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悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
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猫系男子の警戒模様。

「トワとこうして学園生活を送れるなんて夢みたいだね」
「ハルト様…」


手の甲にキスをしながら甘い台詞を言うハルト様に苦笑を返しておく。

十六歳のハルト様はかなり色っぽく成長した。

肩まで伸びた髪を黒のリボンで軽く結んで、少し気だるさを醸し出している雰囲気はご令嬢達の顔を赤く染め上げるのには十分。

耐性がついた私でさえも時々、心臓が不整脈を起こすくらいだからね。


「やっぱり、トワは白が似合います!とても似合ってます!!」
「それを言いたいのは私の方よ!なんて可愛いのかしらリオネったら!」
「きゃっ!トワ様?!」


控えに近寄って来て、少し頬を赤く染めながら微笑むリオネちゃんの可愛さにノックアウトです。

予想通り白の制服が似合っていた。
地上に舞い降りた天使の様な美しさだ。

リオネちゃんの可愛さと美しさは益々、磨きが掛かっている。

私と同じくらいの腰まで伸びた黒髪はサラサラで、もし「日本人」だったら大和撫子みたいな子になっていたと思う。
この謙虚ながらも神がかった美しさを持つリオネちゃんは私の癒しです。


「酷いなトワは…婚約者の僕じゃなくて、リオネを抱き締めるなんて。
いつでも僕は歓迎しているのに。さぁ今からでも遅くはないよ?」
「手を広げながらジリジリ近寄って来ないで下さいませハルト様」


ハルト様と謎の攻防戦を繰り広げていると、嘘でしょ?!と後ろから声を上げられた。

見ると、私が扉で顔面を強打させちゃった子で少しだけ鼻が赤くなっている。

さっきは顔下半分を手で覆っていたから分からなかったけど…超可愛い顔してんなぁ。
男の子とは思えないレベルだ。


「あ、あんたがハルト様の婚約者だって?!」
「えぇ…まぁ」
「本当なんですか?!ハルト様?!」
「嘘を言ってどうする。トワは僕の婚約者だ」
「サラッと腰に手を回さないで下さいませ!」


スキンシップが激しいハルト様を注意したが、普通に無視された。

可愛い男子生徒君は私を睨んでいるんでくる。
だが、いかんせん毛を逆立てた猫みたいにしか思えない。全く怖くない。むしろ可愛い。


(ん?何か、この感情…どっかで味わったような??ん?)


前にもどこかで湧き出た感情に違和感を覚えていると、隣に立っていたハルト様の溜め息が聞こえた。

どうやら二人は知り合いな様で、軽い言い争いみたいなのを始めた。
ハルト様と初対面の人だったらここで彼の必殺技「真っ黒毒舌」でやられちゃってるから、耐性のついている知り合いかが分かるのだ。


「何でお前はそうすぐに噛み付くんだ。そんなに威嚇しても疲れるだけだぞ」
「い、威嚇じゃありません!」
「取り敢えず、まずはトワに挨拶が先だろう。僕の未来の妻だ。分かっているだろう?」


垂れた耳と尻尾が見える。
少しだけ涙目で私を睨むその姿にズキュンと胸を貫かれた。

この懐かない感じが昔近所に住んでいた猫の殿を思い出す。
ちなみに、「殿」っていうのは名前で、由来は目の上に綺麗な麿眉があったから。
全然懐かなかったんだけど可愛かったからアイドル的存在でした。


「ミケ・スザロ…です」
「え。三毛猫?」
「は?」
「あ、いえ。何でもないですわ」


狙ってたのかというくらいの名前に思わず食い付いてしまった。

訝しげなミケ君を誤魔化して、私も自己紹介をすると何故かもっと睨まれた。


「諦めろ、ミケ。トワは今まで僕の周りにいた婚約者候補達と訳が違う。
彼女は僕が選んだ最も素晴らしい女性だ」
「で、ですが…ま、またハルト様の身分や容姿だけしか見てない女かもしれないじゃないですか…」
「トワは違う。…それ以上、トワを疑ってみろ。友人のお前でも容赦はしないぞ」
「っ、僕は…っ」


最後にまた睨まれて、ミケ君はそのまま聖堂から飛び出していってしまう。

ハルト様を見ると困った様な表情をしていた。
それに対して、リオネちゃんは少し不機嫌そう。


「トワのことを何も知らないのにあんなことを言うなんて酷いです…」
「ごめんよ。ミケは昔っから警戒心が人一倍強いんだ。…僕を思ってのことなんだろうけどね」
「大丈夫でしょうかミケ君…」


後、二十分くらいで開会式は始まってしまう。
挨拶をしなくちゃいけない新入生が欠けるのは騒ぎになるだろう。

このままここでミケ君を待っているのは我慢出来ない。


「私、ミケ君を探して来ますわ。開会式には間に合うように致しますし」
「なら僕も行こう」
「わ、私も行きます!」
「二人はここにいて下さいませ。全員が聖堂に不在だなんて先生方が慌ててしまいますわ」
「しかしトワ…」
「大丈夫です。必ず見付けますから」


安心させるように笑って、聖堂を後にする。

出ていく間際、ミケ君の涙がどうしても私は気掛かりだったのだ。
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