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Seventh Øne  作者: 駿
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滅びの使者 再現 ①

「終わりだ……御影フメイ」

 止めを刺すべく……ルナは一歩、また一歩と身体をフメイに近づける。

「ま、まだ、だ……!儂は、まだ……ッ、終わらん…………!!」

 減らず口を。

 しかし、いくら喚こうと……貴様の意志が折れ掛かっていることは、分かっている。

 現に——。


 奴が保持していたコアが1つ、奴から離れて地面に落ちている。


 どうやら奴自身は、落ちたことにすら気づいていないようだが……。

 アンサラーの意志と結ばれているコアが離れるというのは、敗北を自ら認めているようなものだ。

 これで、奴はファーストフォームに成り下がった。

 未だ維持している共命理も、解除されるのは時間の問題。

 ……もっとも、その前に殺してしまうが——。


「御免」


「ッ……!」

 ルナとフメイの間を、不意に緋い影が脇から割り込んできた。

 ルナは条件反射で、通り過ぎようとするその影を即座に斬り裂くが——。

 剣に、手応えは感じられなかった。

「ッ⁉」

 影は、実体のない幻影。

 その下に潜んで並走していたもう1つの緋い影が、地面のコアを取り上げ、横切った。

「貴様……!!」

「また相まみえたな。あんさらぁ」

 あの時の忍者……!

 コアを奪う為に、ずっと隠れて戦いを見張っていたのか。

 まさか——!

「貴様はノヴァの仲間だったな。貴様らはずっと……コアを掠め取ることが目的だったのか!?」

「のゔぁ殿の名誉の為に言っておくが、これは主殿から拙者一人に与えられた任務。誤解なされるな……では、さらば」

「待て……ッ⁉」

 追い掛けようと足を踏み出した途端、私の意識がルナの肉体から離れた。

 共命理の解除が、こんな時に…………!!

「ルナ……!」

「セリオス……ッ、アァァッ!アアアァァァァァァァァァァァァァッ!!」

「ルナッ!!」

 ルナが悲鳴を上げ出し、地面に崩れ落ちてのたうち回り始めた。

 私が引き受けていた苦痛が、一挙になってルナに襲い掛かったのだ。

「ウゥゥゥ、痛い……!アァァァァッ!!」

「ルナ!しっかりしてください!ルナッ!!」


「ウゥゥゥゥゥゥ……!!ウォォォォォォォォォォッ!!」


「ッ!!」

 フメイが、起き上がる……!

「ハァ……ハァ…………ッ、コアが……!?小娘ェェェッ!儂のコアをどうしたァッ!!」

「…………!」

 忍者は、とっくにこの場所から消えてしまっている。

 奪われる瞬間を倒れて見ていないフメイは、我々が奪ったと誤解しているのか。

 どうする!?

 痛みを自覚したばかりのルナは今、戦える状態ではない!

 私1人で、立ち向かうしか……!!

「返せェッ!それは大耀元主様に捧げるものォ!貴様が持つ資格などないィィィィッ!!」

「クッ……!」

「大耀元主様こそが、唯一絶対の存在ィ!それ以外など、あってはならんのだァァァァァァァッ!!」

 悶え苦しむルナに、フメイが半狂乱となりながら迫り来る。

 私はルナの前に立ち塞がり、盾を構えた。

 ……弱り切っているとはいえ、奴は未だ共命理で強化されている。

 それでも、私がルナを守り抜く!

