表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Seventh Øne  作者: 駿
40/65

運命の7人目 ⑦

 この機械、俺の意思通りに動いてくれるのか。

 残り時間は28秒、それまでに奴を倒す!

「クロちゃん!!」

「おぉ、ルナ!大丈夫か⁉」

「こっちの台詞だよ!どうしてここに⁉」

「……へっ、先輩の意地を舐めんなってことだよ!」

「もう!アイツ風操るから、気をつけてね!!」

「分かった!」

 イレイノムが向かって来る俺達に向けて手を伸ばし、圧縮した空気の球を放出する。

 それに対してルナが先行し、盾から理気力で作り上げた壁を広げ、自分だけでなく俺の身まで守ってくれた。

 俺も合わせないと!

 左腕に持つ槍を引き、先端に理気を一点に集めて大玉黒塊弾を形成する。

 壁で俺の姿は見えていない、これを利用して奇襲する。

「避けろルナッ!」

「ッ!?」

 寸前でルナに呼び掛けた後、俺は槍を大きく突き出し弾を発射する。

 弾を見たルナは、視界が一瞬見えなくなる程の強い眩い光を発し、この場から姿を消した。

 俺の前へ現れたあの瞬間移動か。

 そのフラッシュによる目くらましで不意打ちの効果が増したお陰か、イレイノムは躱すタイミングを失い、高速回転する風を纏った防御で黒塊弾に抵抗した。

 風に衝突する黒塊弾、猛烈に突き進んでいた勢いを抑え込まれる。

 だが、弾は決して止まらない。

 微速だが着実に風を突き破ってイレイノムへと迫り、着弾。

 理気力が四方へ飛び散った。

 イレイノムは、身体の隅々を黒が浸食しながら衝撃で吹き飛ぶ。

「kkkkkiiiiiirrrrrrrrrrrrrrrrrrYyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyッ!!」

 しかし消滅はせず、自らの頑強さを誇示するようにイレイノムは耳を劈く叫びを張り上げた。

「ッ!」

 そんなイレイノムをドローン達は取り囲んで砲口を向け、ビームを一斉放射。

 厳正な追撃を開始する。

 イレイノムは風を自らの目の前で爆ぜさせ、その勢いに乗ってビームを躱すが、ドローン達は奴を追跡し、砲撃を連射する。

 生えた翅と風でイレイノムは逃げるが、光の雨は奴へと辿り着き、身体を焼いていく。

 各所が赤熱化し、左足が焼け落ちた。

「あの一撃で大分、能力が弱ったようだな。追いつかれているのがいい証拠だ」

 下から俺と同じ機械に乗ったアラタが浮上する。

「お前が来てくれて助かった……一気に、行くぞ。ドローンとの挟み撃ちで、奴を叩く!」

「あぁ!」

 向かう場所は、奴の逃げる先。

 2機の飛行機械が共に駆ける。

「kkkkkiiiiiirrrrrrrrrrrrrrrrrrYyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyッ!!」

 イレイノムは再度、風の爆発を起こし、急加速でビームを避ける。

 ドローン達が直ぐに追いつこうとするが、イレイノムは逃走ではなく排除を次手に選んだ。

「ッ!」

 左手を掲げ、ゼロサムの充填――。

 同時に渦も発生させ、ゼロサムと風を一体化させた。

 渦となったゼロサムは加速度的に規模が増し、天高く螺旋を描く竜巻へと成長。

 ドローンへ向け、腕を振りかざして竜巻の向きを変え、白く輝く暴風に全てのドローンを巻き込んだ。

 瞬く間にドローン群は制御、そして形を失い――。

 竜巻の中を滅裂に廻転し、白く染まり消失する。

「まだ、あんな技を……!」

 ゼロサムの抹消能力を付与した竜巻。

 確かに脅威的な技だ。

 だが――。

 奴がドローンを手間暇掛けて排除したことで、俺達は容易く背後に回れた!

