落下
僕らの乗っている蟲車と協会の蟲車は並走する形になった。向こうは少し前から矢を射ってきている。
「投降せよ!投降せよ!さすれば慈悲の判決をくだされるだろう!」
何度目かの呼びかけが成されるが、それに応じる者はどこにも居ない。
「いいこと思いついたゼぇー?」
ウチジクが僕を縛っている縄を持ち上げて、僕の事も一緒に持ち上げる。
そのまま荷台の端に持って行き、少しだけ荷台から僕の体をはみ出させる。
僕のすぐ下は目まぐるしく模様の変わる砂の床だ。腰の下辺りがキュっと縮まる。
「攻撃をやめろヨぉー?!人質だゼぇー?!」
隣の蟲車に見せつけるように僕はゆらゆら揺らされる。縄がブチブチとちぎれる感触がある。
しかし攻撃は止まない。止まないどころか強くなってさえいる。
「投降せよ!投稿せよ!さすれば慈悲の判決をくださるだろう!」
なおも呼びかけが下るが今度もそれに答える者は居ない。
さらに酷い事に、僕にも矢が向けられ始めた。射った者は「慈悲を!慈悲を!」と叫んでいる。
「あいつら容赦無さすぎだロぉー?」
そう言ってウチジクは僕を引き上げようと…
「「あ」」
僕とウチジクの声が重なって、縄が完全にちぎれる。蟲のハサミで半分以上切れていた縄が僕の体重にこらえきれなくなったのだ。
次の瞬間僕は砂に全身を打ち付けて、体を速度に削られる。上と下とがめちゃくちゃになって僕は―――
「ハクフン!ガキが落ちタ!」
「落としたの間違いだろ馬鹿が!」
子供はもうきっと死んでいるだろう。またはもう助からないだろう。それよりもこっちのほうが先だ。
オレ達は弓も矢も少ししか持っていない上に使えるやつも居ない。これは接近戦をする以外に方法は無いだろう。
向こうとこっちの人数差はほぼ無い。お互いに二十人ほどだ。つまり数だけで言えば勝率は五分だ。しかし向こうの武具をみるに、かなり良い者が揃っている。
よく見積もっても勝率は二割を切るだろう。しかし他になにも思いつかないのだ。
「蟲車をあいつらのに寄せる!接近戦の準備をしろ!」
「本気かヨぉー?!」




