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Seventh Øne  作者: 駿
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滅びの使者 再現 ③

「ッ!」

 あと少しでコアが手に入るというところで、邪魔が入った。

 右腕に武骨で重厚な機械の腕を纏った銀色のコアのアンサラー、宗方アラタが——。

 小型の飛行機械に搭乗し、搭載された機銃を俺に撃ち放ちながら飛来する。

 グレイの奴め、しくじったか。

「チッ……!」

 俺は後退し、フメイから離れて機銃を避ける。

 アラタは飛行機械から跳んで離脱して着地し、フメイの元に駆け寄った。

 殺してコアを奪うつもりか。

 そう思い、止めに入ろうとするが——。

 無人となった飛行機械が、自動操縦で尚も俺に迫り……俺の間近で自爆。

 負傷こそないが、黒煙で視界を塞がれてしまう。

 理気力を用いて発した風で掻き消した時には、既にアラタはアンサラーの身体をその機械の腕で掴み上げ——。

「失せろ……!」


 アンサラーを砲丸投げの如く全力の素振りで投げ飛ばし、遠い彼方へと排除した。


 ……俺にコアを奪われないよう、遠ざけたという訳か。

 アンサラーを殺してしまえば、この場でコアの奪い合いが発生してしまうと考えて。

 余程、俺にコアを獲られたくないようだ。

「悪いが、得体の知れないお前らの好きにはさせない」

「いいさ……どの道全員潰すんだ。お前からコアを奪い取って、サードフォームになるまでだ」




「痛たたた……!もう、レディをいきなりド突くなんてありィ!?」

「セリオス!」

 優木ルナの傍にいたセリオスが、エルダーの不意を突いて接近し、盾を叩き込んだ。

 その隙にアラタは飛行する機械に乗り、フメイと謎のアンサラーを追い掛けて行った。

「ルナに、貴様達を助けるよう頼まれたのでな」

「ふ~んあの子についてあげなくていいのぉ?私は奪っちゃうかもよ?」

「アラタがアンサラーを倒し、私達で貴様を倒してしまえば、何の問題もない」

「……出来たらの話だけどね!」

 エルダーは掌から、理気力の塊をセリオスに目掛け連発した。

 しかし、セリオスは迫る塊を全て躱し切り、再度彼女との間合いを詰めて盾を突き出す。

 エルダーはそれに対して前蹴りを繰り出し、盾の攻撃を相殺。

 押し込んで体勢を崩そうとするセリオスの盾に乗り、それを足蹴に跳び上がって距離を取った。

「エルダーはバディが所有するコアに応じて、能力が上昇する。貴様や……私のように」

「自分達の力は、同じだって言いたいわけ?」

「こちらが2人掛かりである分、貴様の不利だということだ……行くぞ、ノヴァ」

「ッ……!あぁッ!!」

 片腕は動かせないままの俺では、接近戦は難しい。

 セリオスの援護に回るとするか。

 アストは使用不可能、時間操作はクールタイムが終わっていない。

 ならば……先ずは炎だ!

 俺は深紅の星珠を解放して炎の力を左手に宿し、すぐさま放つ。

 エルダーは炎撃の数々を軽々と躱し、時には理気力で打ち消して凌いでいく。

 躱された炎は地面と衝突し、炸裂して黒煙と火を撒き散らす。

 ダメージは与えられていないが、これでいい。

 炎は陽動と目眩まし、本命は――。

 彼の一撃だ。

「ッ⁉」

 炎を避け続けるエルダーの身体が、突如として歪曲し……弾き飛ばされて地面を転がった。

 狙い通り、見えない衝撃が彼女に炸裂した。

「…………!」

 異常な危機を感じたエルダーは、すぐに飛び起きてその場から横へ跳躍する。

 直後……彼女が倒れていた地面は斬り裂かれ、破片が宙に上がった。

 エルダーはその位置へ、即座に空中で理気力の塊を発射する。

 塊は通り過ぎることなく透明な物質と激突し、透明になっていた物と……それを持つ人物。

 セリオスの正体を、露わにした。


「…………透明になって攻撃してくるとか、卑怯な手使うじゃん」

「乱入して来た貴様らに、言われる筋合いはない」


 炎撃の最中、俺は白緑色の星珠でセリオスを透明化させていた。

 早々に感づかれ、種を割られたのは予想外だったが……こちらの戦略が通じることへのいい証明になった。

 この調子でセリオスと連携して攻撃を加え続け、彼女を追い詰める!