 両槍の石突をかち合わせ、連結し、双刃刀へと変形。

 前端の刃一点に理気力を込め、機械の速度を最大にしてイレイノムに突撃する。

「ウオォォォォッ!!」

 イレイノムは俺の接近を感じ取っていた。

 右腕を俺に向け、竜巻が俺を消し去るべく襲来する。

「アラタッ!」

 俺の声に併せ、アラタが仕掛ける。

 イレイノムの伸ばす手を境目にし、奴を取り囲む円状の結界を現出させた。

 次の瞬間、竜巻は――。

 影も形もなく、消え失せた。


 最初からこうする算段だった。

 結界は、イレイノムの風の影響を無効にする。

 それを利用し、奴が逃走や迎撃に風を利用する素振りを見せたなら、結界に閉じ込め風を操れなくすると。

 あれ程、大規模な技を来るとは思ってなかったが。

 ともあれ、これで――!


「終わりだッ!!」

 全ての力を束ね、双刃刀を叩き込む。

 結界に刃が振れてあっけなく割れるが、一撃が届くのには最早1秒も掛からない。

 イレイノムも分かっているのか、剣状に押し留めたゼロサムを生成し、迫る双刃刀に先端を突き出して真っ向から激突する。

 ――悪あがきの抵抗に、俺が負けるか!

 俺の刃はゼロサムを押し潰し、掻き消し、突き抜け、イレイノムの右腕をすれ違い様に穿つ。

 穿たれた右腕は、奴の元から離れて落下し、霧散する。

 これで、奴の攻撃手段を全て断った。

「終わりだッ……!」

 ライフルを構えたアラタは、空かさず朱の閃光を放つ。

 イレイノムの背にある四枚の翅が次々に焼き切り、飛行手段を奪い取った。

 焦げた羽片が空に舞い、イレイノムが墜落していく。

「退いて!2人共ッ!!」

「ッ⁉」

「ルナッ!?」

 上空。

 既にコアから理気力を引き出し、盾を構えたルナが、イレイノムを狙い澄ましていた。

 盾は、稲光を周囲へ走らせる程の激しいエネルギーを切先に集め、今にもドグマ・バーストを発動しそうな重圧を放っていた。

 俺達は急いで真下から離れ、これから解き放たれるルナの一撃を見守る。

「今までのぉ、お返しィィィィィィィィッ!!」

 ルナの叫びと共に、一点に集まっていた力が轟音を伴って解放された。

 閃光が空を裂き、極太の光柱となってイレイノムに直撃――。


 光が、爆ぜた。


「グッ……!」

「ウァッ…………!!」

 押し広がる風が天地を震え上がらせ、一帯を光輝で照らし尽くす。

 何て威力だ。

 これが、ルナのドグマ・バースト!

 白光が薄れていく。

 耳鳴りが響く中、俺は視界を取り戻そうと瞬きを繰り返し――。

 やっとの思いで目を見開くと、光柱の中心だった空間に、イレイノムの姿はもうなかった。

 あるのはただ、焦げた臭いと未だ強く肌に残った衝撃の感覚だけだ。

「やったぁッ!ねぇ、どう⁉私の必殺技、凄かったでしょ!!」

「……あんなもの間近で披露されたら、嫌でも驚く」

「……………………」

 終わった。

 上級を倒して、やっと一息つける。

 この場で倒れ込んでしまおう、今はとにかく休みたい――。

「クロム!」

「ッ、しま……」

 空中にいることを忘れていた。

 機械が休もうとする俺の意思を読み取り、自動で固定具を外され、俺は青空を背に真っ逆様で落下してしまう。

 まずった――!

「ッ!」

 両腕が、強い力に引っ張られ、身体が止まる。

 見上げると、ルナとアラタが片腕ずつ掴んでいてくれた。

「あ、ありがとう…………」

「大丈夫クロちゃん⁉」

「こんな所で寝る奴があるか……!」

「悪い……」

 あれ?

 時間的にもう直ぐ、共命理が終わるよな。

 今、分離しちゃったら、ラスタは――。

「あっ」

 全身から、黒の理気力が抜けた。

「クロム……」

「えッ⁉」

「ここでかッ⁉」

 分離し、重力に引かれて落ちるラスタを、慌ててアラタが機体を急降下させ、受け止めてくれた。

「…………」

 ラスタを直ぐに救助してくれたアラタ、俺が落ちないように支えてくれるルナ。

 そんな彼らが今、ここにいる。

 そのことに、俺は満ち足りた気持ちを抱いていた。

 まぁ、ルナが本気で戦うことには、まだ戸惑いはあるけど。

 それでも――。

 イレイノムを倒して人々を守るという1つの目的の元、共に戦ってくれる仲間がいる。

 それがどうしようもなく、嬉しく思った。



 ――嬉しいと、想ったんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