが……共命理をしている間、ずっと感じられて…………。

 だから、どこまでもいけるって、何も怖くないって思えた。

 でも……。

 

「貴方は、1人じゃない」


 そう言ってくれた彼女はもう、俺の側に……内にいない…………。

 あるのはただ、残像と残響だけ。

 それを無視しようと1人で張り切っても、空回りに終わってしまう。

「ラスタ……」

 やっぱり俺、お前がいないと…………。

「ここまで!!」

「……!」

 上空からノヴァの声が響き渡り、俺を現実へと引き戻す。

 手合わせは、ノヴァの降参と取れる形で告げられ、終了していた。

 分身達は消え……ルナとノヴァが、ゆっくりと降りて来た。

 刃で斬り裂かれ、ズタズタになってしまったノヴァだが――。

 斬られた際に散らばった紙らしき破片が、ノヴァの身体に集まって、元に戻りつつあった。

「あの忍者といい、本当どうなってる訳?」

「まぁまぁ、そんなのはどうでもいいじゃないか。君達も十分な力を持ってると分かった!是非、協力しよう!!」

「フン、散々打ち負かされておいて……よく言える」

 共命理が解除され、姿を現したセリオスが、超然とした態度を崩さないノヴァに苦言を呈す。

「ははは……長いこと耐えただけでも、褒めて欲しいくらいだな。それに…………」

「?」

「俺が形振り構わず全力を出したら、手合わせにならないからな」

「……それはどういう意味だ?」

「さぁ?」

 確かに、ノヴァは6つある星珠の内、半分しか使っていない。

 全力を出していないというのは、本当なんだろう。

「とにかく、全員期待以上の強さだ!共闘条件成立!!これから、よろしくな!!」

「ならいい加減話せ。貴様が、私達に協力を持ち掛けてまで……誰を倒したいのか」


「……御影フメイだ」

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