「儂、は……死なん。死んで……たまるかァ…………!!」

 満身創痍の身体を引き摺り、集落外れの林の中を歩く。

「ウゥッ……!」

 視界が歪み切り、平衡感覚を失い……身体が地面に倒れ伏す。

 もう何度倒れたか分からない程だ。

 耳は聴力を失った。

 斬られた腕の断面からは、片手で抑え切れない量の鮮血が流れ続けている。

 一瞬でも気を許せば……忽ち意識を失ってしまいそうだ。

 コアの治癒力で命を失うことはなかろうが、ここで気絶する訳にはいかん。

 奴らから、少しでも離れなければ……!

 大耀元主様は消えてしまわれた。

 されど大耀元主様の教えはまだ、儂の胸に残っておる。

「クッ……!ここで…………儂まで死ねば、完全に……大耀元主様の存在が、消滅して……しまう…………!!」

 一途に祈り続けていた儂の元へ、大耀元主様がお見えになったあの瞬間。

 あれこそが……他のアンサラーと比ぶべくもない、無上の奇跡。

 それをあのような小童風情に、ふいにされてなるものか!



「あ、あぁ……!もしや貴方様が…………大耀元主様なのですか!?」

「如何にも。お前の思いを通じ、この者の身体を借りてやって来た」

「おぉ、何という奇跡!!貴方様の御姿を拝することが出来、この御影フメイ……この上ない喜びに存じますッ!!」

「フメイよ、この儀は世界の理を決める戦いだ。お前以外の者が覇者となれば、この世界はその者の理に染まり……こうして現れた私も露と消える」

「そんな……!」

「お前が勝利し……私を万物の理にするのだ。さすれば私は不滅にして不変の真理となり、究極の救世をもたらそう」

「……承知致しました。この御影フメイ、我が身命を捧げ……貴方様の御心に従い、遂行致します!!」



 再起を図るのだ。

 再び無辜なる者に教えを説き、信者を集め……次こそ、大耀儀遍を成し遂げてみせる!

 その為にも……今は、とにかく逃げ——。

「…………?」

 何だ、あれは。

 視界が霞んでいる状態を差し引いても、明らかに異常な現象が眼に映る。

 進む道の先、陽が沈み……暗闇に包まれている筈の林の地面に——。


 照度を不自然に保つ白濁の水溜まりが、存在していた。


「あ……あれ、は…………!」

 馬鹿な。

 ここに、奴らが現れるなど。

 結界で……侵入を阻んでいたのではなかったのか⁉

「ッ!」

 水溜まりから手が水面を割って突き出し、地面を掴む。

 そして——。


 イレイノムが、この地上に這い上がった。


「あ、あ……あぁぁ…………!!」

 頭がなく、両の掌には鋭い歯が並んだ口。

 醜肉で膨れ上がった肥大な巨躯を持つ、悍ましき人型の白い怪異。

 それは儂に身体を向け、徐々に歩み寄って来た。

 儂を、消し去る為に。

「く、来るなぁぁ…………!」

 迫る死から逃れるべく、儂は死に物狂いで身体に力を入れる。

 だが、身体は応えてくれなかった。

 倒れたまま立ち上がることが出来ず、這うことも叶わず……儂はただ、怪物が目の前まで近づいて来るのを眺めているしかなく——。

 尋常ならざる恐怖を前に、ただ慄くのみだった。

「……!」

 イレイノムが、儂の目の前まで詰め寄った。

 これから、奴は儂に何をするのか。

 佇む奴を前に、想像もつかぬ死の幻影に脳が振り回されるが——。

 答えは、すぐに現れた。

「ッ⁉グアァッ……!!」

 奴の両手が儂の身体を掴み、掌の口が嚙みついた。

 そして——。


 噛みつかれた箇所から儂の身体が溶け出し、泥状の液体に変えて口内に吸い込み始めた。


「アッ、アァァァ……アァァァァ…………!」

 消える。

 儂の身体が、無くなっていくのが分かる。

 だが……痛みは殆どなく、むしろ快楽に感じる。

 直前まで恐怖を感じていた自分が、馬鹿らしく思える程に。

 大耀元主様と1つとなったあの瞬間よりも、遥かに勝る心地よさだ。

「……!」

 そうか、そうだったのか!

 イレイノムこそが、至高の善であったのか!!

 これ程までの快感を与える存在が、悪である筈がない!!

 全ての生命を現世より解き放ち、この悦楽に包まれた理想郷へと導く使者だったのだ!!

「ハ、ハハッ……!」

 四肢の感覚も、五感も、疾うに消え失せた。

 意識も間もなく途絶え……儂の全てが、消えることであろう。

 だが、心は満ち足りている。

 あぁ。

 漸く気づき……辿り着いた。

 真、りへ——。




「Oooooooooooooooo…………」

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