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悪役令嬢?…いや、ご遠慮したいです。 作者:桜 さつき
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サプライズは何年経っても嬉しい。

「体調には気を付けてね。学生生活、楽しんでいらっしゃい」
「はぁ…少しでも入学を延期に出来ないだろうか…」


家の前には既に学園へと向かう馬車が準備されていて、後は乗るだけなんだけれど…お父様のどんよりオーラが心配過ぎて出発出来ないでいた。

お兄様がいないから別れはわりとアッサリかなと考えていた私。
でも、流石は親子。
どんよりオーラの具合がとても似てる。

あ、そういえば何故お兄様がこの場にいないのかと言うと無事に結婚を済ませたからなんです。
おめでたですね。

この世界では十八歳が成人とされていて、私より五歳年上のお兄様は現在二十歳。
去年、あのカランさんと式を挙げて今は夢のマイホームで愛を育んでいる。


(まぁ…三日に一回のペースで会いに来るけどね。)


だから、私的には以前の生活とあまり変わらない心境なのだ。
むしろカランさんと頻繁に会えて嬉しいので良しとする。


「ふふっ、その制服を見ると昔の学生時代を思い出すわね」
「お母様とお父様もルナシエ学園の卒業生ですものね!」


お母様とお父様は学園で出会い、恋に落ち、そして親を認めさせるだけの功績を残して、お互いの婚約者問題を解決させたという大恋愛をしているのだ。

二人が今でもラブラブイチャイチャなのは学生時代からの苦労の末に築き上げてきたものがあるからと、娘の私からしたらドラマ化して欲しい話である。


ちなみに、私がこれから通う「聖ルナシエ魔法学園」には制服が存在する。

シルク生地で肌触り抜群の真っ白な生地のワンピースタイプのドレスだ。
襟、袖、裾には金糸で刺繍が施されていて、後ろの腰部分にはドレスと同色の大きなリボンがついている。

お嬢様を表した様な制服だ。
初めて制服を見た時は似合うか不安で仕方が無かったが、なんと悪役顔がここで役に立った。

気の強そうな顔にこの制服はベストな相性を見せたのだ。
これで「おーっほっほ!」なんて典型的な悪役の笑い方をしたら悪役令嬢の完成になってしまうだろう。

…似合って良いのか分からなくなってきたな。


「ほらほら、貴方もそろそろ覚悟を決めないとよ?これ以上、馬車を待たせちゃ悪いわ。
それに、ヴァンちゃんはいつまで黙っているの?」
「お母様…俺は…」
「全く。我が家の男子達は本当に寂しがり屋さんね。ちゃんと挨拶をしなさい」
「うわっ」


それまで静かにしていたヴァン君はお母様に背中をドンッと押されて、私の前に来た。

昨日の朝からヴァン君の口数が少なくなっていたのは私も気掛かりだったのだ。


ヴァン君は気まずそうに首の後ろを掻くと、私を一瞬見て、そして抱き締めてきた。
驚いて反応が遅れてしまったが、私もヴァン君の背中に手を回した。


「……着いたら絶対に手紙送れよ。絶対だからな」
「えぇ」
「へ、変な男にも気を付けろ」
「ふふっ、分かったわ」
「それと…落ち着いたら必ず帰って来い。必ずだ」
「…勿論よ」


少し震えるヴァン君の声に私も我慢していた涙がまた出てしまう。

強く抱き締められていた腕を離され、ヴァン君の顔を見ると鼻を啜っていた。
いつもしっかり者の義弟が泣いているのはとても新鮮だ。


お母様とお父様とも抱擁を交わし、私は馬車に乗り込む。


「ぐす…何かあったらいつでも帰って来なさい。待っているよ」
「その前に、何かされた時は我が家の家訓を思い出すのよ?良いわね?」
「俺が本当は傍にいてやりてぇけど…あの王子には気を付けろよ」

「ありがとう!いってきますわ!!」


私の声で走り出した馬車。
窓から顔を出して、家族の姿が見えなくなるまで手を降った。

気持ちを落ち着かせてると馬車のガタゴトと揺れる音しか聞こえない静かな中で少しだけ寂しさが出てきてしまう。


「っ、こんな調子じゃ駄目よ!元気を出して頑張るのよトワ!!」

『そうよ主様ったら!アタシがいるじゃない!』
『せやせや!主が心配することは何も無いねん!このハヤテ様がおるんやからな!』

「えぇえ?!」


隣に置いていたトランクから急に飛び出してきたリリィとハヤテ。

何で、小さくなってんの?!
それに家にいるんじゃなかったなの?!

言いたいことはたくさんだ。


『アタシ達が主様を一人で行かせる訳無いじゃない。一緒に行くのは当たり前よ!』
『あの大きさじゃ目立つからってレインが体を小さくしてくれたんや!』

「ふぅ…間に合って良かったよ。縮小化魔法は巨大化魔法より難しいんだよね」
「レイン?!」


キラキラと私の前の席が光出したと思ったら、レインまで現れた。
色々、急過ぎではないだろうか。

今日は妖精界でやることがあるからって言ってたのはこのことだったの?!

小さくなったリリィとハヤテは数年前の姿よりも小さい子犬と小鳥の姿になっていた。
あの大きな子達がここまで小さくなるなんて。


「貴方達が行くことって、ヴァン達は知っているの?」
「手紙だけ残して来たよ。僕らが行くと知ったらヴァン君は怒るだろうしね」

『自分が行けへんからな!クシシッ、驚きやろうなー!』
『気付かれないうちに出るの大成功だったわね』

「あははっ、また謝罪の手紙を書くことになりそうだけどね」


急に賑やかになった馬車に戸惑いつつも、緩む表情を抑えることは出来なかった。

また、彼らと過ごせる日常に私は笑顔を浮かべた。
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