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Seventh Øne  作者: 駿
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新たな戦い ③

「どうした!お前達の力はその程度か!?」

「チィッ……!!」

「ッ…………!」

 ネイウルの苛烈な爪の連撃を、俺達は互いに離れず槍で受け流す。

 1人では、奴の勢いに押し切られてしまうのが目に見えている為に、一緒になることで攻撃の手を分散させて対処する。

 アドリブで考え付いた対策にしても功を奏しているが、いつまでも持たないだろう。

 牽制目的で黒塊弾を放ってもほぼ回避され、当たる弾も腕や脚の力で打ち消されてしまう。

 共命理出来る隙はないし、下手にドグマ・バーストを打っても、奴の俊敏さの前では空振りに終わるのが目に見えている。

 ルナの加勢も、あの忍者が相手しているだろうから望めない。

 第一、情けない姿を彼女に見せたくない。

 どうすれば。

「ッ!?」

 地面すれすれで放たれる、ネイウルの足払い。

 俺達のどちらかをこの一手で転倒させて、連携をずらすつもりなのだろうが、俺達が2人とも足を避けた為に、奴の魂胆は未遂に終わる。

 後ろへ跳んで避けたことで、距離が出来た。

「クロム」

「?」

「大丈夫です。勝機はあります」

「勝機って、いい方法があるのか!?」

「変わらず黒塊弾で牽制しながら、守りに徹してください。そうすれば――」

「ッ!!」

 ネイウルの追撃が、俺達の会話を遮って襲い掛かる。

 さっきまでと瓜二つな状況の攻防が、展開された。

 ラスタ、守りに徹すれば勝機が見えてくるんだな。

 ――信じるぞ、俺は。




 5対1の圧倒的な数的有利で攻め掛け、緋影を追い詰めていく。

 緋影は攻撃は凌ぐだけで精一杯、このまま――。

「えっ!?」

 緋影が、突如全身を紙に変え、空中へと舞い上がって私達から距離を取った。

「ちょっと!逃げる気!?」

「降りて来なさいよ!」

「ぶーぶー!!」

「お主が多人数で来るのなら、拙者にも相応のやり方がある。文句は言わさん!」

 空中で紙が集結し、緋影の身体が作られていく。

「ッ!」

 緋影が再び姿を現したと同時に、お札が取り付けた2つのクナイが彼の手から投げ飛ばされる。

 これは、私達に刺そうとする投擲じゃない。

 私の分身の内、2人の影を狙ったものだった。

「なっ、何これ!?」

「動けないん、だけど…………!!」

「これで壱対参。そして…………」

 緋影が着地する。

 そして軽く握った左手を右手で上から添える印を結ぶ。

 何かされる前に倒した方がいいと考え、3人で倒しに掛かるが――。

「ッ!?」

 左右から煙と共に彼そっくりの分身を出現させ、残った私の分身をそれぞれで抑え込まれてしまった。

「これにて壱対壱!」

「……!!」

 こうなったら、タイマンでやるしかない!

「はぁぁぁぁぁぁッ!!」

「ふっ!」

「ッ!」

 私が緋影へ接近する最中、明滅する微光が私に迫る。

 これは、針!?

 すぐに盾を構えて、顔面に迫る針を防ぐが――。

「そう易々と、盾を構えるものではないな!」

「うぁッ!?」

 緋影の斜め上に繰り出した蹴りで盾を大きく弾かれ、姿勢を崩されてしまった。

 塞いだせいで、見えなかった。

 次の攻撃が来る!

「ッ……!?」

 緋影の左手が、腰巻きから取り出した物を私へ向けた。

 ただの掌サイズの筒に見えたけど、外側に向いた取手もある。

 形がイメージと違うけど、もしかして鉄砲!?

 私の脳裏に、その物質が私を殺す凶器であると訴えた。

 だけど直感が働いた時にはもう、緋影はその忍具を力強く握り締め、発砲音が耳の奥まで響き渡った。

 弾が、発射された――!

 私は身体を仰け反らせて最大限出来る回避を試みる。

 けど――。

「ッ!?」

 その手段を取る前に、この早急な危機は解決した。

 弾丸が発射された直後に、黄金に光る理気力の突風が私達の間に吹き荒れ、弾丸どころか緋影の左腕を根こそぎ吹き飛ばしたから。

「これは…………!?」

「姿を変えるのは、貴様だけではないということだ!」

 理気力がセリオスの身体へと戻り、盾を装備して追撃を掛けた。

 緋影は忍刀で受けるが、セリオスは何度も斬撃を繰り出す。

 深手で負った直後を襲ったセリオスの猛攻に対応仕切れず、忍刀は弾き飛んで緋影の手から離れた。

 止めとばかりに振り下ろされる、盾の刃。

 緋影は後ろへ退くも、深く胸を切り裂かれて大量の紙が中から散らばり落ちた。

 私はその合間に押し留められている私の分身に加勢し、緋影の分身を人数差で撃破する。

 緋影の分身は本人と違い、倒すと煙になって風に消えた。

 自由になった私の分身は、影にクナイを刺さって拘束された残りの分身を、クナイを引き抜くことで解放。

 戦いは元に戻るどころか6対1、緋影も深手を負って、圧倒的な有利になった。

 ――また紙を身体に戻される前に、ここで一気に決める!

