海の船
ゆらゆらと意識が揺れている。まぶたも揺れて、身体も揺れる。
あっという間に意識は固定されて止まる。まぶたを開けて、身体だけが揺れる。
木の部屋だ。床も天井も全て板でできている。全く見覚えは無い。門番の事を思い出す。ここは彼の部屋だろうか。
起き上がって見る。僕は寝台で寝ていたようだ。寝台はかなり上等だ。ギギギと部屋全体がきしむ。
「あ…。」
部屋を除いている誰かと目があった。サッと顔を引っ込めたが、子供だった。扉の縁には小さな手がついている。
「あー…やぁ?」
自分よりも小さい子どもが僕を警戒しているのだ。優しく話しかけよう。
「えっと…こんにちは?」
返事は無い。きしむ音は大きくなっている。風の音も聞こえる。この部屋は静かだ。
「僕はリカルド。君の名前は?」
「ニクルス。」
返事をしてくれた。ほかも聞いてみる。
「ここは何処?」
「あなたの部屋。」
少しだけ顔をだしてくれた。しかしここは僕の部屋ではない。
「この建物の名前はわかる?」
ニクルスは困った顔をしたあと、下を向いてしまった。きしむ音は大きくなっている。
とりあえず外に出ることにした。ニクルスの方へ一歩近づいたその瞬間、ギギギとひときわ大きな音がして、部屋全体が傾く。
僕は尻もちをついた。ニクルスは扉の縁にしっかりと捕まっている。
上から激しい足音と怒鳴り声が聞こえてきた。ザラザラと砂のような音も聞こえる。
「いってみよう。」
ニクルスの横を通り抜けて廊下に出る。廊下も大きく傾いていて、とてもではないがまともに立って歩けない。
半分滑るようにして廊下を下る。端で向きを変えて、壁と床の間を歩く。するとだんだんと音の正体が分かって来た。
「いそげ!いそげ!さっさとしろー!」
「「「アーイ!!!」」」
船だ。僕は船の甲板に出た。僕は船に乗っていたのだ。船長らしき人が指揮をとっている。
空は真っ黒で、雷も見える。とんでもない勢いの防風と豪雨が僕の身体を横殴りにする。意味が分からない。
どうして僕は船に乗っているんだ?砂の海の船ならまだしも、水の海の船だ。僕の頭はおかしくなってしまったのだろうか。




