スープ
貧民街の人達は僕を見ると、悲しそうな顔をした後少しだけ笑って優しくしてくれた。
きっと僕の身体にある怪我のあまりの多さに何か思うところがあったのだろう。
良い小屋の材料になるゴミの場所を教えてくれたり、炊き出しがいつ有るのか教えてくれたりした。
こんなに沢山の知らない人に親切にされるのは初めてだった。
僕は今、日雇いの仕事をほかの人に譲ってもらって、レンガを作る泥を運んでいる。
泥でいっぱいになった桶を、焼場まで運んでは泥を作っている場所に戻る事を繰り返すのだ。
僕は無一文な上に食べ物もなく、このままだと動けなくなるところだったので、珍しくまかないのあるこの仕事を優しい人が変わってくれたのだ。
仕事の前に蒸した芋を二つもらえた。いったい何時ぶりの食事だろうか。
蟲車の中で水を沢山飲んだ事は覚えている。
「2日ぶりかな。」
思っていたよりも時間が立っていない。最後の食事はレンベルさんとの夕飯だ。
気絶していたり寝ていた時間はだいたいだがきっと当たっているだろう。
「おい!臨時で炊き出しが来てるぞ!」
僕に炊き出しの曜日を教えてくれた、ガリガリのおじさんが呼びに来てくれた。
しかし僕は今仕事をしている。放っていく事はできない。
「ちょっとぐらい行って来いよ。おじさんが代わっといてやるからさ。」
「ありがとうございます。」
僕は嬉しくなって駆け出した。芋二つじゃ全然足りなかったのだ。しかしすぐに引き返した。おじさんに何処で炊き出しがあるのかを聞いていなかったからだ。
僕は泥だらけのまま、適当な炊き出しの列に並ぶ。前の人と後ろの人が、僕の顔を見て「おや?」というような表情になる。
なんだかよくわからないまま列は進んで行き、僕の番になる。
長い机の上に大きな鍋がいくつか並んでいて、木のお椀が積まれている。
お玉を持って質素な格好をした人達がスープを注いでいる。
そして、すぐ後ろには看板があり、僕の顔の人相書きがある。
「!?」
さっと顔をうつむけて隠した。多分だが、スープを注いでいる人には見られていない。
怪しくない程度にうつむいたままスープを受け取って、列を離れようとする。下をむいているのはスープを見ていますよーとでも言うように。
誰かの足が視界に入ったので、右に避ける。すると足は僕について来るように僕の方へ動く。今度は左へ動くと、足もよってくる。
顔を上げると、昨日の女性がいる。
「連行だ。」
僕は熱いスープを一気に飲み干した。




