身だしなみ
僕らは10日ほど蟲車に揺られていた。
何処に行くのか聞くと。「都だ」としか帰ってこなかった。
「ついたぞ。降りろ。」
僕は排泄と食事の時以外はずっと縛られていた。ブーメランはもちろん取り上げられた。
さすがに都とあって大賑わいだ、至るところから喧騒が聞こえる。
「とりあえず貴様は私と一緒にこい。」
ここにくる途中にいくつもの関所を通ったが最後の関所だけは桁違いに立派だった。
見渡す限りに人がいて、視界の人が十人以下になることがない。
「僕はこれからどこに連れて行かれるのですか。」
「王様の屋敷だ。もちろん、ここトーン王国の国王様のだ。」
これにはとても驚いた。この国で一番偉い人だ。僕なんかは一生かかってもチラリとしか見られないようなお方だ。
重要機密だとは言われたがここまでのことだったのか。しかし心当たりは無い。どうして僕はいきなり連れてこられたのだろうか。
僕らが今歩いているのは街の大通りのようだ。しかしこんな身だしなみで良いのだろうか。
僕の服はボロボロで身体は泥とホコリと砂まみれだ。ラストレンさんも着替えた様子などは無い。(名前は10日の内に教えてもらった。)
「身だしなみは整えなくても良いのですか。」
「…すっかり忘れていた。そうだな。いくぞ。」
くるりと向きを変えてラストレンさんは進んでいく。僕はそれに引っ張られる。
ついた場所は立派な教会だった。この土地特有の赤いレンガで、横に広く縦に低い作りになっている。
大きな門扉を跳ね上げて、容赦なくラストレンさんは進んでいく。
僕を適当な人に見張らせると、更に奥の方へと入っていってしまった。
「これでよし。」
しばらくしてラストレンさんが出てくると、すっかり別人の様だった。髪は一律にとかされ、服装も白を基調とした質素な物から、黒と濃い紫の仰々しい物へ変っている。どうやら僕の身だしなみは整えさせてくれないらしい。
もう歩き始めている。
「徒歩じゃ屋敷にいれてもらえないわよ。」
僕を見張っていた人から声がかかる。
「それもそうだった。蟲車を借りるぞ。」
もしかしたらこの人はかなり忘れっぽいのかもしれない。どうして一度蟲車を降りようとおもったのか、僕にはさっぱりわからない。
諸事情によりしばらくの間更新できないかもしれません。
更新が遅れたぶんは挿絵があるので許してください。