 そう覚悟し、フメイとの対決に臨むが——。

「ッ!」

 我々とフメイの間に、再び横槍が入る。

 今度は忍者ではない。


 フメイに目掛けて絶え間ない弾丸と光線、火球を放つ……アラタとノヴァだった。



「ヌゥゥゥゥ……!」

 フメイは背中から触手を生やし、上空から襲い掛かる飛び道具を防ぎながら後方へと退く。

「優木ルナッ!セリオスッ!!」

「大丈夫かッ⁉」

 空から飛来してやって来た2人が、私達の元へ駆けつける。

「私は平気だ!ただ、ルナが!!」

「待ってろ、すぐに回復ドローンで……!」

 アラタは戦闘用ではないドローンをすぐに生成し、ルナの治療に充てさせた。

 ドローンは、ルナの周囲を光を照射しながら旋回し始める。

「全身の筋断裂……自律神経失調…………処置に時間が掛かるな。お前は彼女を安静にさせろ」

「分かった……!」

「奴の胸のコアが小さくなっているが、コアの1つが奴から離れたのか?」

「あぁ。そして……貴様の仲間の忍者が、それを拾って消えた」

「ッ⁉まさか緋影が……!」

 この様子では、本当にコアの奪取が目的ではなかったようだな。

「マスターが、彼にそんな指示を出していたとは……」

「そんなことより、今は奴を倒すのが先だ。来るぞッ!!」

「おのれぇぇ……!邪魔をするなァァァァァッ!!」

「やれるんだな、ノヴァ!」

「負けて強化は消え、身体も傷が塞がったばかりでまだ脆いが……やれるさ!」



 迅速に任務を完了させる為、全速力で以って集落外の山野を駆ける。

 遁走して既に大分経つが……弐人のあんさらぁが拙者を追って来る気配はない。

 未だ対決に集中しているか、将又諦めたか。

 事態がどうあれ、足を緩めてはいられん。

 此れは主殿の理想を果たす要石。

 誰の追手も届かぬ速さにて死守し、御届けせねば——。

「っ!」

 右遠方より、破裂の音が微かに鳴り出した後——。

 踏み出していた右足が、強い衝撃によって曲がった。

 安定を失った拙者の身体は倒れ、走行の勢いを止められず大仰に転がってしまう。

「全く。そんな石ころ1つに、随分追い掛けさせられた……」

「何奴……⁉」

「まぁ、楽に手に入れられそうだし……良しとするか」

 暗闇が広がる獣道の先から——。

 胸に、紅赤で色は違えど……拙者の手に持つ物と同じ石を身に付けた男が、倒れている拙者に氷の如き冷徹な双眸を向けて現れる。

 其の手にはとらんしぃばぁと呼ばれる、遠話しが出来る道具が握られていた。

 其れを握っているという事は、仲間と会話し……情報を示し合わせていたという事。

 相手は、拙者の足を遠方から狙撃した者で間違い無い。

 拙者から石を奪う為に……!

「さぁ、大人しくコアを渡して貰おうか」

 男はとらんしぃばぁを放り、殺気を漂わせつつ悠然と拙者に歩み寄って来る。

「よもや拙者以外にも、隠れて石を欲する者がいようとは…………一生の不覚」

「雑兵が口を開くな」

「お主はあんさらぁか?しかし紅赤の石のあんさらぁなど、同胞の報せから聞いておらぬが」

「……そういうリアクションには聞き飽き——」

 懐から芥砲を取り出して銃身と把手を握り込み、弾をあんさらぁへ目掛け発射する。

 男の不意を突いた、つもりであったが——。

 男には一切の油断なく見切られ、紅赤の理気力を纏った左手で払われてしまった。

 拙者は後ろ腰の忍刀を抜き、すぐに立ち上がって追撃を掛けようとするが——。

「っ!」

 撃たれた右足が、動かない。

 右足は欠損しておらぬ。

 拙者達は明確な負傷を負わぬ限り、問題無く動かす事が出来る。

 何故、麻痺したように動かぬ……⁉

 兎も角も、足が駄目ならば紙となって——。


「紙にはさせない」


「っ、ぐっ……!」

 拙者が紙となることを把握していたのか、男が敏速に右手を打ち振るい……右手から放った理気力の飛沫を拙者に浴びせた。

 紅赤の理気力が付着した拙者の全身は……紙に変わる事叶わず、人の形に留められてしまう。

 この男と拙者達は、相対してなどいない筈。

 一体何処で、拙者達の存在を熟知したのだ……!

「終わりだ」

「っ!」

 紅赤の光が輝き出し、闇を照らした。

 男の右手に、煌々たる光が宿っている。

 そしてそれは形を変え……妖怪の如く巨獣の頭へと変貌し、身動きの取れぬ拙者の身体を——。

 開いた獣の大顎は、周囲の緑や大地諸共……闇へと吞み下した。


 無念。

 申し訳ございませぬ、主殿。

 役目を果たせぬ、不甲斐ない拙者を。

 どうか、お許し下され……。




 捨てていた通信機を拾い、グレイと連絡を取る。

「グレイ、コアは回収したぞ」

「オッケー。それじゃ、セカンドフォームになって集落に戻って来てね」

「……走り詰めだな」

「文句言わないの。絶好の機会なんだから」

「奴ら、まだ戦っているのか?」

「うん。まだ戦況に変化なし」

「分かった、すぐに向かう」

「いい?シュウリ。間違っても殺——」

「殺さなきゃいいんだろ?何度も言うな。切るぞ」

 全く、疑り深い奴だ。

 クロムと争った後から、何かにつけて釘を刺してくるんだからな。

 完全に倒していいのはエルダーと、紙で作られたアンサラーの使いだけ。

 アンサラー相手には、最大限でも制圧する程度に抑え、コアを奪え……と。

 鬱陶しいこと、この上ない。

 何故、忌々しい希望の申し子どもに、俺が情けを掛けなきゃならないんだ。

 希望を終わらせると誓い、アンサラーになったというのに。

 ……まぁいい、今は従ってやるさ。

 死ぬより辛い目に遭わせることも、出来るんだからな。

 集まっている奴ら全員からコアを獲れば、俺は計6つのコアを手にし……セブンスワンに王手が掛かる。


 俺が全てを手にし、全てを終わらせてやる。

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