 また左手でコアから理気力を引き出し、盾に宿して煌めかせる。

 分身達の盾にも、同じ輝きがもたらされた。

「…………もはや、これまでか」

 諦めの言葉を吐きながらも、緋影の目は尚も私に殺意を向けていた。

 そして――。

「ッ!」

 倒れそうな程の前傾姿勢で地面を駆け出し、疾風の如く快速で私に接近する。

 分身の1人が私の前に立ち、緋影に立ち塞がる。

 構わず突っ込む緋影。

 分身に肉迫し、右の袖からクナイを取り出して思い切り右腕を伸ばし、切先を突き出した。

 高速移動で一気に詰め寄って、見えない所から武器を取り出し、致命傷を与える奇襲を掛ける。

 恐ろしい攻撃、だけど――。

 私の盾は、どんな力からも守る!!

「ッ!?」

「はぁッ!!」

 分身が盾を前面に構え、前へ出た。

 同時に、盾に込められた理気力を解き放ち、盾の厚みと範囲を拡張。

 突き出されたクナイを容易く砕き、迫る緋影の身体に盾をぶちかまして、宙へと打ち飛ばした。

 緋影の全身から大量の紙が離れて舞い散り、忍者の面影がなくなりつつある。

 そんな緋影に2体目の分身が彼の後ろへ回り、やってくる背中へ盾を当て、盾の防壁への変化を衝撃として利用し、緋影を地面に落とさず再び弾き飛ばした。

 3人目、4人目も同様に、飛んで来た緋影を盾で押し返し、バレーボールみたく連携して上空へと打ち上げる。

 多大な衝撃に、忍者どころか、肉体の原形すら崩れ掛け、紙の集合体と化す緋影。

「これで止めッ!」

 私は塔屋の破風板を蹴り、打ち上がった緋影の更に上へ跳躍。

 大きく盾を振り被って――。

「はぁぁぁぁッ!!」

 緋影の身体を、渾身の力で殴打。

 防壁に変えた衝撃と合わせて振り抜き、緋影を地面に叩き付けた。

 地面に落下し、遂にバラバラの紙となって散らばった緋影。

 また動き出すかもと思ったけど、一向に動く気配は見せなかった。

 完璧にまで打ち倒したと、見ていいはず。

「はぁ…………終わった終わった」

「疲れたぁ~」

「疲れたぁ?あんたずっと縛られて動けなかったじゃん」

「はぁ~!?相手の分身に手間取ってただけの癖に、働いてますアピールしないでよ!!」

「クロちゃんに褒めて貰いたいなぁ」

 戦いが終わり、好き勝手喋る分身達に、本体の私は手を叩いて注目させる。

「はいはい、つべこべ言わずにアンタ達はさっさと撤収。他の人が見たらびっくりするでしょ!」

「…………はぁ~い」

「全く、人使いが荒い本体だこと……」

「そんな一面、もしクロちゃんに見られたら嫌われるよぉ?」

「黙って帰んなさい!」

「お~怖っ」

 分身達はジャンプし、それぞれの頭上に現れた丸い円陣の中へと消えていった。

「はぁ…………」

 私の分身なのに、なんか違う奴みたいに思えてくる。

「初めて使う能力も、上手く利用してみせての勝利…………いやはや、お見事」

「まぁ、アンタに助けられた所もあるけどね。ありがとう」

「エルダーはアンサラーを助ける為に存在する。礼など必要ありません」

「それで…………どうする?これ」

 私は、緋影だった紙の集まりを指差した。

「これも敵の情報に成り得る、物的な手掛かり。回収しておくのが吉でしょう」

 セリオスはしゃがみ、紙に拾おうとするが――。

「ッ!?」

「あっ…………!」

 横から来た突然の強風に流され、全ての紙が舞い上がる。

 私とセリオスも咄嗟に手を伸ばすが掴み損ね、紙は私達の元から消え去ってしまった。

 手掛かりを逃したという、悔しさを残して。




 不覚。

 だがお主の力の一端は、しかと拙者の胸に刻んだ。

 主殿にお伝えし、先遣の命を全うせねば。

 ねいうる殿、其方もしくじられるな。

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