ラストレンの方針
器を探し出して壊すか、上書きをしてもらうしか無いのか。
しかし僕が呪いを掛けられたのは国境近くの小さな村だということしか覚えていない。
それにどうやってそこまでいけば良いのか解らない。
「あ、そうだ忘れていた。お前はどうしてあんな所にいたんだ?山小屋まではそこのスルテから聞いてる。続きを教えろ。」
「この国の第三王子が僕をラルクルウッド・ゲーに対抗する方法として連れてこられました。」
我ながら一言で説明出来たことをすごいと思う。これで伝わればなお良い。
「まて、何故お前がラルクルウッド・ゲーを知っている?いや、オカモトに聞いたのか?違うな、その言い方は王子に聞いたのか。」
どういう事だろうか。それにオカモトと言うのは…
「いや、それよりも今は王子の方だ。王子につれてこられた?どういう事だ。」
「えっと、その…気がついたら助けられていましてですね。」
自分でも不思議に思って来た。僕は確か下に山があるつもりで雪の上に乗っていてそれで…。
「どうして僕は助かったんでしょう?」
「そんな事は知らん。しかし問題ではある。第三王子となるとラウムウルム殿か…面倒だな。」
何が面倒なのだろうか。確かに変わった人という事はネシテルさんから聞いた。
ネシテルさんや他の人たちは今日会ったばかりだった。朝に会ったかと思ったらもう会えないだなんて。
僕の事をずっと助けてくれていた部隊の人たちも皆死んでしまったのだ。
さっきまでは薄情かもしれないが忘れていた。いや、考えないようにしていた。
「なんだ、街に誰か知り合いでも居たのか。」
「もう居ません…。」
「そうか。」
ラストレンさんは真剣な顔で考え事を始めた。スルテさんはそのラストレンさんを黙ってじっと見ている。
「よし、方針は決まった。とりあえず私の目的はお前を祖国に連れ帰る事だからな。このままお前はここに置いていく。」
「え?」
そうするとラストレンさんは手助けに来ただけという事になる。僕を連れて行かなくて良いのだろうか。スルテさんもキョトンとしている。
「ラウムウルム殿が一度手にした者を簡単に手放すとは考えにくい。あれはそういう人間だ。
それに我々がもしリカルドをここから連れ出しても、怪我が治る頃には不運に巻き込まれて死んでしまうだろう。
どうやらラウムウルム殿の近くでいれば不運は起きにくいのようなのだし、しばらく渡しておこう。
その間に私が器を持って来れば良いのだ。」




