歓迎の風と花吹雪。
この世界の道にはいくつかの魔法陣がある。
魔法陣を通れば何日もかかる道のりを一瞬で短縮出来て、種類は城へと続く陣、町へと続く陣と色々な目的地へ向かう陣が存在するのだ。
だから長旅なんて言葉は必要無し。
家を出発して二十分程馬車を走らせ、学園に繋がる魔法陣を通過すると一瞬の内に目の前に学園が現れた。
「おぉ~!凄いなぁ~!」
窓から見える豪華な校舎に目が釘付けになる。
歴史を感じさせるレンガ作りの校舎は圧巻で、これから自分がこんな凄い所に通うのが信じられない。
(魔力が学園中に満ち溢れてるから体が熱くなってきたなぁ…。)
魔法学園と言うだけあって、凄い量の魔力に身体が反応してさっきからポカポカしっぱなしだ。
これはかなり良い魔法が使えると期待が出来る。
魔法は魔力が多く存在する場所で使うと自分が持つ倍の力を出せるようになるのだ。
普段、難しい魔法もここではたくさん実験出来るだろう。魔法のオアシスですな。
「うーん…良い魔力と悪い魔力が両方とも大量にあるから面倒だねここ」
「確かにごちゃごちゃしてるけど…許容範囲内じゃない?」
「トトの魔力みたいに綺麗じゃない…」
むすっとしながら学園を見るレインはかなり不満そうだ。
妖精は魔力をオーラとして見えるから魔力の好き嫌いが激しい。
なので、レインの意見も頷ける。
特にレインは「淡い色の魔力」を好むらしく、大量の魔力が存在する学園は濃過ぎて嫌なのだと言う。
私も妖精達にオーラの見方を教えて貰ったので薄くなら見える。
完璧に見えてしまうレインには学園は少し辛い環境なのかもしれない。
『うっわ…濃いなぁ…』
『ふぅん…良い質の魔力と悪い質の魔力の差が激しいわね』
どうやらハヤテとリリィも苦手らしい。
…これから大丈夫だろうか。
心配になっていると、ガタンと今までゆっくりと動いていた馬車が止まった。
話している間に馬車の停車場に着いたようだ。
慌ててハヤテとリリィはトランクの中へと戻り、レインもまた後でね、と言って消えてしまった。
その直後に御者さんが扉を開けたので、レインがいたことはバレずに済んだ。
「先程、何やら驚かれていた様ですが大丈夫でしたか?」
「…え?え、えぇ!勿論よ!学園が楽しみで思わず声を出してしまったのですわ!ほ、ほほっ」
言い訳がアホ過ぎる自分のクオリティの低さにがっかりする。
御者さんは少し不思議そうな顔をしたけれど、優しい笑顔と一緒に手を差し出してくれた。
なんて優しいおじ様御者さんなんでしょう。
感動しながらも手を重ねて、馬車を降りると歓迎を表す魔法をかけられた花びらが風でヒラヒラと舞っている空を見上げた。
この魔法を使っている人はとても優しい魔力を持っていることがすぐに分かった。
頬を撫でる風が心地良い。
「ようこソ。聖ルナシエ魔法学園へ。お荷物ヲお持ち致しマス」
「?!あ、ありがとう」
「イエ。でハ、お部屋ニご案内致しマス」
カタコトの言葉を話す人…なんだけど、人じゃないこの方。
魔器に土属性と水属性の魔力を込めて作り出す中級魔法の一つ。
通称「人形遊戯」は術者の意思で動く人形で見た目は人間そっくり。
ぱっと見では人形とは分からない精巧さなのだ。
そんな彼らはとても優秀で、周りの生徒達も荷物を運ばれていたり道案内をされていた。
「寮はコチラになりマス」
「分かりましたわ」
いざ、学園内へと行こうではないか。




